Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

IT企業のM&Aがリサーチ会社にも波及?

2004-12-29 | ◆ビジネス
IT系のリサーチ会社であるガートナーが、同業のメタ・グループを$162mで買収することとなった。

"Gartner To Buy Meta Group For $162 Million" Information Week

Information Week誌によれば、この買収によってITリサーチの選択枝が更にせばまり、ガートナー、フォレスター、IDCくらいになると言う。リサーチ会社は、アナリストの給与がコストの大半を占めるようなイメージがあるが、ガートナーは76、メタは52のオフィスを世界に持っているという。そのためオペレーションそのもののコストがばかにならないものらしい。それゆえに規模の経済が働くのであると。

ガートナーも売上は増加しても収益は圧迫されているようなので、今回の合併の引き金がIT業界の不況にあることは間違いない。あるいはIT業界への失望といった方が良いのかもしれない。ある意味、リサーチャーはITへの期待感を盛り上げ、そして裏切る共犯者でもある。

顧客の期待へITが応えていくことが、ITリサーチ会社の再興にも繋がるに相違ない。できれば、あまり集約するよりは、特色のあるリサーチ会社が複数存在している方がありがたい。

新生銀行の収益構造

2004-12-28 | ◆ビジネス
新生銀行は、条件付ながら1%住宅ローンを売り出すなど、一見融資に積極的なように見える。だが、その中間決算の発表によれば、業務粗利益に占める非金利収入の割合が65%にもなる。新生銀行発足当時が15%程度というから、大きな変化である。

ちなみに、日銀の調査によれば、2003年末において大手行の非金利収益の割合は33%、地方銀行は10.7%である。

非金利収入の増大によって、貸倒れなどの信用コストの増大に怯える必要はなくなる。一方で、アプラスの買収など、収益性の高いといわれる個人向け貸し出しへの進出を果たしている。ここからが正念場か。

総務省、インドのIT企業とのプロトコル作り 

2004-12-27 | ◆ビジネス
総務省がソフトウェア開発の海外委託に絡み、契約上の指針を作成するという。

「ソフト開発、海外委託の紛争回避へ・総務省指針作成」 Nikkei BP

より具体的には、インド及び中国への開発委託に絡むトラブル回避を狙ったもののようだ。ただ、契約上の問題は、ソフトウェア会社自身が自ら改善努力を重ねるもので、総務省の力を借りるべきものではないと思うのだが。また、プロジェクト・マネージメントが個人のコミュニケーション能力に依存する現在のITサービス業界において、単に契約を整備するだけでは、契約上の問題は整理できても、プロジェクトの成功へは結びつかない。

日本のIT業界による海外委託が進まないことに業を煮やした総務省のイニシアチブであるとすれば、IT業界自体に更なる努力が求められよう。ただ、ことの本質は契約の整備だけではないという認識の方が、更に重要だろう。


日本オラクル、クリスマスプレゼント無し

2004-12-26 | ◆ビジネス
12月22日に発表された日本オラクルの中間決算は、芳しいものではなかった模様。

「日本オラクルが中間決算発表、アプリケーション部門が50.8%減収」 Nikke BP

売上全体では4.5%減の379億円。ERP関連のアプリケーション部門では50.8%減の6億円、同サービス部門では57.5%減の22億円。データベースは増収だったものの、目標を下回ったという。

データベースが伸び悩む中、ERP部門の成長力がオラクルの今後を支えなくてはならない。そのERP部門が成長の源泉として弱いが故のピープルソフトの買収である。今回の日本オラクルの中間決算を見ると、買収の成果をいかに出すかがオラクルの今後に大きく影響することは間違いなさそうである。

ただ、この買収劇が決着して以降、「ソフトウェア会社は規模だ」、といった論調が主流になりつつあるのには若干気がかりである。これはまた別の機会に考えてみたい。

ちなみに、私もクリスマスプレゼント無し。

うちの近所のドン・キホーテも燃えた

2004-12-26 | ◆ビジネス
昨晩遅くに車で帰ってくる際、消防車のサイレンが鳴り響くのが聞こえた。その後、家に入ってからはヘリコプターの飛び回る音が入り込んでくる。何事かと外を見ると、環八のあたりからじっと動かない。結構な火事でも起きてるなと思いながらも、それほど風が強いわけでもないので眠ってしまった。そうしたら燃えたのは近所のドン・キホーテであった。うちから車で5分なので何度か足を運んだこともある。かつては、必ず駐車場待ちの車が環八に列を成して渋滞を引き起こしていた。(最近はほど近いヤマダ電機の方が駐車場待ちは激しいが)

ドン・キホーテまた出火 環八世田谷店の店舗2階から (朝日新聞) - goo ニュース

それにしても、ドン・キホーテの事件を見るに付け、企業のリスク対策とCSR(Corporate Social Responsibility - 企業の社会的責任)の重さを感じざるを得ない。企業は常にリスクに晒されているが、そのほとんどは小さなものである。数は多くても事務ミスに起因するものなどは、大した被害はもたらさない。一方、予測困難で頻度も極めて少ないが、発生すると大きな被害をもたらすものがある。それは、今回のような放火であったり、あるいは天災であったり、内部からの不正であったりと。

そんななかでも、CSRへの取り組みは、こうした予測困難なリスクをある程度抑える効果がある。ドン・キホーテの場合も、多くの火災法令違反が指摘されているが、これもCSRへの取り組みが十分でないことに起因する。また、周辺住民との問題も同様である。CSRへの取り組みは、株主以外のステークホルダーへの意識を必然的に高め、バランスの良い経営を可能とする。結果的に予測不能な攻撃に突然晒されることを予防できるのである。

ドン・キホーテの株価の下落を見るにつけ、CSRへの取り組みを選定基準とした投資ファンドが組成されるのも最もかなと思う次第。