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黒駒 寺社参拝記

畿内を中心とした寺社参拝記です。主に西国三十三所や聖徳太子霊場を巡礼中です。

円満院門跡 その1

2009-06-15 06:36:27 | 近畿の寺社
大津の円満院門跡、今回急にこのお寺へ行こうと思い立ったのは、報道でご存知の方も多いと思いますが、
多額の負債を抱える円満院は先月末に大津地裁で重文の宸殿を含む建物と庭園が競売にかけられて
ある宗教法人が10億6700万円で落札するということがありました。この円満院は過去にも多額の負債に
からむ同様のことがあっていろいろ報道もされましたが、今回の落札で所有権が移転ともなれば今後の拝観が
できるのかどうか怪しくなってくるので、急遽拝観に訪れたわけです。

円満院は西国第14番札所である三井寺(園城寺)に隣接してあります。元々はこの三井寺の三門跡の
ひとつ(他は実相院と聖護院)でした。京阪の三井寺駅もしくは別所駅から徒歩で10分ほどです。

円満院の門前に着くと、いざ入る時いささか緊張しました。公式サイトも更新が停止していて現状がわからないので、
もしかしたら拝観がもうできないかもしれないとの不安も。重要文化財の宸殿の横を通り抜けて旅館の玄関のような
拝観受付の窓口へ行くと誰もいませんでしたが、呼び鈴を鳴らすと奥から出てきてくれはりました。
「宸殿を拝観したいのですが・・・」と申し出ると「はい、では400円になります」との返事。やった!拝観できる・・・と
一安心。そしてすぐに宸殿へと入りました。

円満院門跡・・・創建は平安中期の寛和3年(987)になります。維新前までは法親王が住職を務める
門跡寺院です。重要文化財である宸殿は江戸初期の後水尾天皇や明正天皇が住まいした御所を下賜したもので
江戸初期の内裏建築の遺構として貴重な建物です。

格式ある唐破風玄関と宸殿。玄関前は白砂が敷いてあります。


宸殿は書院造り。写真に見える襖絵は複製。現物は京都国博が所蔵。


玉座の間。


宸殿の奥に本堂がありますが、拝観者は入堂できません。


宸殿に面してこちらにも国指定の名勝庭園がありますが、次回にUPします。

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比叡山 滋賀院門跡 その2

2009-06-14 12:46:17 | 近畿の寺社
さて、昨日の続きで・・・。書院・内仏殿と進んで、次に宸殿に入ります。宸殿にある「天台座主接見の間」 
掛け軸は「太陽麒麟」 清朝に贈呈される予定だった元絵だが日清戦争勃発で贈呈されることなく
宮中から延暦寺へ下賜された品だということです。


屏風には江戸期の公家が書いた古筆色紙が貼られています。


天上輿。現代でも4年に1度の古儀法華大会にはこの輿に勅使や座主が乗輿するそうです。


宸殿に面する庭園は小堀遠州の作と伝えられていて国の名勝指定を受けています。




近くに流れる権現川から引いた滝の落ちる音がとても心地良いです。風が吹くと木々の葉のゆれる音も
混ざりあって絶妙な音のコラボに・・・。








以上、滋賀院門跡には1時間半近くいて堪能しました。ずっとひとりで独占です。帰るときはお見送りまで頂いて、
これほど丁寧に応対してくれる寺院も初めてでしたね。さて次は三井寺横の円満院門跡へと向かいます。

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比叡山 滋賀院門跡 その1

2009-06-13 22:57:36 | 近畿の寺社
梅雨入りしたけど雨は降っていない今日、大津の2ヶ寺・・・いずれも門跡寺院であるお寺へ行きました。
滋賀院門跡と円満院門跡。今回はまず滋賀院門跡について書きたいと思います。

滋賀院門跡は比叡山の麓にあって天台宗総本山延暦寺の本坊です。開祖は徳川家康・秀忠・家光に仕えた
天海大僧正で江戸時代を通じて天台座主の里坊でした。天台座主は維新前までは法親王が務めたので
里坊である滋賀院は門跡寺院です。

京都市内から公共交通機関を使って行くと、京都市営地下鉄から京阪に乗り入れる浜大津直通電車に乗り、
浜大津で坂本行きに乗り換えて終点の坂本で下車すると徒歩で10分ほどのところにあります。
日吉大社の鳥居をくぐると案内板があるのですぐにわかります。

建物群は明治初年に焼失したので現在残る殿舎は焼失以降に比叡山上の建物を移築したものです。
比叡山中学を通り過ぎると立派な石垣の上に門跡寺院の格式をあらわす五筋の壁と勅使門が見えます。


