かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 284 トルコ③

2024-02-27 14:19:42 | 短歌の鑑賞
 2024年度版 馬場あき子旅の歌38(11年4月)
     【遊光】『飛種』(1996年刊)P125
      参加者:N・I、曽我亮子、藤本満須子、鹿取未放
     レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放
                     

284 黒海をみにゆきしことクルーズの予定になしひみつのごときよろこび

      (まとめ)
 先月鑑賞した283番歌に「忘れてしまつた歴史は思ひ出さずともぼすぽらす海峡ゆくトルコ晴れ」とあるので、トルコ晴れの日にボスポラス海峡クルーズをしたのであろう。
 ちなみにボスボラス海峡は狭いところで700メートル、広いところで4キロの海峡で、1973年に吊り橋が、1988年に橋が架けられていて、馬場のクルーズではこの橋の下をくぐったのだろうか。ちなみに黒海は日本の本州くらいの大きさの内海だが、周りをロシア(北)、グルジア(東)、ウクライナ(西)、ブルガリア(西)、トルコ(南)に囲まれた内海である。「クルーズの予定になし」とあるのは政治上の思惑があって、クルーズで黒海まで見にゆけるかどうかは直前まで見極めが難しく、旅の冊子などには書かれていなかったのかもしれない。思いがけず黒海まで見られたので感激しているのだ。「ひみつのごときよろこび」には現状の政治的なもろもろの思惑があることを暗に受け止めている表現だろう。ネットの旅行案内や旅行記を見ると、往復3時間程度の当日申し込みのクルーズもたくさんあるらしい。フェリーの到着地点から歩いた丘の上から黒海を見渡せるポイントもあるようだ。(鹿取)

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