タクシーにて

　ボブ・ディラン、1965年のイギリス・ツアーの模様を収めた貴重なドキュメント『Don't Look Back』。このアウトテイクス映像を集めたブートDVDというのを貸していただいたので、昨日ピザを食べながら観た。映像としてはどれも似たようなものが多かったけど、この時代のディランのステージを（相当不完全ながら）観れるのはやっぱり嬉しい。とはいえ、2枚組の長さで、細切れな映像がつづくとさすがに飽きてくる。最初は興奮しながら観ていた僕も、2枚目に入るとそれなりに冷静な目で画面のディランを眺めるようになっていた。ところがです。

　画面が白黒からカラーに変わったときに、それは起こった。

　「あれ？『Don't Look Back』にカラー映像なんてあったっけ？」。そこには1966年のボブ・ディランがいた。完全にロック化したディランが、タクシーの中で煙草（か、それ以外のなにか）をふかしている。そして、そんな彼の横に座っていたのが…じょ、じょ、じょ、

　ジョン・レノン！

　なんなんですか！この映像は！ボブ・ディランとジョン・レノンがタクシーの中で談笑しているって。今だかつてこんなすごいツー・ショットを僕は観たことがあっただろうか？あー、びっくりした。

　ボブとジョンのおしゃべりタイムは、20分ほどつづいた。おそらくジョンがディランに会いに行ったのだと思う。そんな雰囲気だった。ディランはリラックスしていて、ジョンは割とおとなしくしていたから。すべて英語なんでなに言ってるかわかんなかったけど、ひとまずジョニー・キャッシュ、ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー、ママス＆パパス、バリー・マクガイアの名前は出ていた。僕は最初は茫然と、途中からは食い入るように画面の2人を観ていた。で、意味もわからないのに2回つづけて観たのだった。

　というわけで、週末のびっくり大賞は、ボビー＆ジョニーの2人に決定です。おめでとー。ぱちぱちぱち…。