かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 326(トルコ)

2019-09-07 19:40:03 | 短歌の鑑賞
   馬場あき子旅の歌44(11年10月実施)
    【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P146~
     参加者:泉可奈・N・I、K・I、崎尾廣子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
                     

326 木ぞ一つ立てると見ればアナトリアを耕せる家族暗くまどゐす

     (レポート)
 今、先生方ご一行は、バスでアナトリア周辺をドライブしておられる。ふと見ると道路沿いに、樹木が一本立っていて、その根元の所に今耕作をしていたのであろう農家の家族がお昼寝をしている。その情景をご覧になって、先生はなぜ「暗くまどゐす」と言われたのであろうか。(T・H)


      (当日意見)
★曽我さんのレポートにある316番歌(神は偉大なりといひて瞑想に入りしとぞアナトリア大平
 原の寂寞)に関連して読むとよく分かる。コンヤは古い宗教都市である。(藤本)
★豊かでないアナトリアで田畑を耕して暮らし、宗教に支えられて暮らしている。木の下だから木
 陰である。(慧子)
★アナトリアを耕す過酷さを言っている。(崎尾)


     (まとめ)
 ミレーの宗教画を思い出した。「まどゐ」は団らんで、レポーターのいう昼寝ではない。一本の木の下に集まって憩いをしている情景は静かだ。家族で一塊になっている姿が孤立しているようで「暗く」見えたのかもしれない。夕暮れだったかも知れないが、「暗く」はあくまで精神的なものであろう。一本の木を詠うことによって、かえってアナトリアの大地の広さが見えるようだ。(鹿取)


コメント
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