聖坂は三田に在る坂で、「ひじりざか」と読みます。「聖(ひじり)」というのは、寺院に所属せずに、日本各地を旅して修行をしている僧のことで、その中でも高野山を本拠とする聖のことを高野聖(こうやひじり)といいます。聖坂は、高野聖が開き、その宿所があったために、こう名付けられたと言われています。
鬼平犯科帳(九)「本門寺暮雪」(池波正太郎著、文藝春秋)の中には、長谷川平蔵が労咳の知人を見舞うために、馬に乗って聖坂を上る場面が登場しています。坂の上には済海寺というお寺があり、平蔵は聖坂を上りきったところで、その門前に、かつての剣友で、現在は乞食坊主になり下がっている井関録之助の姿を見付けます。
済海寺は、安政六年(1858年)の日仏通商条約により、日本で最初のフランス公使館が置かれた場所で、その公使館は明治三年(1870年)まで使われました。
聖坂が登場するその他の作品
- 鬼平犯科帳(二)「お雪の乳房」(池波正太郎著、文藝春秋)
- 鬼平犯科帳(二十)「助太刀」(池波正太郎著、文藝春秋)
- 鬼平犯科帳(二十一)「男の隠れ家」(池波正太郎著、文藝春秋)
聖坂 東京都港区三田3-4-11
都営浅草線三田駅から約250m 徒歩約4分
聖坂
聖坂を上りきったところに在る済海寺