いやいやしかし、先週はいろいろと面白い行事が続いた。
明けて月曜日、日本株が相当に売り込まれて始まった。
日本株安、アジアで突出 一時1000円超安に3つの理由
先週末の米市場で、FRBの操作にもかかわらず予期せぬ事態が起きている、すなわち「謎の金利安」とか呼ばれる事態になっていたことを受けての、市場の変化なのかなと思ったりする。
直接的な理由は、日銀が金融緩和のスケールをたたんでいければそれだけ株価は下がるだろう、という話だと思う。だって膨らませていたわけだから。
お札を刷りまくればなんでもできると吹きまくった人々は、今後どうするんでしょうか。多分、売って手じまいして余裕資金で生きる、つまり、逃げるってな算段でしょうか。
■ 先週
それはともかく、なんといってもバイデン・プーチン会談はハイライトなわけだけど、それを見越したのであろう、「新大西洋憲章」なるものもあった。
新大西洋憲章だそうだ & 不実のアルビオン
宣言の名前はすごいのに、あまり話題になっていない。まぁイギリスがアメリカにくっ付くと宣言したからといって、誰が驚くんだといったところではある。
さらに、それでもまだイギリスが何か画策しているらしく、クレムリンは、プーチンとボリス・ジョンソンの会談の可能性はあるでしょう、といなしている。
Kremlin says meeting between Putin and Johnson is possible
これはつまり、またまた、影で探りを入れつつ、表では、ロシアが態度を改めれば我々は対話に応じるだろう~、みたいな上から目線で語るブリッツ外交ってやつだろうと思う。
ブリッツにとっては、アメリカとロシアが対話し出すことになったら、これまでの画策が水の泡になる、という話なので冗談ではすまない。御託はいいから、スクリパル親子を出してきてみろよ、って感じ。
■ トランプ派、今一盛り上がらない
アメリカの方は、トランプ応援団とおぼしき人々が、バイデンを蹴落とそうと、バイデンの耄碌を言い立てるのに忙しかった。
だがしかし、アメの一般人は、バイデンかトランプかというより、現在のアメリカのだらしなさの方に気がいっているように見える。
プーチンの言うことはもっともだ、プーチンは賢い、何がどうあれプーチンはロシアを愛してる、それにひきかえ云々という話はもうすっかりおなじみで、今般は、また別のものが加わったな、って思った。
プーチンがアメリカNBCのインタビューに応じ、数日後はバイデンと会ってその後ジャーナリストを入れて会見に応じている姿を見て、ちょっと、で、ウチのジャーナリストは、自分の国の大統領にこんな率直なインタビューをしてるか?という点に気付いた人たちが多く見られた。
他国大統領に無茶苦茶無礼なことを言ってる自国のインタビュアーという図に、今更ながら気が付いた人もいるね。
何ども書いてますが、この話です。
そしてプロパガンダが残った (3):デマクラシー
いくらなんでも、異常だと思わないですか??という趣なのが過去15年ぐらいの西側なわけですよ。こんなものを毎日、毎週、毎年見せられていたの。
よーやく、アメリカ人も、何かこれって??と思い始めた兆しが見えなくもない今日この頃といった感じが少しだけする。
プーチンがNBCとやったインタビューの動画を見て、プーチンが上の写真のような人だと思う人はそんなにいないでしょう。
Exclusive: Full Interview With Russian President Vladimir Putin
で、トランプは、Foxに電話で登場して、ロシアにとっては良い日だっただろうよ、バイデンはまったく我が国を貶めている云々と口角泡を飛ばして(いるようにしか聞こえない話し方で)叫んでた。
もちろん、ファンは、そうだそうだと言っているんだろうと思うけど、今一勢いがない。
どうしてそうなるのかというと、上述した通り、問題はアメリカであってバイデンではないからでしょう。
あと、まぁ、トランプがどれだけ頑張ってもプーチンにはなれないですから、そこの差も少なからぬアメリカ人にとってはがっかりでしょう。(今更ですが)
アメリカのベストがトランプとバイデンなのかよ、みたいなことを言ってる人も見た。実際、そこが問題。
■ プーチンのバイデン評
プーチンは、会談前から、トランプを才能あるcolorfulな(華のある、派手な)人物と言い、対してバイデンを大人になってからの人生全部が政治の世界にある政治家としてのキャリアのある人、といった対比をしていた。
In NBC interview, Putin calls Trump 'colorful' but says he can work with Biden
そして今度は、ロシア国内でのインタビューに応じてこんなことを言っている。
プーチン大統領 マスコミのバイデン像は実物と全然違う
プーチン大統領はバイデン氏について、実際はマスコミが「描いている」ような人物とは全く異なり、活力にあふれており、会談の資料を完璧にそろえていたと評している。プーチン大統領は、2時間半にわたる会談で両国の国益に関わる、互いの重要な立場について理解しあうことができたと語った。プーチン氏は、マスコミの創り上げたバイデン像は多少「落胆させる」ようなものだが、実際のバイデン氏は注意深く耳を傾け、何ひとつ聞き漏らすことはないと評価している。
