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渾身の冷戦護持派大勝利であるらしい日本

2019-09-08 16:03:26 | アジア情勢複雑怪奇

なんか数日遅れてるけど、日本のマスメディアがこの間のウラジオストクの時の話を蒸し返して喜んでいるようだ。

北方領土 「スターリンが手に入れた」 プーチン氏
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20190907-00000004-ann-int
9/7(土) 6:21配信 ANN

 

これは、東方経済フォーラムにプーチンがウラジオストクに来て、その際に現地のロシア極東部の人たちと会った時の発言。

‘End of discussion’: Putin emphasizes 1945 as benchmark for Kurils as part of Russia

https://tass.com/politics/1076842

 

歴史の中にはいくつもの重要な日付があるけど、1945年8月から見ればクリル諸島がロシア領であることには疑問の余地はないと現地の人が言って、プーチンが、

そうそれに依拠しよう、この開始地点に。パパ(スターリン)が全部取った、そういうこと。議論は終わり。彼が「国民の父」。

"Let’s rely on this, and on this starting point. Papa [Stalin] took everything and that was that, end of discussion. [He was] The Father of Nations," Putin said smiling, referring to Joseph Stalin who led the Soviet Union at that time.

https://tass.com/politics/1076842

 

と言ったと。

■ スターリン

ソ連時代の人はスターリンをパパとかfatherにあたるロシア語で呼んでたと言われているので、それを持って来たって感じでしょう。また、the Father of Nationsというのは要するに建国の父みたいなもので、各国の基となった人のことを指すことが多いが、ソビエトの場合はこれはスターリンのこと。つまり、お父ちゃんの時代に決した話から始める、と言ったようなものかと思う。

 

でもここであえてスターリンを持ち出したというのは、反スターリンなら何でもよしみたいにして西側が作っていった囲い込みをプーチンはぶち壊しているとも言える気がする。フルシチョフは明らかにおかしい人だしね(クリミアを当時のソ連の法に照らして違法な手続きでウクライナに編入させ、今日の紛争の基を作った)。

もともとプーチンは10年ぐらい前にもスターリンに言及して、なかなか興味深いことを言ってた。つまり、スターリンは酷い男だった、個人崇拝が酷かった etc. それはみんなホント。まったく酷いことがいっぱいあった。しかし、彼は戦争の時代の人。彼を批判する人は、ああしないでどうやってロシアが勝てたのかを考えないのなら、それは無責任、という言い方をしていた。

 

■ 成果

プーチンはスターリンという刺激的な装いで耳目を集めざるを得ない恰好にしてるけど、

ソ連/ロシアが長年主張している、クリル諸島の問題は第二次世界大戦の結果である、という説からは何も逸脱していない。ずっと同じことを、様々な角度からやってみた。

従って、ロシアおよび日本をウォッチしている人々にとっての成果は、日本には、大陸諸国との関係、就中ロシアとのそれを歴史に即して鑑み、今後を考えましょうなどとという考えを持つ目立った集団は存在しない、ということでしょう。

終わらないロシアとの戦争&「ナチ・リベラル」

 

ラブロフなんかがいろんなことを言い、今年に入ってはガルージン駐日大使が、

あなたは1945年に対日参戦したソ連を非難するのか。完全に合法的に行われた南クリール獲得を「犯罪」と呼ぶのか。あなたには歴史の教科書を開き、注意深く最後まで読むことをすすめたい。

 そうすれば、第二次世界大戦時に日本がナチスドイツの同盟国であったことを思い出していただけるだろう。そう、日本は最も罪深い犯罪者であるヒトラー政権と同盟していたのだ。

https://www.sankei.com/politics/news/190207/plt1902070029-n1.html

東西挟み撃ち体制が見たくなかったらしい

 

というところまで話を持って行ったが、日本の中の学者、ジャーナリストで食いついた人はゼロ。官邸はむしろ、なんとかしようという気があったんでしょう。だから外交青書の記述を変えるぐらいのところまではした。

必要なのは議論だった。なんでロシアはこういっているのだろうと考えてみるチャンスはいくらもあった。しかし、全部無視、徹底的に無視して、最後にプーチンは悪い人でピリオドを打って、やれやれ終わったわ、と思っているのが日本支配者層(日本人に限らない)ということですね。

 

まして、極東住民というのはロシアで最も日本を警戒している地域。日本は極東部を自分のものにしようとして、泥棒に入った過去を日本国内では勝手に消してますが、相手にしたらそんなわけいかないでしょう。

2015年にはプーチンが、日本が「極東共和国」を作ってロシア極東南部を捥ぎ取ろうとしていたことで名高い地区で開かれた第二次世界大戦終結を記念する式典に出席したが、日本のマスコミは華麗に無視。

プーチン、チタでWWII終結記念式典

エリティン時代というロシアがほとんどアメリカの子分にされていたころ、つまり今のウクライナのようなものであった時代にさえ、極東住民と軍、かつてのKGBなんかが働きかけて、エリティンの割譲阻止という体制を取っていたらしい。

