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そしてナチリベ(≒ユーロコミュニズム)とエバンジェリカルが残った

2020-09-01 18:41:30 | 欧州情勢複雑怪奇

安倍が辞任会見をしたわけだけど、次の総裁選の候補者は

菅、岸田、石破、河野あたりらしい。

菅は安倍の路線継承、岸田はそもそも安倍が影響力を持って禅譲するとかいう路線の人。

石破は国民の人気はこの中で一番あるんじゃないかと思し、自民党の一般投票でも勝てるけど、議員票で絶対負けるという定番の人。

河野は、オルブライト路線なので、この3人とは異なる。私としては最も警戒すべき馬鹿。

 

ということで、誰がなっても、安倍路線、すなわち日米安保堅持、集団安全保障OK、という路線が崩れる見込みはない。

それはそれで、私がどう思おうと、日本人の大多数が支持していることではあるでしょう。

問題は、それは千代に八千代に続くのか?だと思う。

が、安倍を支える側も、否定する側も、この8年間、いやしかし多分もっとずっと前から、国際政治を真面目に考える風潮はない。

 

■ ナチみたいな「リベラル」

で、前から私は、安倍周辺のトンチキな奴らも危険だが、それより「リベラル」の方がマスメディアやアカデミアを支配しているから問題が大きいといったことを書いてきた。

でもって、最終的にその「リベラル」ってのは、ナチの変形だなという考えにたどり着いたりしてる。

だって、結局のところこの壁崩壊によって、やたらめったらコミュニスト東ドイツを悪者にして、それを増幅させて、まるでドイツがソ連に対峙させられたことがすべての悲劇の原因でしたみたいなムードを作った。それが現在のナチ・ヨーロッパの原因だったとも言えるわけよね。

思い出すに、壁崩壊の頃、東西ドイツがどうして東西に割れたのかさえ説明していなかったと思う。今もこのへんはかなり曖昧。というか、気づいている人さえ少ない。

ベルリンの壁の崩壊:ナチ・リベ勃興の日

 

この「リベラル」は異常なまでにソ連を嫌ってるところがまるでまったくナチ。そして、気が付けば、ソ連がナチに勝ったから第二次世界大戦が終わったという単純な事実にさえ気づいてないか、認めてない人がかなりいる(英米がノルマンディーで勝ったと思ってる)。

田岡俊次の「古い」解説&リベラル勢の危機

なんなのこの素っ頓狂な人たちは?と思いたくなるのも無理はないでしょ?

 

■ ユーロコミュニズム

明らかにわかるのは、この勢力は1945年からしばらく存在していた左翼とは違う、ということ。

ではどこで一体どうしてこうなった?

不可解に思うからこそ何度も書いているんだけど、先日、Peter HitchensというUKのジャーナリストの書いたものを偶然読んで、イギリスにおけるオールド左翼からNew Labour(新しい労働党)への変化もこれだと思った。

Forget Corbyn, the real Marxists in Labour were the BLAIRITES - and I should know because they were my comrades when I was a young radical, writes PETER HITCHENS

https://www.dailymail.co.uk/debate/article-6197097/PETER-HITCHENS-reveals-REAL-truth-Communist-infiltration-Britain.html

 

ヒッチンズは、New Labour(新しい労働党)の最終形を「BLAIRITES(ブレア派)」と呼び、この勢力がイギリスを変容させたとしてずっと非難している。

で、結局そのブレア派は何かというと、ユーロコミュニズムの一派だと指摘している。

 

ユーロコミュニズムとは、ソ連の方法論を否定する左翼みたいなものでしょうか。

日本語のwikiでは、誰が書いたのか知りませんが、こう書いてる。あたかも共産主義者の内部の分裂であるかのようだ。

ユーロコミュニズム(Eurocommunism)は、中ソ対立などにより国際共産主義運動が多様化する中で1970年代に西ヨーロッパ(主にフランス、イタリア、スペイン)の共産党で趨勢となった共産主義の一潮流。暴力革命路線の放棄、プロレタリア独裁論の破棄、党内の民主集中制と分派禁止規定を廃止した[1]。 

 

だけど、イギリスでその時代オックスフォードに通ってたヒッチンズはそうは見ていない。ユーロコミュニズムは、ハンガリー動乱、プラハの春でソ連が批判された後、1968年頃に新しいムーブメントとしてやってきた、と見てる。

It began a new movement – Eurocommunism, which renounced Soviet methods but kept the key aims of transforming our society.

