Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

「オフショアリング」から「ホーム・ショアリング」、あるいは「ホーム・ソーシング」

2004-12-29 | ◆ビジネス
アメリカでの新しい動き。いわゆるインドや中国への業務アウトソーシングを指す「オフショアリング」から、国内のホームワーカーに業務をアウトソースする「ホーム・ショアリング」へというトレンドが生まれつつあるらしい。

"Stay-at-home Reps Stem Offshore Outsourcing" Information Week

つまり、コールセンターをインドへアウトソースせずに、ブロードバンドを利用してホームワーカーの自宅と回線接続することで、コールセンター業務を米国内にある自宅から行わせようというものである。

そうした動きが出てきた要因として、①雇用の海外流出、②サービスレベルの低下が上げられている。また、それを実現するネットワークインフラが整いつつあるというのも当然背景にある。

「ホームショアリング」も、情報管理やサービスレベルの維持など、これはこれで課題をいくつも抱えることにはなろうが、インド系ベンダーにとっては新たな代替手段の登場となる。

日本の高齢者人口も、「ホーム・ショアリング」で活用するのも手かな。

ラジオを聞くのにお金を払うアメリカ

2004-12-29 | ◆ビジネス
アメリカでは衛星ラジオが好調なようだ。有料である。

"Satellite radio sees subscriber growth" CNet News.com

衛星ラジオのオペレーターは2社あり、XMが310万人、Siriusが130万人の契約者をこれまでに獲得しているという。日本では有料テレビという文化は定着したにしても、有料ラジオのマーケットはまだ考えにくい。

では、こうした契約増は何によってもたらされているのか。面白いのは、自動車メーカーが工場、あるいはディーラーにて衛星ラジオ受信機を車に装着するようになったことで、契約数が大幅に伸びたという話だ。つまり、衛星ラジオは、いくらラジオをのものを宣伝しても不十分で、その存在を補完することとなる受信機が消費者のもとに存在していなくてはならない。土地が広大なアメリカでは、それが車なのである。

では、受信機が車に設置されていれば、衛星ラジオは他国でもメジャーな存在となり得るだろうか? 例えば、これらの衛星ラジオ会社は欧州への進出もたくらんでいるが、ことはそれほど簡単ではないはずだ。衛星ラジオは広い範囲に電波を飛ばせることがメリットになるが、欧州ではそれは強みとはならない。

多くの国が存在するため、言語も文化も異なり、衛星ならではのコスト効率が生きないのだ。フランスでは一定割合をフランス語にする必要があるなど、規制も障害となる。また、衛星の電波は車で受信するには問題ないだろうが、家の中など遮蔽物があると受信状態が悪化する懸念もある。

ビジネスモデルというのは、モデル自体が独立して存在しているというよりは、それが存在する環境とセットで考えるべきなのでしょう、と別に衛星ラジオが他国で失敗したかまでは知らないのに、勝手に思ってしまうのでした。でも、テレビがありならラジオもありか、とつい思ってしまうあたりは怖いです。

IT企業のM&Aがリサーチ会社にも波及?

2004-12-29 | ◆ビジネス
IT系のリサーチ会社であるガートナーが、同業のメタ・グループを$162mで買収することとなった。

"Gartner To Buy Meta Group For $162 Million" Information Week

Information Week誌によれば、この買収によってITリサーチの選択枝が更にせばまり、ガートナー、フォレスター、IDCくらいになると言う。リサーチ会社は、アナリストの給与がコストの大半を占めるようなイメージがあるが、ガートナーは76、メタは52のオフィスを世界に持っているという。そのためオペレーションそのもののコストがばかにならないものらしい。それゆえに規模の経済が働くのであると。

ガートナーも売上は増加しても収益は圧迫されているようなので、今回の合併の引き金がIT業界の不況にあることは間違いない。あるいはIT業界への失望といった方が良いのかもしれない。ある意味、リサーチャーはITへの期待感を盛り上げ、そして裏切る共犯者でもある。

顧客の期待へITが応えていくことが、ITリサーチ会社の再興にも繋がるに相違ない。できれば、あまり集約するよりは、特色のあるリサーチ会社が複数存在している方がありがたい。