EG34の続きです。受身文の基本です。また、EC11でも大雑把に触れましたが、ちょっとネタを足してみます。以下、見ましょう。
(1)Everybody respects John. (みんな、ジョンを尊敬してるぞ。)
(2)John is respected _ (by everybody). (ジョンは、(みんなから) 尊敬されてるぞ。)
ご存知のように、(1)は能動文で、(2)は、(1)に対応する受身文ですね。能動文(1)の目的語‘John’が、主語の位置に移動して、‘respect’は、「‘be’動詞 (is)+過去分詞 (respected)」になります。 (下線部は、‘John’の移動によって空所になった位置)
この際、(2)の‘by everybody’「みんなによって」は、一応、(1)の主語である‘everybody’が、前置詞‘by ~’と共に、文の末尾に位置していると考えられますが、これはオプションとして扱われることが多いので、あってもなくてもOKです。このように、受身文は、必ず例外なく、「目的語」が主語位置に移動してつくられるという法則があります。
(3)受身文は「目的語」が主語の位置に移動することでつくられる。
受身文の法則(3)によれば、必ず、主語位置への移動の対象は、「目的語」ということですので、(3)を踏まえた上で、ここから、ちょっと発展的に考えるならば、「前置詞+名詞」の場合も、その名詞が目的語の扱いを受けていますので、以下のような受身文がつくれます。
(4)Mary spoke to Tom. (メアリーは、トムに話しかけた。)
(5)Tom was spoken to _ (by Mary). (トムは (メアリーに) 話しかけられた。)
能動文(4)からも、受身文(5)がつくられますが、(4)のような場合、‘speak to’「~ に話しかける」を、あたかも、1つの動詞 (他動詞) であるかのように考えて、前置詞‘to ~’を付けたままにしておくことがポイントとなります。
(6)Mary spoke Tom. (×) (メアリーは、トムに話しかけた。)
(7)Tom was spoken _ (by Mary). (×) (トムは (メアリーに) 話しかけられた。)
能動文(6)は、もともとアウトですが、(6)に対応する受身文(7)も、アウトです。これは、‘speak’が普通、自動詞 (他動詞のように目的語を取らない動詞) の扱いをうけるからで、前置詞なしでは、直接、目的語を取れない動詞だからです。
つまり、もとになる能動文がアウトであるなら、それに連動するカタチで、対応する受身文もアウトになる、という点で、能動文と受身文は、密接な関係をもっていると言えます。これを言いかえれば、変形は、もとが正しくなければ、それを派生させたものも、また正しくない、ということなんですね。
と、ここまで言って妙に簡単な印象を受けるんですが、日本語の発想から考えると、これまで述べてきたような、受身文における、この簡単な仕組みを、やけに難しくしているような部分があります。例えば、「~ と聞かされた」というような日本語の表現は、「~ された」で、受身文として考えて、よく以下のようにやってしまいます。
(8)I was heard [ that he had broken his arm ]. (×)
(私は [ 彼が腕を骨折したと ] 聞かされた。)
(9)Someone heard me [ that he had broken his arm ]. (×)
(ある人が私に [ 彼は腕を骨折したと ] 聞かせた。)
受身文(8)はアウトですが、ここで、考え方としては、受身文の法則(3)を、常に守ることを念頭に置かねばなりません。(3)があると、(8)に対応する能動文として、(9)がOKであるかどうかを、チェックしなければならないんですが、やはり、能動文(9)もアウトなのです。
つまり、‘hear’「~ だと聞く」は、(9)のように、「‘hear’+A (目的語)+‘that’節」というような使い方をしない動詞なのです。ですので、能動文(9)を正しいと思い込んで、受身文(8)をつくっても、アウトになるわけですね。
(10)I heard [ that he had broken his arm ]. (〇)
(私は [ 彼が腕を骨折したと ] 聞かされた。)
そこで、正しいのは、(10)のように、‘hear’の直後に‘that’節を取るカタチです。日本語で、「~ と聞かされた」と表現されていても、よく考えてみれば、結局、それは、「~ と聞いた」と言ってるのと、実質的には同じことですから、英語の側では、「~ と聞いた」の方に近い発想で表現するんですね。では、類例をもう1つ。
(11)I was pointed _ out my fault (by someone). (×)
(自分の落ち度を、(ある人に) 指摘されてしまいました。)
(12)Somebody pointed me out my fault. (×)
(ある人が、私の落ち度を指摘しました。)
もう、おわかりだと思いますが、一応、受身文(11)が、なぜ、アウトなのかをチェックすると、(11)に対応する能動文(12)が、やはり、アウトだからです。‘point out’「~ を指摘する」という表現は、(12)のように、目的語を、2つは取れず、1つしか取れないので、以下のような受身文しかつくれません。 ((11)のような文に関連する解説は、EG21、参照。)
(13)My fault was pointed _ out (by someone). (〇) (訳同(11))
今回のポイントは、英語の受身文は、一般的に簡単と思われがちですが、日本人にとっては、いざ会話などで使うとなると、障害要因が多岐にわたり、思いの他、使いにくいということです。つまり、英文法の観点からは、ただ単に、(3)のようなルールを知っておけばよいだけなのですが、これに、日本語の発想が絡むと、かなりややこしい話になってくる、ということなのです。
今回、取り上げた受身文に対する日本語の障害要因は、まだ、ほんの一例にすぎず、また別の機会に扱いたいと思いますが、要するに、ここは、思い切って日本語の発想を捨てることが肝要で、踏ん張ってコツコツと、「能動文・受身文」の変形パターンという基本的なチェックを、常に念頭においてトレーニングするしか、英語脳を鍛えあげる方法はない、ということです。
今回は、英語の受身文にとっては、まさに日本語こそが大敵であるという一例だったわけですね。
●関連: EC11、EG21、EG34