セックス、ドラッグ、ロック、離婚、同性愛etc.といったものを好意的に受け入れる風潮の中で、古いタイプのスターリニストの労働党は、New Labour(新しい労働党)へと変化していった。

彼らはモダンな、ポスト1968のファンキーなマルキストとして、国境のない、ヨーロッパコミュニティの中で文化とセックスの革命を信じていた、云々ときて、あとはイギリスの文化的、政治的状況の中の固有名詞を出して議論を進めている。

 

このあたりは、英語版のwikiもうまくまとまってて興味深い。

ユーロコミュニズムは、民主的共産主義またはネオ共産主義とも呼ばれる

西ヨーロッパのさまざまな共産党における1970年代と1980年代の修正主義的傾向で、西ヨーロッパにより適した社会変革の理論と実践を発展させたと主張する

冷戦中、彼らはソビエト連邦とソビエト共産党の影響力を弱体化させようとした

イタリア、スペイン、フランスで特に顕著だった

Eurocommunism, also referred to as democratic communism or neocommunism, was a revisionist trend in the 1970s and 1980s within various Western European communist parties which said they had developed a theory and practice of social transformation more relevant for Western Europe. During the Cold War, they sought to undermine the influence of the Soviet Union and the Communist Party of the Soviet Union. It was especially prominent in Italy, Spain, and France.[1] 

 

要するに、

世界中の先進国のほとんどに存在していていた共産主義を目指すことを主意とする政党に、1968年のプラハの春を機会にソ連批判をさせて、手切れとさせる。

それ以降は、共産主義と名乗ってもいいが、内実は資本主義との戦いとかいうんじゃなくて、セックスとかドラッグを求める自由とか、離婚の自由、差別批判、同性愛礼賛、みたいなことを通じた、いうところの文化革命路線を進ませる。文化的マルクス主義とか言われるのもこのへんなんでしょう。

というテーマが存在し、それに従って各国の左派政党はそのように変化した。

ということだろうか?

※ 日本の共産党はかなり最近まで左翼要素の濃い集団だったと思う。日本の場合ユーロコミュニズムを担ったのは、むしろ新左翼だろうと思われる。メディアとかに出てる人たちの言説はしばしばまさにユーロコミュニズム的。宮台とか山口二郎とかみたいなタイプ、あるいは佐高信、優しいサヨクの島田雅彦なんかもそんな感じがする。忘れちゃいけない加藤紘一などはブレアを称賛してた。

総じてこれらの人たちは共産党嫌い。これは、ユーロコミュニズム(あるいは、彼らが「欧米のリベラル」と考えるそれ)にとって、社会構造とか貧富をクラスと結びつけて語ることを止めない日本の共産党は古くて、全体主義みたいで、ソ連みたいで、計画経済しそうで、下からの民主主義じゃなくて、敵なんだろうと思う。

 

私は別にソ連を擁護すべきだったと言っているのではない。そうではなくて、単に別の政体として共存すべきだっただろうと思ってる。あっちの体制が悪いのならそのうち崩れるだろうと放置すればよい。

そして、いずれにしてもソ連を敵視していたステルス帝国頭脳部(あるいは西側首脳部でも、西側のエリートでも)が敷いた路線を行く運動に、一体どんな意味やら重要性があるのだろうか? とそこを指摘したい。唖然としつつ。

で、その結果が、Black Lives Matterには熱心だが、シリアの惨劇にも、リビアの惨劇にも、イエメンの惨殺にも、あるいはまた、ウクライナでナチ残党をたててクーデターを起こす西側諸国などといった事態に何も対応できない、労働運動にも労働法制にも大した興味のない有象無象がそこにいるという話なんだな、とただそう思う。

 

■ どっちも妄想派だった

上のようにして出来上がったそれは、ある意味偽の運動だったわけだから、政治的事情が代われば下火になっていく可能性は大きい。また、この冗談のような偽善を多くの人が長期間好むとも思われない。

だがしかし、ここに問題がある。

西側社会は、一方で、ソ連解体を目指し左派を弱毒化してヒッピー変容させつつ、他方では、同時期から、戦後一貫して存在した反共主義者にエバンジェリカル(福音派)を大量動員してブーストさせている。

ということは、ユーロコミュニズム変容の極悪リベラルが沈んだ後には、共産主義者がいなくなれば世界は繁栄するとでも思ってるかのようなエバンジェリカル右派が残る。

どっちに転んでも理性的な議論など夢のまた夢。

また、ユーロコミュニズムの一つの達成品がEUであろうと思われるので、ヨーロッパ方面の精神の健全化もまぁ相当期間期待できない。

両方ともこの上にFEDなどの金融屋が被ってるわけだしね。

 

