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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(33)

2004年12月18日 | 
EG30の続きです。EG30では、‘when~’「~のとき」などの「時」に関係する表現は、同時に、「条件」を提示する内容になる文であることがわかりました。そこで、今回は、「条件」そのものを表す、‘if ~’「~ ならば」の文との比較をしてみたいと思います。以下、見ましょう。

(1) a. <When I see John tomorrow>、I will tell him the truth. (〇) (=EG30(1))
    (<明日ジョンに会ったとき>、ホントの事言おっと。)
   
   b. <When I will see John tomorrow>、I will tell him the truth. (×) (=EG30(2))
    (訳同上)

(2) a. <If it is fine tomorrow>、we will go on a picnic. (〇)
    (<明日晴れなら>、ピクニックじゃ。)

   b. <If it will be fine tomorrow>、we will go on a picnic. (×) 
    (訳同上)

(1a)が正しく、(1b)がダメな理由は、EG30で定義した通り、時に関係する、<接続詞+文>の中では、これから先のことを言おうとするのに、「未来」の‘will’は用いず、現在時制で表現する、というルールがあるからですが、どうやら、‘if ~’「~ ならば」の文の場合も、(2a)と(2b)を見る限り、‘when~’「~のとき」の場合と同じく、このルールに従うようです。

ここで、確認として、(2a)の場合も、カタチとしては、やはり、(1a)の、<when+文 (I see John tomorrow)>が、他の文である、‘I will tell him the truth’にかかっているのですが、これと同様に、(2a)の、<if +文 (it is fine tomorrow)>も、他の文である、‘we will go on a picnic’にかかるカタチになっているのがわかると思います。このように、「時」を表す、<接続詞+文>のカタチの場合と同じく、「条件」を表す、‘if ~’「~ ならば」も、接続詞であり、<接続詞+文>のカタチになっています。そこで、一応、以下のようなルールが成立します。

(3)「時」や「条件」を表す副詞節中では、これから先のことを言おうとするのに、
   「未来」の‘will’は用いず、現在時制で表現する。

とりあえず、(1a-b)と(2a-b)の文法性に関しては、英文法の解説本などを調べると、(3)のような定義になっていて、これが、スタンダードなものとなっています。定義(3)では、EG30の定義(6)に、「条件」の概念が加わっているのがわかります。ちなみに、「副詞節」というのは、ここでは、< >で括られている表現のことです。 (EG44参照)

しかし、既に、EG30で確認した通り、(3)のように、「時」と「条件」の概念を、別々に述べて、あたかも、それぞれが、独立した項目であるかのように、理解するのは、本質的ではないと思われます。「時」に関係している<接続詞+文>は、過去のことを述べるときとは違って、これから先のことを述べようとする場合は、必然的に、「条件」を含んだ内容になっているからです。ですので、定義(3)の本質は、「条件」の概念が、ベースになっていて、付随的に、「時」に関係する表現も、「条件」の言いかえとして表せる、と見るのが正しいようです。

例えば、これから先、こうなったら、そのときには、かくかくしかじかのことをします、という文においては、ある「条件」にもとづいて、あることをする、と言っているわけですから、「~ とき ・・・ する」の、「~ とき」の部分が、一種の「条件」を提示していると言えます。ですので、そこで、「条件」という概念と、未来の‘will’との関わり合いを考えてみたいと思います。

(4) It will be fine tomorrow. (明日は晴れるだろう。)

(4)は、‘will’が使われていて、OKですが、普通、天気が晴れかどうかというようなことは、完璧な予測が不可能で、「予定」としては成り立ちません。このように、予測が不可能であったり、「予定」として成り立たないような表現は、‘tomorrow’「明日」といった、これから先のことを表す表現をともなうと、普通は、‘will’が必要となります。しかし、以下のような場合もあります。

(5) I will be twenty years old next month. (オレは、来月で20歳だ。)

(5)では、来月で20歳だ、ということを言っていますが、これは完璧に予測が可能です。だから、この場合の‘will’は、「単純な未来」を表現している、といえるのですが、OKなんです。ですので、予測が可能か否かということは、‘will’の出現可能性に対する基準にはなりません。そこで、(4)と(5)を、別の観点から考えると、(4)と(5)は、予測可能性に差はあるわけですが、共通点としては、どちらも、「話者の判断」が含まれている、と言えます。

(6)a. The queen、[ who opens Parliament tomorrow ]、may be detained
    at the airport. (〇)
    (女王様は、[ 明日、議会を開くが ]、空港で拘留されるかも知れない。)

   b. The queen、[ who will open Parliament tomorrow ]、may be detained
    at the airport. (×)
    (訳同上)

(6a)は、関係節である、カギカッコ内で、‘tomorrow’が使われていますが、‘will’のない現在形‘opens’で、OKです。しかし、一方で、(6b)は、関係節である、カギカッコ内で、‘will open’のカタチになっていますが、アウトなんです。

これは、‘will’が、「話者の判断」を含意している確かな証拠となるもので、(6a)は、‘opens’「開く」が、現在形ですが、現在形には、「予定」を含意させることは可能です。そこで、(6a)の現在形‘opens’は、単なる「予定」を表現していますので、女王の議会開催という「予定」が、くつがえされるかも知れない、と話者が「判断」することは、あり得るわけですね。しかし、(6b)では、話者自身が、‘will’を使って、女王の議会開催を確信するという、「判断」を下しているのに、一方で、それが妨害されるかも知れない、と「判断」するのは、意味的に矛盾することになります。

