かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 62(アフリカ)

2019-02-20 19:17:50 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠7(2008年4月実施)
  【阿弗利加 3 蛇つかひ】『青い夜のことば』(1999年刊)P171~
  参加者:泉可奈、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、
       藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
  レポーター:T・S      司会とまとめ:鹿取 未放


62 アフリカの乾ける地(つち)にとぐろなすもの飼ひならし老いゆくは人

     (当日意見)
★この蛇使いには、他になりわいの道がないのだ。(Y・S)


     (まとめ)
 眼前の蛇つかいを見ながら、ふっとこの老い人の生活を思っている。アフリカの過酷な風土で長年蛇を調教しながら生きてきた人間、あくどいようでもそれは生活の為である。その点では憎い顔をした蛇使いながらそこはかとない悲哀があり作者の同情がある。蛇と直接言わないで61番歌( すべらかにとぐろなす身を解く蛇のいかなれば陽に涼しさこぼす)を受けて「とぐろなすもの」と言っているところが面白い。結句も「人は老いゆく」となだらかに用言で止めず、体言止めで人を強調したところにも作者の思いが出ている。「アフリカの乾ける地」という生きる場の提示が、下句をよく活かしている。(鹿取)



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