Manaboo 電子政府・電子申請コラム 

電子政府コンサルタントの牟田学が、電子政府・電子申請、その他もろもろ、気まぐれにコメントしてます。

電子政府におけるICカードとPKIの市場(3):ICカード化が進む公的な身分証明書

2007年04月25日 | 電子認証・署名

電子政府におけるICカードとPKIの市場(2):実績があるのは電子入札用と士業用』の続きです。今回は、ICカード化が進む様々な公共カード(身分証明書)を取り上げておきます。

「その他の公共ICカード」で既に導入されているものとしては、

・ICカード免許証
・IC旅券(電子パスポート)
・国家公務員ICカード

などがあります。

以前述べたように、ICカードには「電子証明書」が入っていないものや、PKI未対応で「電子証明書」を格納できないものがあります。

現在のところ、上記3つとも「電子証明書」を格納していません。

★参考資料
情報セキュリティ分野における技術ロードマップ~ICカードシステムにおける情報セキュリティ~(情報処理推進機構)
http://www.ipa.go.jp/about/pubcomme/200603/index.html

IC・IDカードの相互運用可能性の向上に係る基礎調査(情報処理推進機構)
http://www.ipa.go.jp/security/fy18/reports/ICID/index.html

NTTデータ:行政分野でのICカードの利用事例にみる その役割と今後の活用(PDF)
http://www.nttdata.co.jp/bs2005/pdf/bs05_d2_04.pdf


 

●ICカード免許証

「ICカード免許証」の発行は、2007年(平成19年)1月に始まったばかりです。

現在、運転免許保有者数は約7800万、新規の運転免許証交付件数は年間で約150万件となっており、市場規模としては抜群に大きいですね。

この「巨大な市場規模」に加えて、ICカードの発行枚数を決める2大要素である

・強制(取得、携帯等の義務化:自動車を運転するなら免許証は必携)
・切替(新規、更新等で旧カードと交代:免許保有者の大多数が更新して切替)

があるので、発行枚数は確実に増えていき、日本で最大枚数の公共ICカードになるのも時間の問題でしょう。

★参考資料
警視庁:ICカード免許証
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/menkyo/ic/ic.htm

ICカード化運転免許証及びその運転免許証作成システム等の仕様について(PDF)

運転免許統計(警察庁)
http://www.npa.go.jp/toukei/menkyo/main.htm


 

●IC旅券(電子パスポート)

「ICカード」の形態ではありませんが、パスポート(旅券)もIC化され、2006年(平成18年)3月から発行されています。

パスポートの年間発行冊数が約360万、有効旅券数が約3500万冊となっており、市場規模は「ICカード免許証」に次ぐ大きさです。

こちらも、「強制&切替」の要素があるので、発行数は順調に増えていくと予想されます。

★参考資料
IC旅券の発行を開始しました(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ic.html

電子パスポート(情報処理学会 情報規格調査会)
http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/passport.html

旅券統計(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/passport/index.html


 

●国家公務員ICカード

「国家公務員ICカード」は、国家公務員の身分証明書をICカード化したもので、入退管理やログイン認証といった利用を想定して、2005年度(平成17年度)から順次導入(内閣官房・内閣府、防衛庁、外務省、経済産業省など)されています。

実際、作者も省庁の建物へ入る際に、受付で来客用のICカードを渡されて、入退管理ゲートを通るといったことがあります。

処分権限のある大臣等には、既に政府認証基盤(GPKI)から官職証明書(電子的な「公印」として機能)が発行されていますが、今のところ国家公務員ICカードとの連携は考えていないようです。

仕様が一般公開されておらず、発行枚数等の情報も未公開なのですが、「IC・IDカードの相互運用可能性の向上に係る基礎調査」によると、各府省職員の身分証明書として4万枚、通行証として6~7万枚の発行を見込んでいるとのこと。

国の行政機関の定員が平成19年度で32.8万人(非常勤職員等を除く)となっており、市場規模としては、それほど大きくありません。

国家公務員ICカードも「強制&切替」なので枚数を増やすことは簡単ですが、「業務・システム最適化」の流れで「職員等利用者認証基盤の整備」が進められていることもあり、今後については、PKIへの対応を含めて慎重に検討する必要があるでしょう。

★参考資料
国家公務員身分証明書のICカード化(PDF)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai26/26siryou8.pdf

e-Japan戦略II加速化パッケージ
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/040206honbun.html

官職等の電子証明書を発行する認証局
http://www.gpki.go.jp/cas/index.html

国の行政機関の定員
http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/satei_02.html

職員等利用者認証基盤整備の背景(PDF)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/dai15/15siryou2_2.pdf

職員等利用者認証業務の業務・システム見直し方針(PDF)
 

次回は、新たな公共ICカードとして注目される「健康ITカード」と「在留カード」を紹介したいと思います。

 



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