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江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

河童に、証文に拇印を押させた話   「ありのまま」

2025-04-12 00:21:51 | カッパ

河童に、証文に拇印を押させた話   「ありのまま」

                         2025.4

原題は、「河太郎に、印形を押さしむ」  
 
長門の大津郡、向津(むこうつ:山口県長門市)と言う出島に、杉谷の池という大きな池があった。
その辺りに、藩主の馬をあづかり、野飼いのためこの池のほとりにつないで置く事があった。

それを、川童(かっぱ)がそのつないであった繩を身にまとい、池に引き入れようとしたのであろう。
馬は、大いに驚き主の屋敷に馳せ帰った。
河童は、繩をほどけなくて、引きずられるままであった。それで、あたりの者が寄りあつまって、河童を捕らえた。

「向津には、末代に―至るまで住まない」との証文を書かせた。
河童の手に墨をぬって、印鑑の代わりに花押として押させたのちに放免した。

その後、庄内に川童が住むことがなくなった。
その証文は、土地の神様の祠に込めたと言う。
貞享年中の事であると聞いた。

「ありのまま」 広文庫より


帯刀のカッパ  「ありのまま」

2025-04-12 00:17:23 | カッパ

帯刀のカッパ  「ありのまま」

                   2025.4

原題は、「大小刀を横たへたる河太郎」(侍の姿をした河童)であるので、帯刀の河童とした。


このカワタロウである源左衛門(げんざえもん)は、大小刀を帯びていたそうである。眷属は三百ばかりある事を語ったそうである。その後、しばしば来たが、その身に臭気があった故に近づいて来る事を嫌い、竹縁に座らせて話をしたそうだ。
肥後(熊本)の渋江、筑後の釜屋(この二人は、ともに陰陽師の如き者だそうだ)が率いていた川童のようである。
ついでに言っておこう。播州(兵庫県)の玉屑は、川童の毛をもっていた。その色は、狐の毛のようであって、水に入れれば、その形は見えないようになった。あやしいものであった。

「ありのまま」 広文庫 より