スプートニク日本の記事はこれ以上書いてないけど、プーチンは、バイデンは確かに言い間違いすることがある、だけど、問題はそこじゃない、そういうところが気になるのは、それはまぁアメリカのスタイル、みたいなことも言っていた。
これは一つには、ロシア人に対して、バイデンをなめてかかるような論調は無益だ、というウォーニングみたいなところもあると思った。ロシア国内の引き締めとして当然ですね。
そして、要するに、バイデンは確かにプロのチームを連れてきて、ロシア側のプロのチームと話し合う形にちゃんとしたわけだから、これは言い間違いなどよりずっと重要だというのも当然でしょう。
西側報道は、バイデンとプーチンがごくささやかに話し合ったみたいな印象を作ってるけど、実際には、外務大臣、大使、外交アドバイザー関係などを含む双方400人ぐらいの大所帯での実務者の会合。
実際、バイデンは米の上院外交委員会のメンバーを長く勤めたじーさん。
外交委員会は、主要な外交政策の立法や方針確認の際などの議論をリードする。ここには当然に軍管理関連の立法なども含まれる。要するに、最終的な方向性を決める議会における最上位のところなので、当たり前だがとても重要な委員会。(日本では外交というのは儀典部のような趣だけど、そういうのじゃない)
つまり、アメリカの主流メディアは、プーチンがナワリヌイのこと悪く言う、ロシアの人権状況はどうしたこうした、みたいな、主に自分で作った「疑惑」を事実として扱って、あなたは何で答えないの、何て酷い人なの、という、この路線にフォーカスしてるが、
他方で、実務レベルはちょっと真面目なことをしだした、というのが先週起こった事態でしょう。
なんでそうなるかというと、先週書いたことを再掲すると、
つまり、軍事的に核のパリティーがリストアされたことによって、核の先制使用によってロシアを粉砕するというアメリカの戦略は破綻しましたということです。
しかも、核戦略の3本柱(Nuclear triad)において、アメリカの立場は強くない。
気が狂ってる人たちがこんな作戦を立てて実行して七転八倒していたことが、この25年ぐらいの狂気の沙汰の根本的な原因の1つであることは間違いないでしょう。
それが、2018年にだいたい、どうも、ロシアのICBM撃ってしまえば後は叩き放題なんてことはできないらしい、俺らは確実に報復攻撃されるらしい、となったけど、アメの側は仲間割れが著しくて話を整理できず、あるいはそんなことを無視して、地上でカラー革命的紛争をやっていけばかならずロシアは倒せるという、CIAとかNEDなんかの人たちが強くて変われない。
しかも、核戦略の3本柱(Nuclear triad)において、アメリカの立場は強くない。
気が狂ってる人たちがこんな作戦を立てて実行して七転八倒していたことが、この25年ぐらいの狂気の沙汰の根本的な原因の1つであることは間違いないでしょう。
それが、2018年にだいたい、どうも、ロシアのICBM撃ってしまえば後は叩き放題なんてことはできないらしい、俺らは確実に報復攻撃されるらしい、となったけど、アメの側は仲間割れが著しくて話を整理できず、あるいはそんなことを無視して、地上でカラー革命的紛争をやっていけばかならずロシアは倒せるという、CIAとかNEDなんかの人たちが強くて変われない。
バイデン×プーチン初顔合わせ & 目覚めない日経
というのが基本で、その上で、今年の2月から4月に、ベラルーシ、ウクライナ、黒海でアホが仕掛けたけど大失敗した、これが今回の米ロ会談のトリガー。
懲りない面々:対ロシア春の攻撃失敗&大使不在の米ロ
ロシア、外国の影響&外国人活動家を追放してる
ということでしょう。
■ ウクライナの2つの道
で、今後、ウクライナをどうするのかで2つの道がある。
(1) 西側が聞き分けて、ミンスク合意をキエフの馬鹿ナチ政権に守らせるよう指導する
(2) ドンバス独立・ロシア編入 →ウクライナは、残り物になる
ロシアは、後者を念頭に動いていると思う。SWIFTから切り離される、切り離されると時々ニュースにしているのは、国内の事業者に覚悟させているんじゃなかろうか。
つまり、ドンバス独立・ロシア編入の道は、本来ならドンバスのロシア系ウクライナ国民が、キエフでのクーデターを受けてできた馬鹿ナチ政権から離れたいので離れたという、実際民主的にそうなる方が正常だろうという話なわけですが、西側は、そういう風に見せてないので、ドンバス独立→ロシア編入があれば、当然、この勢力が沸き立つ。
そして、制裁、制裁、制裁という騒ぎになる。ただ、西側は制裁をかけすぎて、象徴的にSWIFTぐらいしかないでしょう(これは別にこれしか決済の方法がないわけではないから、用意さえできていればどうということはないが、騒ぎとしては騒げるネタ)。
