ボーダフォンが2月28日、「904SH」の発表に合わせて同社の戦略を明示した。英Vodafoneのグループ戦略に沿った海外端末をリリースするばかりでなく、日本市場ならではのハイエンド端末も積極的に開発していく。
会場ではまた、今後2Gから3Gへの移行をますます進めていくことも改めて話された。これらの施策によって、ボーダフォンが再び「イノベイティブな携帯キャリア」として認識されるようにする狙いだという。
ボーダフォンのプロダクト・サービス開発本部長、太田洋氏は日本市場が「新しいアイデアとかユニークなプロダクト(端末)を求められる先進的市場」だと強調する。しかし欧米などの海外市場では依然として、日本の新機種と比べると比較的低スペックの端末が多く出荷されている。これらの端末を日本に持ち込むことで、Vodafoneグループとしてスケールメリットを出す――という考えに、不振の原因の一端があったと見ているようだ。
「ボーダフォンには写メールで培ったイノベイティブ精神(=革新的なサービスに取り組む精神)がある。若干サビついたところもあるが、ここに再度フォーカスしようじゃないかと」
その言葉を裏付けるかのように、904SHには新技術が多く詰まっている。一番の注目はQVGAの4倍の解像度を実現した高精細のVGAディスプレイ。これによって、例えば地図などが格段に見やすくなるとうたう。またモーションコントロールセンサーにしても、従来の5軸センサーからレベルアップした6軸のセンサー(2月28日の記事参照)を搭載し「3次元の全方位姿勢角度の計測が可能になった」(ボーダフォン)。端末を地面に向けているか、空に向けているかをきちんと判断できるため、携帯を空にかざして星空を散策する「星座をさがそ」といった新アプリケーションも開発されている。
ボーダフォンがほかのキャリアに比べて積極的に搭載するBluetooth機能でも、新展開が見られた。半径約10メートルの範囲にいる友人・知人と遊ぶことができる“Bluetooth対戦ゲーム”を前面に押し出す構えで、904SHには対応ゲームの体験版がプリインストールされる(2月28日の記事参照)。またBluetoothを利用したチャットアプリケーションもプリインストール。近い距離でチャットするため「ちかチャット」と名づけられている。「サーバを介して通信を行うチャットと比べ、チャット操作のレスポンスが早い」(ボーダフォン)
また、ボーダフォンとしては初めて顔認証機能にも対応。さらにネットワーク側の技術として、無線通信を利用したソフトウェアアップデートにも対応した。米InnoPath Softwareのソリューションを導入したことによるもので(2005年10月13日の記事参照)、これによりボーダフォンショップに行くことなくバグフィクスを行える。現在の対応機種は904SHだけだが、今後は3Gのみ順次対応していく予定だ。技術としてはドコモに近く、「KDDIのようにユーザーの操作なく自動でソフト更新を行う機能はない。更新中に電話が一切使えない状態になることを考慮した」(ボーダフォン)という。これらはほかのキャリアでは実現されていた技術とはいえ、確実に追いついてギャップを埋めている。
ボーダフォンの津田志郎会長は、2Gから3Gへの移行もさらに進むと話す。2006年1月現在で、同社の3G端末は250万を突破。1年前と比べると3G比率も3.5%から16.8%にまで上昇しており、「来期のメインは3G端末になる」という。
いずれは2GのPDC端末はなくしていく考えだが、「すぐなくせるかというと、ユーザーが利用しているので難しい」と津田氏。しばらくは相応の機種数が継続して販売される見込みだという。ただし「ある段階で3Gのみに変わっていく。数年のうちに行おうというイメージだが、最終的にどこで変えるかはユーザーの意見をふまえながら判断したい」とした。
再び「イノベイティブな携帯キャリア」めざすボーダフォン
今回の発表を見て、真に革新的と言えるのはVGA液晶のみ。VGAを本当に生かすにはソフトやコンテンツが対応する必要があり、まだまだそれが整備されているとは言えず、「写メール」のような革新的なサービスの提供にまでは至っていないのが現状だ。液晶だけVGAでも、ボーダフォンliveのコンテンツやVアプリがQVGA用では意味がない。すべてが揃ってこそ、革新的サービスと言える。
モーションコントロールセンサーにしても、まだまだソフトやコンテンツが対応していないのがほとんどで、サービスにまで成長していない段階でしかない。
それ以外は自ら「ほかのキャリアでは実現されていた技術とはいえ、確実に追いついてギャップを埋めている」程度と認めていて、まったく目新しさは感じない。
相変わらず国産のフルブラウザ端末すら発売できていないし、唯一革新的なのはVGA液晶端末を発表しただけにとどまっている状況で、全体的に見ると、ちっとも革新的とは思えないのが現状だ。革新的キャリアを目指すというのは自由だが、ほとんどが他社の後追いで、その目標からは程遠いと思える。個人的には、真の革新的キャリアと言えるのは、メール定額、パケット定額、音声通話定額、フルブラウザなどを他社に先駆けて投入してきたウィルコムだと思っている。それがユーザーから支持され、最近の純増数にも結びついていると思う。
経営陣は「反転」とか「飛躍」ということばを口にしているが、頼みの綱のLOVE定額効果も1月には早くも薄れてしまい、純増数は低迷しつつある。ボーダフォンの2月の純増数次第で、本当に「反転」とか「飛躍」の方向に向かっているのか、再び「低迷」に向かっているのかが明確になるだろう。そういう意味では、今月7日あたりの発表がとても注目される。
