江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

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重松本立(人名)怪鳥に擢(つか)まる 「土佐風俗と伝説」天狗怪禽

2024-06-25 22:15:37 | 天狗

重松本立(人名)怪鳥に擢(つか)まる  「土佐風俗と伝説」天狗怪禽

                       2024.6

今は昔、賓暦(1751~1764年)の末の事である。
城下水道町(すいどうちょう:高知市)の医師に重松本立と言うものがあった。
ある夜、街上でふと怪物に攫(つか)まれ、空中に釣り上げられ、新越戸堀詰を過ぎ、潮江に落とされた。

雑喉場(ざこば)の下に居た谷三右衛門(小沼流馬術家)は、ちょうどその時、新越戸(しんこえと)の師の大山氏の宅よりの帰途であった。
空近くに、人の叫ぶ声がして、東南の方に飛んで行くのに気が付き、怪しみながら帰宅した。

そして、門前に繋いである小舟に乗って、川尻へ探しにに行ったが、そのツカまれていた人は、潮江へ墜とされた、とかであった。
海老をとっていた漁師に助け上げられていた所であった。
漁師と谷とが共に介抱して堤へ引き上げた。少し物に正気でない様子であった。
すぐに彼の家に知らせに、人を走らせ、彼(重松)を駕籠に乗せて帰らせた。

本立は、この事を恥じて癇(かん)症となり、逐に自殺した、と言う。

谷三右衛門より直接に話を聞いた、と楠瀬大技の筆記に見えている。
その筆記には、大鳥(鷲)に捕われてここに来たのであろう、と記してある。



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