それ以上は、ロシアとは付き合うな、全部取引中止だとなったら、ロシアから石油、原発燃料を買っていて、冬場はしばしばスポットで天然ガスまで買ってるアメリカ他の西側諸国は、どうするの???ということにしかならない。アメリカにどれだけせっつかれても穀物買ってる国が、そうですか、では明日からロシアと切れます、とは言い出せない。(西側には代替物を用意できる余裕はない)
ロシアから言えば、そこはやりたきゃやって、ってことでしょう。
ドンバスの人たちは、西側が金出して兵器勝ってあげている馬鹿ナチが今も面白おかしく標的にして、人が死んでも無問題という扱いを受けている。
生きたまま人を焼いてた頃からすると大分おとなしくなったとはいえ、まだまだ危険な要素が残ってるのが、いわゆるウクライナ国の政権で、西側各国はこの政権を正常なものとして仲間扱いしている。
ということなので、やっぱり、(2)が今後最も起こりやすいと思うべきでしょう。hope for the best, prepare for the worst(最善を望んで、最悪に備えろ)という感じでしょうか。
このプーチンの話で傑作だったのが、ジェン・サキのことで、
「彼(バイデン)は偶に取り違えることがあるが、彼の報道官の若く教養のある美しい女性はしょっちゅう何かしら取り違えている。これは能力不足記憶力不足ということではなく、単にそのことを二の次としてあまり注意を向けていないだけのことで、主要問題以外は関心のないアメリカ流というものだろう。」
サキの具体名は挙げませんでしたが、ロシア人なら誰でも直ぐ分かったと思います。(プーチンがこの話をし出した時、対話相手の人々がニヤニヤしています)彼女が以前、国務省の報道官の時の会見での発言が頻繁にロシアのニュースで流れていました。(丁度ウクライナ問題が発生した当時)その時の彼女の頓珍漢の回答に開いた口が塞がらないという感じで多くの人は見ていたと思います。お笑い番組に取り上げられ、「サキする」というロシア語にもなりました。意味は「馬鹿なことを言う」ということです。明らかに彼女には基本的な知識、解釈力、説明力が不足しています。国務省時代のロシア側の相手がザハロワ、今はペスコフです。サキが彼らと相対できるでしょうか。
アメリカのことにお詳しいブログ主様にお聞きしたいのですが、アメリカで高等教育を受けた人の水準はバイデン、サキ程度なのでしょうか。それとも優秀な人は政府機関に入らないのでしょうか。(ロシアの最難関大学は外務省附属のmgimoで(モスクワ大学ではない)、その中の最優秀生が外務省に入っています。)
アメリカの教育に問題があることはアメリカ人も気にしているところですが、それ以上に問題なのは、政府とかシンクタンクに入るための「人選」じゃないでしょうか。
ある種の「お宗旨」に忠実でないと受からない。これでより集めたので、国務省、CIA etc.がすべからく狂ってる。
そのお宗旨とは何かといえば、アメリカは素晴らしい、アメリカこそ希望、アメリカしかできない、我らは全能、最近の地政学でいえば、Full Spectrum Dominanceでしょう。アメリカによる全球支配。
こういう思想を直さないと、正常化できないと思います。
そう、教育問題というよりこれは思想問題だと思います。
また、悪質さ、気味の悪さという点ではアメリカより、イギリス、ドイツを中心とした媒体におけるロシアネタの方がグレート。日本もこちらですね。
その意味で、馬鹿度でも、不気味度でも、実はアメリカは西側内ではむしろ穏健な方なのではあるまいか、と思う。劣等比較ですが。
SWIFTの代替はどうなっているのですか?
イランがSWIFTから除名されていますが、どうやって決済しているのだろう。
全ての国際決済が、SWIFTが牛耳っているというのは不健康だと思うのですが。
デジタル人民元がSWIFTへの挑戦だとか、東洋経済に書いてた人がいたけど、プーチンはそのあたりのこと、どう考えているのだろう。
アメリカの所謂名門大学にはレガシー制度があります。
これは何のことはない、アメリカの政治経済を牛耳るインナーサークルを強化するために存在します。
ブッシュ(父)も、オバマもトランプも、子息はすべてレガシー入学です。
それとアメリカの大学は、入学許可に際し、学生の「総合力」で決めるとの名目で、まるでフィギュアスケートの出来栄え点みたいな酌量の余地を確保しています。まず学生のSNS周りをアプリケーションを走らせ思想的なバックグラウンドをチェック、インナーサークルに入れても問題ないかどうか、ここではじかれます。
学生の側も(往々にして子供をインナーサークルに入れたい親も)、名門大学に入る=インナーサークルの一員になるため、ひたすらインナーサークル好みの人間になるよう努力します。
その結果「お宗旨」に忠実な若者が量産されるのです。
私がSickなのは、中国共産党の幹部がこぞって、子弟をアメリカの名門大学に留学させる。ロシア政府の幹部が子弟をこぞってアメリカ送りにするということは聞いたことがない。(だから私は中国をいまひとつ信じられない。)
エプスタインのオフィスはハーバード大にあったし、アメリカの最高学府の何たるかが垣間見れたというものです。