Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

Isn't She Lovely

2007年02月18日 | diary
 どこまでも無垢な歌声。澄み渡るハーモニカの音色。永遠に色褪せることのない名曲の群れ。そんなスティービー・ワンダーのライヴに、数えてみると12年振りに、足を運んだ。

 電車に乗る直前、思いがけず嬉しいことがあって、おかげで道中を穏やかな気持ちでさいたまスーパー・アリーナへ向かうことができた。友人とはレノン・ミュージアムの前に待ち合わせ。ちょっとだけ売店をひやかし。友人は携帯ストラップを買い、僕は軽くジョンの写真を撮ってみたりした。

 会場は最上段のスタンド席までお客さんでいっぱいだった。定時を20分ほど過ぎたところで暗転。ライヴ自体はかなりゆるゆるな雰囲気で、おそらくツアーの一環での来日じゃないのだろう(グッズ類がどこにも売ってなかったし)。スティービーも終始リラックスした様子で、ある意味、なんとなーく演ってるように見えなくもない。とはいえ、繰り出されるのは恐ろしいほど名曲だらけなわけで…。まずオープニングの“ Too High”で「うぉっ!」ときたわけだけど、そこから“Visions”、“Living for the City”、“Higher Ground”、“Don't You Worry 'Bout A Thing” とつづいていく。

 あの、全部『Innervisions』の曲なんですけど…。

 この怒濤の名曲オンパレードに「はぁー、すごいなぁー」と言葉を失っていると、“ You Are the Sunshine of My Life ”が聴こえてきて、で、そのまま“ Tuesday Heartbreak”、 “Maybe Your Baby”、“Superstition”とつづいていく。

 えっと、全部『TalkingBook』の曲なんですけど…。

 とにかくスティービーの場合、やってもやっても名曲だらけなわけでね。それにしても、まさかこういう展開でくるとは思わなかったから、この時点で僕の頭はけっこうぼけーっとなってしまった。“Living for the City”でのヴォーカルなんて、あの頃(1973年)とまったく同じ熱っぽさとみずみずしさを保っていて、そんなところがとても感動的だった。あと、ピアノに座って、つづけざまに演奏された“Stay Gold”、“Overjoyed”、“Ribbon in the Sky”も素敵だった。曲の最後でスティービーがふざけるんだけど、最後は唯一無比なヴォーカルの力でちゃんときれいにもっていく。あの歌声はほんと反則だと思う。「リトル・スティービー時代の曲をやるよ」と“ A Place in the Sun”が聴けたのも嬉しかった(簡単に終わっちゃったけど)。

 なにぶんゆるゆるなライヴなため、随所にお遊びがはいり、ステージ全体が大きなグルーヴを作り出すことはなかったけれど、これはこれでよかったんじゃないかな。他とは比較しようもない巨大な才能。目がくらむほどの偉大なキャリア。無垢な魂。スティービーは人類の宝だと思う(きっぱり)。