Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

第19回 林 忠彦賞受賞記念写真展『トオヌップ』

2010-05-23 08:10:03 | 芸術(美術館・博物館)
昨日(23日)、周南市美術博物館で開催されている、表題の写真展を観覧するため、出かけてきました。(昨日のエントリーで「ある場所へ」出かけた…とは、この事です。)

林 忠彦 氏は、山口県徳山市(現在の周南市)出身の、日本を代表する著名な写真家。

氏が1990年に他界した翌年から、氏の功績を称え、氏の遺志でもあるアマチュア写真の振興を目的に創設した写真賞です。
(現在は、プロ写真家も審査の対象になりましたが…。)

毎年、優秀な作品がこの栄えある賞を受賞していますが、19回目の今回は、小栗 昌子 氏の作品『トオヌップ』が、この栄冠に輝き、東京展に引き続いて、林 忠彦 氏所縁の周南市で、14日から今日(23日)まで開催されています。

先週末から21日まで、業務の関係で忙しくしていましたので、この週末を楽しみにして出かけてきました。

今回受賞した、小栗氏の『トオヌップ』。

その舞台は、岩手県遠野市。
そう、柳田 國男 氏の説話集『遠野物語』の舞台でもあります。

小栗氏が1998年に旅行でこの地を訪れ、その「街並み」に魅せられて、「この場所を撮りたい」との思いから、生まれ故郷の愛知県名古屋市から移り住んでの10年間を写真で綴ったものです。

『トオヌップ』そのものは、アイヌ語で「湖のある丘原」という意味らしい。
そういったことも、『遠野物語』も知らずに、とにかく受賞作品を見たかった…という気持ちで出かけました。

岩手県は、本州では1番だし、全国でも北海道に次いで2番目に大きい県。
なので、日本でありながら「大陸的」な風景を「大陸的」に表現している作品が多いのかな…という先入観を持って、会場に入りました。

しかし、作品はそうではなかった…。

風景は、時々風屋さんが写真でエントリーしている風景の「延長線」という感じで、「大陸的」という表現は、少し合わない気がした。
むしろ、遠野に住む住民の「息吹」を強く訴える様な作品ばかり。
ここ10年を綴ったものだけど、30年以上前にタイムスリップした様な感覚。
モノクロ写真ではあるけれど、ずっと前から「動き」がある様に感じました。
遠野に住む住民の「生活の営み」はもちろん、伝統文化である「早池峰神楽」の様子を撮ったものまであり、型にはまっていないのも良かったように個人的には感じます。

やっぱり、先入観を持ってしまうのは、いけない事ですね…。

『遠野物語』の中身を少しでも知っていたら、もっと違った見方ができたんじゃないかと思うと、勉強不足も感じました。

nanaponさんも、既にエントリーなさっているように、岩手県遠野市は、将棋の今期名人戦第2局が行われた場所だし、『遠野物語』も生誕100周年。
なにかと遠野市が注目されるファクターがある中での、本作品の受賞。
シナリオとしては「できすぎ」の感もあります。

しかし、私は昨日思いました。

会場には、最終選考作品も展示されていたのですが、その中には、変わりつつある日本を、作者独自の視点から捉えたものがあれば、水俣病と闘う家族の姿と、その「思い」を綴ったものがありました。

そういった「力作揃い」の作品の中から、この作品が選ばれた…。
そこにたくさんの「意味」があるのだと…。
決して、シナリオの勢い宜しく受賞したものではないと…。


今日で終わってしまうのは、少し短い気がします。
ですが、出かけて良かった…と、その余韻に浸る日々が、暫く続く気がしています。


追記

この写真展は、あと1回、11月下旬から北海道で開催されます。
お近くにお住まいの方、是非ご覧になってみてください。

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