私は、極東住民と軍だろうと考えてたんだけど、過去数年にロシアから出てきている個人名の論説(クレムリン発表とかいう類じゃない)によれば、当時バラバラになっていたKGBの中の人たちが発破かけていたらしい。バラバラになってもまだそれぐらいはできたんだな、みたいなところらしい。

 

■ 今後

次がどうなるのか私ごときにわかりませんが、いずれにしても確認できたのは、日本は、民間レベルはともかく、政府レベルでは渾身の冷戦護持派だということ。

4月末に、プーチン・金会談が行われた時に、この2年というのは中露が北東アジア各国の現在のポジションを確認していったようなものではないかと書いたけど、日露間の話もそれと同様だと思う。

プーチン・金会談から一夜明けて

つまり、日本は、渾身のNATO派、あるいは西側オンリーの娼婦、みたいな恰好。そうか、日本は「オンリーさん」なんだなと納得してみたりもするが。

 

だから、今回のANNなどは、大喜びで、やったー、ホラ見ろ、ロシアは悪者だとわざわざ触れて回っているものと思う。

朝日系列の異常性については、既に書いた通り。

トウモロコシ畑の奇跡を失敗と書くテレ朝

 

ということは、今または近々に北東アジアの平和構想を話し合える環境ではない。

また、前から書いてますが、日本とアメリカ、韓国という金持ちクラブがぶいぶい言わせて、過去最高の軍事同盟であることを誇る中で、北朝鮮だけ裸にしておくというのは、どれだけ優しい言葉を使おうとも北朝鮮を打倒する、レイプする構造ですね。

これは、パレスチナの住民から軍事的な保護を取っ払って、寄る辺ない人々にして、そこを強くてお金持ちの米+イスラエルが虫でも殺すようにパレスチナの人間を殺していっている構造にとても似てる。

パレスチナには軍事的な味方がいた。それを取っ払ったのは、カーター政権であり西側諸国。

 

ということで、1月前に書いたこの話を一応頭に入れておくべきなのかなと思った。

もともと中国と北朝鮮との間には中朝友好協力相互援助条約があって、20年ごとの更新で今も存続してる。

1991年までは、ソ連との間にもソ朝友好協力相互援助条約があったが、1996年に失効してそのままになってる。

考えようによっては、日韓+米が意気揚々と同盟を結んでいるのに、北の側の隊列が崩れたことによってこの地域のバランスが崩れたとも言えますね。

こじれてる南北朝鮮 & 中露朝、小じっかりの趣

 

■ 中国建国70周年まであと数週間

で、今年は中華人民共和国建国70周年記念の年なので、例年より大きな行事があるようにみえる(詳しくまだ見てない)。

それからあらぬか、9月4日には、中国の王外相が北朝鮮で会合を持つ間、朝鮮戦争時に死んだ中国義勇兵の人たちの墓に詣でていた。

September 4. 2019 Juche 108

Wang Yi Visits CPV Martyrs Cemetery

http://www.kcna.co.jp/index-e.htm

 

こっちも「建国の父」の話が出てくるだろうね。

 


 

 

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5 コメント

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尾崎秀実と関特演 (И.Симомура)
2019-09-08 20:59:50
”関特演”を不発に終わらせた人物は、やはり尾崎秀実ではないでしょうか。
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Unknown (ミール)
2019-09-09 07:31:00
ロシア革命とは何だったのか。分からないところは多いけれど、シオニスト達によるロシア簒奪だったとしたら、それをロシア人の手に取り戻したのがスターリン。それ相応の敬意が払われて良いでしょう。
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方針転換できたところが素晴らしい (ブログ主)
2019-09-09 16:55:58
ミールさん、

ロシアでの改革思潮を簒奪し、もってロシアの簒奪を狙った、というところではないでしょうか。あの当時欧州の西からドイツ、ロシアまで確かに労働者も含めた国にしろとでもいうべき改革思潮は確かにあった。それを悪用した人たちがいたということじゃないかと思います。

そして、おっしゃる通り、いろいろあってもとにかくロシアを守らないと話にならないと切り替えたスターリンたちが凄かったし、人々もちゃんと着いて行った。それが今のロシアに繋がる。
しかし、そうさせたくない人たちにとってはスターリンは悪い奴だ、という話でしょう。

だからこそ、世界中の大方の左翼側の集団、わけてもアメリカのアカデミアなどが異常な反ロシアなんだろうと思います。
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ノモンハン (ブログ主)
2019-09-09 16:57:07
Симомураさん、

関特演はいろいろ書いている通り、国境を超えて進軍していないにせよ動員しているだけで、軍事的にはやっちゃったと言うべきものだと考えます。

進軍できなかったのは、ノモンハンの経験のせいだと私は思います。もちろん、知られていないことはまだまだあると思いますが。
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スターリンよりヒトラーがいいらしい西の人々 (ミール)
2019-09-09 22:54:43
> ロシアでの改革思潮を簒奪し、もってロシアの簒奪を狙った

ああなるほどと腑に落ちました。
で、それに我が日本も一枚噛んでいたのが何とも。

スターリンは西側にとって反ロシアプロパガンダに便利な道具のはずですが、一方で、おっしゃる通りロシアを滅亡から救った不倶戴天の敵。そのセンチメントが本音の部分でヒトラーを賛美している、と思います。
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