かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 16,17 アフリカ①

2023-06-28 11:13:32 | 短歌の鑑賞
 2023年度版馬場あき子の外国詠2(2007年11月実施)
    【阿弗利加 1サハラ】『青い夜のことば』(1999年刊)P155~
      参加者:崎尾廣子、T・S、N・T、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:崎尾 廣子  司会とまとめ:鹿取 未放
  

16 ベルベル族の少年は砂漠に手を広げ友よと言ひてなよるならずや

      (まとめ)
 「なよる」は広辞苑に「なれてよる。親しくなって近寄る」と出ている。ここでは親しそうに寄ってくる、くらいの意味だろう。「や」は詠嘆か。「砂漠に手を広げ友よと言ひて」寄ってくるのは親切料を貰うためだということが次の歌「料金のありてそれだけの友情を買ふことも砂を行き愛(かな)しうす」で分かる。それが彼等にとって生きていく術なのだが、少年は何歳くらいなのだろう、そのあどけなさを思うとあわれである。(鹿取)


         (レポート)(崎尾)
  *ベルベル人:北アフリカのチュニジア、アルジェリア、モロッコ地方の原住民。
         ハム語系。ネグロ・セムの血も混じる。


17 料金のありてそれだけの友情を買ふことも砂を行き愛(かな)しうす

        (まとめ)
 16(ベルベル族の少年は砂漠に手を広げ友よと言ひてなよるならずや)の歌でも述べたが「友よ」と言って寄ってきて、難儀な沙漠をゆく人の手助けをするのはお金を貰う為である。同行した人の旅日記によると、添乗員が後でそっと少年達に「親切料」を払っていたそうだ。この歌、「哀し」ではなく「愛し」であるところが深い。(鹿取)
 



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 馬場あき子の外国詠 15 ... | トップ | 馬場あき子の外国詠 18,... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌の鑑賞」カテゴリの最新記事