会場ではまた、今後2Gから3Gへの移行をますます進めていくことも改めて話された。これらの施策によって、ボーダフォンが再び「イノベイティブな携帯キャリア」として認識されるようにする狙いだという。
ボーダフォンのプロダクト・サービス開発本部長、太田洋氏は日本市場が「新しいアイデアとかユニークなプロダクト(端末)を求められる先進的市場」だと強調する。しかし欧米などの海外市場では依然として、日本の新機種と比べると比較的低スペックの端末が多く出荷されている。これらの端末を日本に持ち込むことで、Vodafoneグループとしてスケールメリットを出す――という考えに、不振の原因の一端があったと見ているようだ。
「ボーダフォンには写メールで培ったイノベイティブ精神(=革新的なサービスに取り組む精神)がある。若干サビついたところもあるが、ここに再度フォーカスしようじゃないかと」
その言葉を裏付けるかのように、904SHには新技術が多く詰まっている。一番の注目はQVGAの4倍の解像度を実現した高精細のVGAディスプレイ。これによって、例えば地図などが格段に見やすくなるとうたう。またモーションコントロールセンサーにしても、従来の5軸センサーからレベルアップした6軸のセンサー(2月28日の記事参照)を搭載し「3次元の全方位姿勢角度の計測が可能になった」(ボーダフォン)。端末を地面に向けているか、空に向けているかをきちんと判断できるため、携帯を空にかざして星空を散策する「星座をさがそ」といった新アプリケーションも開発されている。
ボーダフォンがほかのキャリアに比べて積極的に搭載するBluetooth機能でも、新展開が見られた。半径約10メートルの範囲にいる友人・知人と遊ぶことができる“Bluetooth対戦ゲーム”を前面に押し出す構えで、904SHには対応ゲームの体験版がプリインストールされる(2月28日の記事参照)。またBluetoothを利用したチャットアプリケーションもプリインストール。近い距離でチャットするため「ちかチャット」と名づけられている。「サーバを介して通信を行うチャットと比べ、チャット操作のレスポンスが早い」(ボーダフォン)
また、ボーダフォンとしては初めて顔認証機能にも対応。さらにネットワーク側の技術として、無線通信を利用したソフトウェアアップデートにも対応した。米InnoPath Softwareのソリューションを導入したことによるもので(2005年10月13日の記事参照)、これによりボーダフォンショップに行くことなくバグフィクスを行える。現在の対応機種は904SHだけだが、今後は3Gのみ順次対応していく予定だ。技術としてはドコモに近く、「KDDIのようにユーザーの操作なく自動でソフト更新を行う機能はない。更新中に電話が一切使えない状態になることを考慮した」(ボーダフォン)という。これらはほかのキャリアでは実現されていた技術とはいえ、確実に追いついてギャップを埋めている。
ボーダフォンの津田志郎会長は、2Gから3Gへの移行もさらに進むと話す。2006年1月現在で、同社の3G端末は250万を突破。1年前と比べると3G比率も3.5%から16.8%にまで上昇しており、「来期のメインは3G端末になる」という。
いずれは2GのPDC端末はなくしていく考えだが、「すぐなくせるかというと、ユーザーが利用しているので難しい」と津田氏。しばらくは相応の機種数が継続して販売される見込みだという。ただし「ある段階で3Gのみに変わっていく。数年のうちに行おうというイメージだが、最終的にどこで変えるかはユーザーの意見をふまえながら判断したい」とした。
再び「イノベイティブな携帯キャリア」めざすボーダフォン
今回の発表を見て、真に革新的と言えるのはVGA液晶のみ。VGAを本当に生かすにはソフトやコンテンツが対応する必要があり、まだまだそれが整備されているとは言えず、「写メール」のような革新的なサービスの提供にまでは至っていないのが現状だ。液晶だけVGAでも、ボーダフォンliveのコンテンツやVアプリがQVGA用では意味がない。すべてが揃ってこそ、革新的サービスと言える。
モーションコントロールセンサーにしても、まだまだソフトやコンテンツが対応していないのがほとんどで、サービスにまで成長していない段階でしかない。
それ以外は自ら「ほかのキャリアでは実現されていた技術とはいえ、確実に追いついてギャップを埋めている」程度と認めていて、まったく目新しさは感じない。
相変わらず国産のフルブラウザ端末すら発売できていないし、唯一革新的なのはVGA液晶端末を発表しただけにとどまっている状況で、全体的に見ると、ちっとも革新的とは思えないのが現状だ。革新的キャリアを目指すというのは自由だが、ほとんどが他社の後追いで、その目標からは程遠いと思える。個人的には、真の革新的キャリアと言えるのは、メール定額、パケット定額、音声通話定額、フルブラウザなどを他社に先駆けて投入してきたウィルコムだと思っている。それがユーザーから支持され、最近の純増数にも結びついていると思う。
経営陣は「反転」とか「飛躍」ということばを口にしているが、頼みの綱のLOVE定額効果も1月には早くも薄れてしまい、純増数は低迷しつつある。ボーダフォンの2月の純増数次第で、本当に「反転」とか「飛躍」の方向に向かっているのか、再び「低迷」に向かっているのかが明確になるだろう。そういう意味では、今月7日あたりの発表がとても注目される。