城郭のような石垣ですが「穴太衆(あのうしゅう)積み」と言われる石組みです。
延暦寺の里坊の多くにこの穴太衆積みが残ります。


通用門を通ると庫裡と拝観受付のある玄関へと進みます。拝観は午前9時から。




拝観受付に入るとチャイムが鳴って奥から受け付けの人が出てきはりました。この時期はあまり拝観者が
こないんでしょうかね?土曜日の午前の約1時間半ほどいましたがずっと僕ひとりだったし・・・。

それで拝観料を納めると、受付の人が「それでは少しの間、滋賀院の説明をさせていただきます」と言って、
僕ひとりに10分ほど説明をしてくれはりました。それもすごく丁寧に。これには驚き。複数以上団体客に説明をする
お寺はありますが、予約もなしに普通に訪れたひとり相手にここまで説明してくれるお寺は初めてですね。
それで「写真もご自由に撮影なさってけっこうです」おおっ!サービス?満点やん?

建物は「書院」「宸殿」「内仏殿」「庫裡」などがあります。では拝観順序に沿っていきましょうか。
まずは「書院」 2階建てで6室から構成されています。各部屋には狩野派や長谷川派の障壁画がはめてあり、
滋賀院ゆかりの品が展示してあります。間近で見れて写真撮影もOKですよ。


右:徳川十代将軍家治寄進の鏧子(きんす) どんな音色なんだろ? 


天台座主が乗る長棒駕籠。中には書見台や肘置きなどがあって当時の高級車?


次に「内仏殿」 ご本尊は薬師如来。


内仏殿は階段上にありますが、階段壁に声明ライブのポスター。ん?平成16年?・・・5年前(笑)


両界曼荼羅


今日はここまで。次回は宸殿と宸殿に面した名勝指定庭園をUPします。

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三千院の写真を数点・・・

2009-06-03 20:51:03 | 京都の寺社・御所・離宮
先日行った三千院の写真を数枚UPします。
その前に三千院の紹介をちょこっと。

三千院は天台宗のお寺で維新前は法親王を門主とする門跡寺院です。
三千院という寺名は明治になってからつけられた寺名で、
維新前までは「梶井宮門跡」「梨本宮門跡」などと称しています。
そもそも元からこの大原の地にあったお寺ではなくて、洛中にあった
本坊を維新後に移転してきたお寺です。

三千院は山里の大原にありますが、門前・参道にはけっこう多くの
店があって、田舎にしては観光地の賑わいをみせています。


紅葉の季節には開門前から千人規模の行列ができるらしいです。
それだけあって庭園のかえでや苔はさすがに美しいですね。




右側の建物は重文の「往生極楽院」 元は三千院の建物ではなく別のお寺でした。
本尊は国宝の阿弥陀三尊。脇侍の観音・勢至菩薩が正座しています。


庭園のなかにぽつねんと立つお地蔵さん。




境内にはこの他に宸殿・客殿・観音堂・金色不動堂などがありますが、
いずれも近代に建てられたものです。

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三千院門跡~御懺法講(おせんぼうこう)~

2009-06-01 21:38:29 | 京都の寺社・御所・離宮
30日はまず朝一で清水寺へ参詣の後に大原の三千院へ行きました。
三千院は紅葉の名所として全国的にも有名なお寺ではないでしょうか。
僕は今回、初めて行きました。

三千院では毎年5月30日に最も重要な法要である「御懺法講」が
執行されます。「御懺法講」とはかつては平安末期から宮中で行なわれていた
天皇家の法要で罪を懺悔して極楽往生を祈る儀式です。
すべて声明と雅楽によって行なわれます。宮中儀式を継承しているので
この法要には皇室から勅使が発遣されます。

午前11時から三千院の宸殿において開始。この日はこの法要のために
一般参拝者は殿内には入れませんが、庭園側から焼香することができて
その焼香する間は殿内の法要の様子をわずかながら拝観できます。
まあせいぜい2~3分ぐらいですか。あまり長く焼香台の前にいると係の人から
下がるように言われます。それでももうちょっと見たい人は時間をおいて
再び焼香するか・・・ですね。僕も3回焼香しましたよ(笑)

三千院門主が導師を勤めて、仏尊像の周りを僧侶が散華をまきながら
回る所作をするみたいです。
声明は境内(山中)のいたるところにあるスピーカーから流されるので
どこにいても聴くことはできます。もうちょっと希望をいえば映像を
モニターとかで流してほしいですね・・・。
法要は2時間ほど午後1時頃終了しました。

三千院御殿門。この日は宸殿に入れないので入山料は700円から500円にプライスダウンします。


焼香台から見れる宸殿内の様子。


筆者所蔵の宮中御懺法講図。黄色の衣の僧侶が導師の法親王で、仏尊像の後ろに
チラッと装束だけ見えている人物は御引直衣を着した天皇と思われます。


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