かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 216

2021-05-07 16:41:59 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究26(2015年4月)【光る骨格】『寒気氾濫』(1997年)89頁~
    参加者:かまくらうてな、M・K、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放


216 冬の杜仲(とちゅう)は何耐えている太陽光ぐんぐん冷えて梢にとどく

      (レポート)
 杜仲は中国原産の落葉高木20メートルで、若葉は杜仲茶、樹皮は漢方薬に利用される。西に傾いた太陽の冷えた光をかろうじて梢に留めているだけの杜仲は、高木であるだけに余計寒々しく何かに耐えているような風情である。(鈴木)


     (紙上意見)
 杜仲は 若葉は茶として利用され、樹皮は漢方薬の原料として、身のほとんどが人間のために切り刻まれる。杜仲の冬の様は、よけいに哀れだ、しかし214番歌(切株は面(つら)さむざむと冬の日に晒しているよ 動いたら負けだ)の木のように動いたら負けで、耐える他ないのだ、冬の鈍い陽光が高い梢に幽かにそそぐだけだ。(石井)


    (当日意見)
★ふたりの意見に同感です。(全員)

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