(7) It is fine tomorrow. (×) (訳同(4))

(7)は、(4)の‘will be’を、現在形‘is’にかえてみましたが、アウトです。これは、もちろん、天気を「予定」として組むことなど不可能だからです。これから先の天気を述べる場合は、「話者の判断」が含まれるのが当然と言えます。ここから、(5)の‘will’を考えると、話者が、生年月日を間違えていないなら、当然、来月で20歳になる、と確信する「判断」を下していると言えます。

ですので、結論として言えるのは、予測可能であるような「単純な未来」は、「話者の判断」という概念とは、お互いに独立した別個の概念であり、かつ、必ずしも、お互いが矛盾を引き起こすものではない、ということです。ですので、(5)にあるように、予測可能な単純未来でも、「話者の判断」が入り込むことは十分にあり得ます。

ここで、定義(3)にもどって考えると、「条件」の概念は、「話者の判断」含む‘will’を排除する、と言えるでしょう。(2a)がOKなのに、一方、(7)がアウトです。そして、(2b)がアウトなのに、一方、(4)がOKです。こういった逆説的なことが起こる原因は、「予定」としては成り立たない、「話者の判断」が必ず含まれる天気の予測に対して、「話者の判断」を排除した意味を、「条件」という概念が要求しているからに他なりません。

つまり、「条件」という概念は、「話者の判断」とは矛盾を引き起こす概念だと言えます。英文法の解説本にあるような定義(3)は、実は、ただ単に、英語学習者が、未来は‘will’で表現する、とだけ認識している場合が多いので、それにつられないようにするために、注意点を述べているに過ぎないもので、本来、正しい認識は、「条件」の概念は、「話者の判断」を排除する、というものです。定義(3)では、それを、「現在時制で表現する」とこっそり、言いかえているんですね。

(8) a. <If Mary must know John's affair>、she will go mad. (×)
    (<メアリーがジョンの浮気を知っているに違いないなら>、発狂モンでしょうね。)

   b.<If Mary knows John's affair>、she will go mad. (〇)
    (<メアリーがジョンの浮気を知っているなら>、発狂モンでしょうね。)

(9) a. <If John may be in his office>、I will go there. (×)
    (<ジョンが事務所にいるかも知れないなら>、そこまで行きますよ。)
   
   b. <If John is in his office>、I will go there. (〇)
    (<ジョンが事務所にいるなら>、そこまで行きますよ。)

(8a)がアウトなのは、もちろん、話者の強い推量 (つまり、「話者の判断」) を表す‘must’「~ にちがいない」が、< >内で使われているからです。さらに、(9a)もアウトですが、これも、もちろん、話者の推量 (つまり、「話者の判断」) を表す‘may’「~ かも知れない」が、< >内で使われているからです。

そこで、‘must’「~ にちがいない」や、‘may’「~ かも知れない」が、定義(3)に含まれていないのは、なぜなのかと言うと、(8a)や(9a)は、対応する日本語訳を見てもわかる通り、もともと日本語にしても、おかしいと感じられるからなんですね。日本語としては、(8b)や(9b)の日本語訳の方が自然な表現ですからね。ですので、始めから、英語学習者は、正しく、(8b)や(9b)の英語を使うだろうから、カン違いする可能性は低い、と考えられているわけですね。

今回のポイントは、英文法の定義(3)は、実は、典型的な日本人向けの注意書きのようなもので、本来の定義とは異なる、ということです。EG30では、「時」と「条件」の概念が、副詞節の中で重なり合うものである、という観察をした後、「条件」の概念に1本化される、ということを見ました。

さらに、今回、その「条件」の概念は、未来の‘will’というよりも、むしろ、「話者の判断」を排除する概念であることを見ました。この一般化の正しさは、(8a-b)と(9a-b)の各ペアの文法性からも支持されると思います。そして、助動詞‘will’は、(5)のような例ですら、純粋に単なる未来を表現しているのではなく、大なり小なり、「話者の判断」が混じっているということも注意点です。これは、未来のことは、現在や過去のこととは違って、「事実」としては成り立たないという、至極当然のことからくる帰結だからです。

■注1 :She'll be happy <if you will help her with her homework>.「<宿題やるのを手伝ってくれたら>、彼女は喜ぶでしょうね。」のように、<if+主語+動詞 ~>の主語が、自分でやろうと思えばできることに関しては、「主語の意志」を表す‘will’を使うことが可能です。ここから、(6b)の関係節、‘who will open Parliament tomorrow’ の中にある‘will’は、「話者の判断」ではなく、「主語の意思」、つまり、「女王様の意思」を表現して、「明日、議会を開くつもりでいるが」、という解釈ならば、OKにすることができます。

■注2 :よくある、定義(3)の詳しい説明として、定義(3)の副詞節の内容は、「確定」されたことを述べている、というものがありますが、以下の例からは、説得力に欠ける説明だと思われます。‘<If it is possible that John is in his office>、I will go there.’「<ジョンが事務所にいる可能性があるなら>、そこまで行きますよ。」、という文は、(9a)から、「話者の判断」のみを取り除いた、「可能性」に言及している文、と言えますが、OKになります。このように、「話者の判断」になりさえしなければ、「確定」されていない内容を表現する文であっても一向に構いません。


● 関連: EG29EG30EG44

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