かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 261

2024-05-14 10:16:06 | 短歌の鑑賞
 2024年版 渡辺松男研究31まとめ(15年9月)
   【はずかしさのまんなか】『寒気氾濫』(1997年)107頁~
    参加者:S・I、泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放


261 はずかしさのまんなかにある耳の穴卯月はつかな風にふるえる

     (当日意見)
★この年頃は何でもかんでも恥ずかしいと思う年頃でしょ。主体がお嬢さんだと思う
 ので。(曽我)
★これは自分の耳の穴です。(S・I)
★はい、〈われ〉ですよね。余計なことですが、「恥」っていう字、心は耳に現れて、
 恥ずかしいと耳がまっ赤になったりしますよね。だから「耳」に「心」と書くの
 かな。(鹿取)  
★私は人間の存在そのものが恥ずかしいものであって、その象徴としてこの耳の穴を持
 ってきたのかなと思います。(慧子)
★まあ、結果的には慧子さんのおっしゃるようなことかもしれませんが、ここは自分の
 耳の穴という存在が恥ずかしいと取った方が歌が活きると思います。髪が短い多くの
 男性にとっては、誰に向かってもその耳の穴を晒しているわけです。場所は示されて
 いませんが戸外にいるのでしょうか。卯月、4月の野原にいるのかもしれませんね。
 いつもは他人に晒している耳の穴が4月のまだ冷たい風に震えている。もっとも、晒
 さないなら恥ずかしくないかというとそうではなくて、やはり耳の穴そのものの存在
 が恥ずかしいのでしょう。 (鹿取)   
コメント
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