

20XX-7-14 晴れ のち 薄曇り
ブラウントラウトの夏
本州方面の釣りブログなどを見てもブラウントラウトの話はさほど多くは見かけない。
漁協は危険な外来魚とみなして積極的な養殖・放流はしていないのだろうか。
北海道では一般に渓流の漁業権はなく従って漁協による継続的な放流もない。
ニジマスなどの放流は地元有志や一部マニアがゲリラ的に、どちらかと言えばこっそりと行うものがほとんどである。
唯一、阿寒湖漁協が阿寒川の漁業権を獲得しニジマス釣りを管理している。
渚滑川では滝上町が町おこしの一環としてニジマス放流を行っているが上流は貴重なオショロコマの聖域なので、そこを十分にわきまえてほしい。
かって北海道では行政からみで盛んにブラウントラウトの放流が行われた時期があった。もちろん地元有志による放流もあったようだ。
現在、それらのブラウントラウトの子孫は洞爺湖や支笏湖、千歳川水系、各地のダム湖や道南の河川と道東の十勝地方渓流ではよく繁殖しているようだ。
その他の地域では一般的に稀な魚で、あちこち散発的な記録があったが多くは現在絶えてしまったところが多いとおもう。
ブラウンといえどもどんな川にも定着することは無いとおもう。ブラウンが自然繁殖している川は多くは知らぬが、いずれもゆったりした流れで深いよどみがあちこちにあるような一種独特の雰囲気の川だ。いわばブラウンお好みの川とでも言えるかもしれない。
条件が整えばブラウンの繁殖力はすざまじく、よどみの岸辺にエサを付けた釣り針をたらすと稚魚がわっと雲霞のごとく集まってくる。
そんな水域ではもはやブラウンの完全駆除など不可能であろう。
ブラウンを釣ってみたいという釣り人の潜在的な憧れはかなり強いので釣り圧は相当なものだ。さらに道南の一部河川では駆除活動も盛んである。旺盛な繁殖力があるとはいうものの、総じてみれば北海道のブラウンは増えず減らずといったところが現状であろうか。
急にブラウンを釣ってみたくなり、ある夏の一日、ブラウントラウトの川として有名な静狩川を訪れた。
午後3時くらいに川へ入った。すでに一人釣り人が入っていた。
地元の釣り人でここにブラウンがいることはテレビや新聞の報道で初めて知って来てみたという。
ルアーで30cm1匹と20cmくらいの4匹を釣っていた。食べてみるそうだ。地元釣具店の話ではマスコミなどで報道されるたびに沢山の釣り人がどっとやってくるという。















一番下のプールで3匹、川をわたって二つ目のプールで5匹、その上の大プールの端で3匹の20-30cmブラウン若魚~幼魚を釣ったが撮影までに暴れて逃げられてしまうのが続出、撮影はあまりうまくゆかなかった。
50cm越えと思われるとても大きな一匹は、あまりの引きにどうすることも出来ず、岸辺で木の枝の下にもぐられ暴れているうちに針がはずれ逃げられた。
同サイズのニジマスよりは明らかに強いファイトだとおもう。ただ一旦釣り上げるとエネルギーを完全に使い果たすせいか、うそみたいにおとなしくなり、そうなると撮影しやすい魚である。写真にとると実に美しい個体が多い。
今度は、民家の近くから川に入り長竿でさぐりながら上流へすすむ。
尺クラス2匹がアタックしてきたが、姿を見られたせいか手前でぷいと引き返して食いつかない。釣り人が多く、すれているみたいだ。
川底には自転車やゴムパイプ、タイヤその他ごみが沢山沈んでいる。ブラウンはこんな川にも繁殖できるのだ。
今度は草に姿をかくすようにして大きな深いたまりにそつと振り込みを繰り返すと、突然草の陰から大きなブラウンが稲妻のように飛び出した。
ぐーんと地の底に引っ張り込まれるような強い独特の引きだ。しっかり針かかりしているが大きくて引き抜くのは困難。
ナップザックからランデングネットを出し取り込んだ。大きな♀のブラウントラウトであった。


きれいな個体だ。魚はエキゾーストアウトしたようで、その後このブラウンはあまり暴れず撮影は容易であった。