■ 日本の「成功例」

で、冒頭に戻って、日本では8年間安倍を批判してやまない人たちが大量にいたわけだけど、でも、一度として国際問題が大きな議題になったことはなかった。この激動期に。

この意味は、右は既に親米路線が確定していたところに、左もまたユーロコミュニズムを下敷きにした反ソ/反露路線を踏襲し、これで結構でございますと言ったようなものだろうと思う。(反中はオプション)

日本の特色は、ヨーロッパとは異なる事情によって、概ね新左翼が担ったユーロコミュニズムでも日本共産党でもないが、全体に、なんとなくこの体制でよいのかしら?という人たちがかなり多かったところだと思う。(前のカルト体制への疑義、反抗)

多分、だからこそ、右から左からかき集めた理念のない民主党による革命もどきに期待した人々があれだけいたということなんだろうと思う。

そこが崩れて、一回変化期待の大きさに基づく「蒸気」のようなものも出たことだし、これで米+欧との完全協調路線は確実になった、という感じではなかろうか。

私にとって喜びではないが、これは西側ステルス帝国にとって成功だと思う。

 

しかしもちろん、繰り返しになるけどユーロコミュニズムを基本とした左というのは嘘に基づく歴史修正主義路線なので、これが安定的に続く保証はない。また、この嘘には軍事的均衡への無理解も加わるのでなおさら危うい。

こういうことを平気で歓迎してるのがリベラル勢。やったのはクリントン政権。

NATO東方拡大:ゴルバチョフはマジで約束されていた

こういうのも認められない人多いでしょ? 久米宏は、ノルマンディー作戦がヒトラーを倒した分水嶺だと言ってた。

WW2の決定的な勝者はソ連だよと人々が言うの巻

「ホロコースト」物語も半分嘘のお話。ソ連は倒すべき敵なので、ソ連圏内の被害者を認めずに、場所が特定されない奇妙な物語になっていた。

「ホロコースト」犠牲者の4割はソ連市民

 

 

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7 コメント

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ナチリベ君あるある (セコイアの娘)
2020-09-02 06:40:27
①伴侶、もしくはインロー(義理の子供、兄弟)に外国人がいる。特に中国人との親和性が高い。家庭内グローバリズム
②通勤は自転車 
温暖化阻止に貢献している自分に酔いしれる
③ビーガンもいる 牛のげっぷが温暖化の原因を信じている
④学歴は高いが、頭の中はコンピューターのように1と2しかない。所謂エンジニア脳。
⑤友人、同僚にゲイが必ずいる。ロシアからの移民とも親しい。ただし、これらロシア出身者はそっち系だということをお忘れなく。
⑥地球温暖化、BLMへのシンパシーはアクセサリー。基本的に政治に対する関心は皆無。貧者に対する感度はほぼ欠落している。
⑦財テクがうまい。株価、不動産価格の動向に超敏感。蓄財と立身出世がすべて。
⑧コロナでは過激なStay Home支持者。マスクをして誰もいない早朝の街をジョギングするのがクール。

こういう人達とどうやったら友達になれる?
だからといって、メガチャーチに行って、XXXXXバンザイってできる?

孤独だ。
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おっと、忘れた (セコイアの娘)
2020-09-02 07:49:24
愛車はテスラ。
テスラは環境保護ナルシストのマストアイテム。
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反スターリンから反経済成長になった西側ナチリベラル (ローレライ)
2020-09-02 08:42:52
反スターリン主義から、経済成長になった西側諸国のナチリベラルなので西側諸国は新自由主義の暗黒大陸しか作れなくなった、世に倦むさんの言う反構造主義左翼の堕落が起きた!
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Unknown (かつまた)
2020-09-02 12:45:44
フト思うに、我々はキリスト教の派閥あらそいの手先として利用されている、ということが色々なことの根底にあるのかな?
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社会主義を禁断の政策にした偽左翼! (ローレライ)
2020-09-02 12:59:48
ユーロ偽左翼は社会主義を禁断の政策にして社会経営の切札をなくして西側諸国の暗黒大陸化を進めた!
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私もそれで友だちなくしましたね (ブログ主)
2020-09-02 16:19:02
セコイアの娘さん

もう、すっごくよくわかります。
私のアメリカの友だちもそういう人が多くて、話の接ぎ穂がないと思ってるところ。

でもって私は米滞在中から既にどうもこのリベラルはおかしいと思っていたので、折々に友だちなくしましたね。

といってメガチャーチに行きたいわけじゃない(笑)。まさにそう。

返信する
社会主義を嫌いすぎて鍵をなくす (ブログ主)
2020-09-02 16:23:58
ローレライさん

スターリンを嫌うのはいいけど、スターリンがやってたような中央の計画込みで経済まわす、という話をタブーにしたってのは、本当に馬鹿だったと思う。

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