10年ぶりくらいで、あたご劇場に映画を見に行きました。
あたご劇場と言えば、高知にシネコンがやってきて以降、高知市内の映画館が続々と閉館になっていく中、
唯一残っている高知の老舗であり、また家族経営という点でもレアな存在感を放っている映画館。
数年前に創業者の方がお亡くなりになられた時、高知新聞などでも取り上げられていましたが、
現在はその息子さん夫婦(と言っても、恐らく60歳を超しておられます)とそのまた息子さんで経営しているとか?
ここでは、新作映画でなく、昔の映画や、既に上映が終了している少し前の映画を見る事ができます。
只今、成宮寛貴主演の「ばかもの」という映画がかかってまして。
映画は映画館で見るのが好きなので、久しぶりにあたご劇場に行ってみるかと仕事帰りに劇場へ。
18時からの上映で、17:20くらいに着いたら、劇場は閉まっていて、
チケット売り場のところに「17:45から開場します」と書かれた紙が貼られており、思わず笑ってしまいました
で、少し時間つぶしをして、17:45に劇場に戻ってきたら…なんと、まだ開いていない~~
そして、想定はしていたものの、どうやら私以外で18時の上映を見に来ている人は居なさそう…
オロオロしながら劇場前で待っていると、
自転車に乗ったおじいさんがす~っとやって来て、私を見て「映画見に来たが?」と。
「ハイッ。映画見たいです」と答えると、「ちょっと待ってよ~」と言って入口を開けてくれました。
小さなロビーでは、ガラスケースにポッキーやミレービスケットなどのお菓子が売られており、
過度な利益を取ることもなく、全てが150円くらいまでの良心的な値段で、小さい頃の近所のお菓子やさんを思い出します。
その隣で売ってる缶ジュースは、最近あまり見かけない、細長い形の250ml(だっけ?)の缶で、
小さい頃の自販機のジュースって、この形だったよな~と、またまた記憶が昭和へタイムトリップ。
ガラスケースの上には、段ボール箱に無雑作に投げ込まれたプレスシートが300円均一で売られていたり、
上映が終わった古いポスターをひとまとめに突っ込み、「ボロポスター」と書いて売ってたりと、適当さが良い感じ
劇場内の電気をつけてくれ、中に入ると、
スクリーン手前の小さなステージの上に鏡餅が飾られていて、ほのぼのとした気持ちになりました。
100席ほどの座席数がありますが、そこに一人座り、貸し切り状態で映画がスタート。
昔の映画館だけに、館内には勾配がついておらず、全て同じ高さで席が配置されています。
前に背が高い人が座ったらアウトって感じですが、一人なので気にする必要なし
高知にシネコンができてからは、あたご劇場に1回も来た事がなかったし、
シネコンに慣れてしまうと、昔ながらの映画館では映画見れないな~と思ってたけど…。
久しぶりに訪れたあたご劇場は、自分の小さい頃の昭和な風景がよみがえってくるようで、
ジュース置き場もなく、背もたれも低い、ちょっと窮屈な座席すら愛おしく感じてしまいました
チケット販売、モギリ、映写の全てをオーナーのおじいさんがやっておられたようで、まさに自給自足の映画館
一見、大雑把な感じですが、劇場前の映画告知スペースは、
映画の1シーンの写真(プレス用のものでなく、自前で調達したっぽい感じの)がバランス良く配置されて、
ステキな感じに仕上がっており、映画への愛情を感じさせるところがニクイ…
シネコンの快適さはもちろん魅力ですが、あたご劇場ならではのレトロな魅力を再発見し、
また興味のある映画がかかったら見に行こう、と、ウキウキした気分で帰路についたのでした