かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 53(アフリカ)

2019-01-24 19:13:45 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠6(2008年2月実施)
  【阿弗利加 2 金いろのばつた】『青い夜のことば』(1999年刊)P168~
  参加者:KZ・I、KU・I、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、
       田村広志、 藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
  レポーター:T・H      司会とまとめ:鹿取 未放

53 サボテンは棘まで熱しむつちりと乙女の性のやうな実を生(な)す

     (レポート)
 沙漠のサボテンは、棘まで熱い。そしてその実はむっちりとしていて、乙女の性のようである。ここが難しい。私にはなぜサボテンの実が乙女の性のようなのか、諸氏のお考えを伺いたい。「サボテンの実」と「乙女の性」、そこには虚と実の対比があるのではないか。生々しいけれどそこに強いものを秘めている。作者の乙女に対する思いがある。「サボテンの実」は次代を産むものである。乙女もそれを期待できるもの。そこに作者の熱い思いがある。
(T・H)


      (当日意見)
★「乙女の性のやうな実」に、作者の力量を感じる。なまなましいけれどつよいもの。(崎尾)
★レポートのように性を産む行為と結びつけるとつまらない。もっと根源的なものだろう。(鹿取)


     (まとめ)
 ぎらぎらの太陽を浴びて育つサボテンは棘まで熱いという形容には実感がある。「乙女の性のやうな実」という大胆な言い方がこの作者らしい。「むっちり」もいかにも生命力に満ちあふれて今にも溢れ出しそうなエネルギーを伝えている。サボテンの実は食べられるそうだが、どんな味なのだろうか。色や形はネットでみることができるが、味までは分からない。濃厚なのだろうか。(鹿取)



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