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(1)Everybody respects John. (みんな、ジョンを尊敬してるぞ。)
(2)John is respected _ (by everybody). (ジョンは、(みんなから) 尊敬されてるぞ。)
ご存知のように、(1)は能動文で、(2)は、(1)に対応する受身文ですね。能動文(1)の目的語‘John’が、主語の位置に移動して、‘respect’は、「‘be’動詞 (is)+過去分詞 (respected)」になります。 (下線部は、‘John’の移動によって空所になった位置)
この際、(2)の‘by everybody’「みんなによって」は、一応、(1)の主語である‘everybody’が、前置詞‘by ~’と共に、文の末尾に位置していると考えられますが、これはオプションとして扱われることが多いので、あってもなくてもOKです。このように、受身文は、必ず例外なく、「目的語」が主語位置に移動してつくられるという法則があります。
(3)受身文は「目的語」が主語の位置に移動することでつくられる。
受身文の法則(3)によれば、必ず、主語位置への移動の対象は、「目的語」ということですので、(3)を踏まえた上で、ここから、ちょっと発展的に考えるならば、「前置詞+名詞」の場合も、その名詞が目的語の扱いを受けていますので、以下のような受身文がつくれます。
(4)Mary spoke to Tom. (メアリーは、トムに話しかけた。)
(5)Tom was spoken to _ (by Mary). (トムは (メアリーに) 話しかけられた。)
能動文(4)からも、受身文(5)がつくられますが、(4)のような場合、‘speak to’「~ に話しかける」を、あたかも、1つの動詞 (他動詞) であるかのように考えて、前置詞‘to ~’を付けたままにしておくことがポイントとなります。
(6)Mary spoke Tom. (×) (メアリーは、トムに話しかけた。)
(7)Tom was spoken _ (by Mary). (×) (トムは (メアリーに) 話しかけられた。)
能動文(6)は、もともとアウトですが、(6)に対応する受身文(7)も、アウトです。これは、‘speak’が普通、自動詞 (他動詞のように目的語を取らない動詞) の扱いをうけるからで、前置詞なしでは、直接、目的語を取れない動詞だからです。
つまり、もとになる能動文がアウトであるなら、それに連動するカタチで、対応する受身文もアウトになる、という点で、能動文と受身文は、密接な関係をもっていると言えます。これを言いかえれば、変形は、もとが正しくなければ、それを派生させたものも、また正しくない、ということなんですね。
と、ここまで言って妙に簡単な印象を受けるんですが、日本語の発想から考えると、これまで述べてきたような、受身文における、この簡単な仕組みを、やけに難しくしているような部分があります。例えば、「~ と聞かされた」というような日本語の表現は、「~ された」で、受身文として考えて、よく以下のようにやってしまいます。
(8)I was heard [ that he had broken his arm ]. (×)
(私は [ 彼が腕を骨折したと ] 聞かされた。)
(9)Someone heard me [ that he had broken his arm ]. (×)
(ある人が私に [ 彼は腕を骨折したと ] 聞かせた。)
受身文(8)はアウトですが、ここで、考え方としては、受身文の法則(3)を、常に守ることを念頭に置かねばなりません。(3)があると、(8)に対応する能動文として、(9)がOKであるかどうかを、チェックしなければならないんですが、やはり、能動文(9)もアウトなのです。
つまり、‘hear’「~ だと聞く」は、(9)のように、「‘hear’+A (目的語)+‘that’節」というような使い方をしない動詞なのです。ですので、能動文(9)を正しいと思い込んで、受身文(8)をつくっても、アウトになるわけですね。
(10)I heard [ that he had broken his arm ]. (〇)
(私は [ 彼が腕を骨折したと ] 聞かされた。)
そこで、正しいのは、(10)のように、‘hear’の直後に‘that’節を取るカタチです。日本語で、「~ と聞かされた」と表現されていても、よく考えてみれば、結局、それは、「~ と聞いた」と言ってるのと、実質的には同じことですから、英語の側では、「~ と聞いた」の方に近い発想で表現するんですね。では、類例をもう1つ。
(11)I was pointed _ out my fault (by someone). (×)
(自分の落ち度を、(ある人に) 指摘されてしまいました。)
(12)Somebody pointed me out my fault. (×)
(ある人が、私の落ち度を指摘しました。)
もう、おわかりだと思いますが、一応、受身文(11)が、なぜ、アウトなのかをチェックすると、(11)に対応する能動文(12)が、やはり、アウトだからです。‘point out’「~ を指摘する」という表現は、(12)のように、目的語を、2つは取れず、1つしか取れないので、以下のような受身文しかつくれません。 ((11)のような文に関連する解説は、EG21、参照。)
(13)My fault was pointed _ out (by someone). (〇) (訳同(11))
今回のポイントは、英語の受身文は、一般的に簡単と思われがちですが、日本人にとっては、いざ会話などで使うとなると、障害要因が多岐にわたり、思いの他、使いにくいということです。つまり、英文法の観点からは、ただ単に、(3)のようなルールを知っておけばよいだけなのですが、これに、日本語の発想が絡むと、かなりややこしい話になってくる、ということなのです。
今回、取り上げた受身文に対する日本語の障害要因は、まだ、ほんの一例にすぎず、また別の機会に扱いたいと思いますが、要するに、ここは、思い切って日本語の発想を捨てることが肝要で、踏ん張ってコツコツと、「能動文・受身文」の変形パターンという基本的なチェックを、常に念頭においてトレーニングするしか、英語脳を鍛えあげる方法はない、ということです。
今回は、英語の受身文にとっては、まさに日本語こそが大敵であるという一例だったわけですね。
●関連: EC11、EG21、EG34
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