かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 129

2023-10-13 10:53:40 | 短歌の鑑賞
 2023年版 渡辺松男研 15 (14年5月)まと
    【Ⅱ ろっ骨状雲】『寒気氾濫』(1997年)57頁~
     参加者:四宮康平、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子 司会と記録:鹿取 未放
             

129 くれないのコレステロールも欲も濃き父の大声われをはじけり

          (当日発言)(2014年5月)      
★こんな風に悪く詠っているけど、父親を憎んでいる訳ではなく許されると思って書い
 ているんだと思う。(曽我)
★男から見ると欲が濃いことは悪口でも何でもないんですけどね。男と女は見方が違う
 んでしょうかね。これはリアルにうたっている。家長との関係って、反発感じるけど
 肯っているところもある。家を守ってくれているという安心感もある。精力的に自営
 でやっている人の力強さ。(鈴木)
★枕詞のような「くれないの」が効いていますよね。(鹿取)
★曽我さんがさっき何書いても許してくれるだろうと作者は思っているって言われたけ
 ど、お母さんについてはどこかで渡辺さんがそう書いていらっしゃいましたね。お父
 さんについては、どこかで「お前には欲というものがないのか」とよく叱られたと書
 いていらっしゃいました。こういう精力的なお父さんから見ると小説や哲学書ばかり
 読んでいる息子ははがゆかったでしょうね。だけど私もお父さんの悪口書いてるとか
 全然思わないです。事業拡大したいとか一生懸命になっているお父さん像です。これ
 だけ大きな存在の渡辺さんが、超えられないと感じていたんだからこのお父さんって
 相当の人ですよね。(鹿取)


        (まとめ)(2014年5月)
 鹿取発言の中の母については何を書いても許されるという部分、第二歌集『泡宇宙の蛙』の母の挽歌「日月の球体」に触れて「一部の人から非常な顰蹙をかいましたが、母のことはどんな風に詠んでもゆるされるという確信がありました。」と渡辺さんが発言されている。(「かりん」2010年11月号)(鹿取)

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