遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

詩「不適切な時をうえつける」

2010-04-15 | 現代詩作品
不適切な時を植えつける



空の鏡を
飛び越えそこねて
時のしぶきに
ずぶ濡れた
こどもの頃のありふれた夢も
歳とともにうすれてしまい
時間の観念が
あるのか、ないのかわからない
猫になったみたいだが

人間の時間をあきらめて
猫の時間を生きるには
言葉は邪魔になるようだが
やさしくどう猛なひとびとの
心はすれちがい
あいまいな意味を生きる
死者として語られる
そんな恩恵に
「みなさん、そうされています」

誰かがどこかで
失われてしまった時間の死を夢見るように
観念の死を生きることは
安楽なのか
苦痛とおもうか
死はいつも他人のことだから
深く考える時間を大事に思うほど
今度生まれてくる
猫の子のことばかり心配している

空の鏡に
顔をうつしてみて
遠回りする
そんな歳になったことを
喜ぶべきか、歎くべきかは
今度生まれてくる猫の子にも
不適切な夢の時間を
植えつけますか
「みなさん、そうされています」


*今朝は肌寒く、今にも雨が降りそうな空模様です。
もう四月半ばなのに、不思議な天候ですね。
こちらの痴呆の農家の方がたも、田植えの時期のずれについて
心配されているようです。