江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

本法寺

2015-08-01 | まち歩き

本法寺は、東京都墨田区に在るお寺です。文禄四年(1595年)に日慶により神田の地に創建され、慶安二年(1649年)に谷中に移転し、元禄二年(1689年)に本所の現在地に移り今に至ります[1]。古地図[2]には、霊山寺を挟んで、鬼平犯科帳シリーズ(池波正太郎著、文藝春秋)に度々登場する法恩寺の2軒北隣に描かれています。現在は、都心の寺社の多くがそうであるように、本法寺も江戸の頃と比べれば境内は狭まり、周りを住宅に囲まれるようになっています。しかし、法恩寺、霊山寺、本法寺の位置関係は江戸の頃とさほど変わらず、ほぼ同じままです。本法寺の墓所には、室町時代の絵師で、狩野派の二代目である狩野元信の墓が在ります。

本法寺は、時代小説の中では、「北町奉行所朽木組 隠れ蓑」(野口卓著、新潮社)収録の「木兎引き(ずくひき)」の中に登場しています。北町奉行所の定町廻り同心・朽木勘三郎は、知人に誘われて出掛けた先で、見慣れぬ鳥を捕まえます。将軍家に仕え、鷹狩の餌にするための小鳥を捕らえる者でさえ見たことのない鳥。勘三郎は、本法寺とは横川を挟んで西側に屋敷を構える旗本が、半年ほど前に鳥屋からその鳥を買ったことを突き止めます。

 

[1] 墨田区教育委員会設置看板、平成16年3月
[2] 本所絵図、文久三年(1863年)

 

本法寺 東京都墨田区横川1-12-12
東武伊勢崎線とうきょうスカイツリー駅から約900m 徒歩約12分