遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

詩「雨なのに青い空」

2010-04-20 | 現代詩作品
雨なのに青い空



「のうてんき」は辞書では
能天気、とも脳天気、とも書き
軽薄でむこうみずのさま。
生意気なさま。深く考えないさま。
であるという

だが、いつころから
流布したことばか
プロレスの
のうてんさかおとし、は
ノーテンだから

雨なのに
さかさに落ちる
青い空を、想像していて
こどものころから
爽快なきぶんを感じていた

直江津
浜谷(無人駅)
有間川(無人駅)
名立(無人駅))
筒石

能生
浦本(無人駅)
梶屋敷(無人駅)
糸魚川
青海

親不知(無人駅)
市振(無人駅)
越中宮崎(無人駅)

入善

二〇十〇年代までには
直江津駅から入善駅までの区間で
半数以上が
無人駅となってしまった
振り返ると

上野から入善まで
夜行列車では
朝方に
中野重治の「しらなみ」を
決まって思い出していた

入善駅での一番の記憶は
富山方面の空が真っ赤な炎に包まれた
明け方の空の光景(一九四五年の)
一年生だった男の児の脳裏から
消えることはなかった

今は「しらなみ」もトンネルの中
いや朝方に通過する列車が
もう消えてしまって
親不知あたりでは、
雨が降っていてもなぜか青い空が見える

あの頃の
のうてんきさはかわらないが
注意深く見ると
あの「しらなみ」は、高速道路の橋桁に
ぽしゃりと跳ね返えって淋しくないか