断片/黄昏の向こう側で
(詩人の墓参り)
木々の枝の蕾はまだ固かった
詩人の墓をたずねる
夕べの激しい雨もやんだ、彼岸の前日
吉浦さんの車で
市内の外れを走った
大塚あたりで
ようやく陽射しがやわらぎ
曹洞宗のお寺の境内にたどりつく
入り口には
瀧口家と記された
いくつもの墓がある
みんな遠縁かな
(滝口と瀧口の違いは?)
やっと、目的の
黒の御影石の墓の前で
さんずいのありなしのちがいもわからないまま
詩人の郷土での
暮らしにおもいをめぐらせた
「写真いちまい撮っておこうか」
墓地に薄日がさしこめて
残雪の山々がくっきりとうかびあがる
立山連峰ははいごにあたる
なぜか郷里の象徴に背をむけている
詩人の墓だ
いや背をむけていたのは
郷里のほうだったか
多くの瀧口家の墓のなかにあって
なぜか詩人の墓の家紋だけがぽつんとことなっている
なぜか、なぜなのか
日没までの謎はふかまるばかり
(夜になれば、
「神話」が「神秘」に変わる?)
とつぜん、境内の入り口で
「さようなら」と
手を振っている少女
あれはお寺の女の子だったか?
それとも
いくら謎のすきな詩人でも
墓の見張りを頼むなんて
(あるわけないか)
ここについたときから
ずっと、ひとの視線を感じていたが
墓地を徘徊するわたしたちは
きっと怪しい者にみえたか
辺りはすっかり夕闇のなかだった
*今朝は何となく昨日と比べて肌寒苦感じます。
なかなか春らしい日が続きませんね。
(詩人の墓参り)
木々の枝の蕾はまだ固かった
詩人の墓をたずねる
夕べの激しい雨もやんだ、彼岸の前日
吉浦さんの車で
市内の外れを走った
大塚あたりで
ようやく陽射しがやわらぎ
曹洞宗のお寺の境内にたどりつく
入り口には
瀧口家と記された
いくつもの墓がある
みんな遠縁かな
(滝口と瀧口の違いは?)
やっと、目的の
黒の御影石の墓の前で
さんずいのありなしのちがいもわからないまま
詩人の郷土での
暮らしにおもいをめぐらせた
「写真いちまい撮っておこうか」
墓地に薄日がさしこめて
残雪の山々がくっきりとうかびあがる
立山連峰ははいごにあたる
なぜか郷里の象徴に背をむけている
詩人の墓だ
いや背をむけていたのは
郷里のほうだったか
多くの瀧口家の墓のなかにあって
なぜか詩人の墓の家紋だけがぽつんとことなっている
なぜか、なぜなのか
日没までの謎はふかまるばかり
(夜になれば、
「神話」が「神秘」に変わる?)
とつぜん、境内の入り口で
「さようなら」と
手を振っている少女
あれはお寺の女の子だったか?
それとも
いくら謎のすきな詩人でも
墓の見張りを頼むなんて
(あるわけないか)
ここについたときから
ずっと、ひとの視線を感じていたが
墓地を徘徊するわたしたちは
きっと怪しい者にみえたか
辺りはすっかり夕闇のなかだった
*今朝は何となく昨日と比べて肌寒苦感じます。
なかなか春らしい日が続きませんね。