幅員6mといえば地方では結構、大きめな道路。
5ナンバーのクルマは幅が1.7mだからセンターラインと0.5mのところを走っても
路肩まで1mちかくあることになる…
と、ある地方の3桁国道…元々は細い道だったのだろうが、峠はトンネルにして
道、そのものは拡幅して…という、数年かけて改良した感じの新旧入り混じる路面。
登りは4~5%くらいだろうか、トンネルに入ってすぐ下り勾配、トンネルを出ると
2~3%のゆるい勾配が数十キロ…もちろん見た目の平均値で、下ってちょいと登ってしばらく平ら…
そこからまた下りが始まって…みたいな、風の抵抗もあってちょっと開けてすぐパーシャル、
ちょい下りで全閉、すぐ開けてパーシャル…そんなアクセルワークで80キロくらいで
朝もやけむる田園地帯を降りていた。
10数キロくらいは降りてきただろうか、ファーンと快調に回っていたエンジンが突然失速、クラッチを切ったら止まってしまった…
「勾配に対して燃料フィルターの位置が悪かったかなぁ?」と、とりま路肩に止めてキックすると、
エンジンはすぐに復帰、走り出して1キロもしないうちに今度は
ガラガラガラ…という音と共に失速。
「あーっ…(´Д`)ハァ、キタコレ。抱きついてる…」
止めてオイルタンクをチェックするが油量は充分。ラインにエアでも噛んだかと
オイルポンプのところでエア抜きを試みるが、エアは出てこない。
オイルポンプの駆動ワイヤーのイニシャル位置を増量方向に調整したこともあって
まだ、この時の自分は気付いてなかった。
エンジンはかかるので、とりまスタート…早めのシフトアップに、ポンプストロークを稼ぐ為に
大きくアクセルをあけて吐出量を増やしたが、どうやらピストン表面が荒れてしまったようで
油膜を確保出来ずにまた止まる…
「まともなエンジン、無くなったなぁ…」誰も通らない早朝の農道に、独りポツン…
遠くで地元の人が草を刈るエンジン音が漂ってくる。
「ん~~~~~っ…」と、ここで気が付いた、シムの全撤去がまずかったかと。
初期のYPVSはアクセル連動で、回転数に関係なくアクセルの入力だけでポンプストロークが決まったが、
その後のYPVSはエンジン回転数による補正を取り入れている。
YPVS駆動プーリーにワイヤーを足してエンジン回転信号とし、その信号をベースにして
アクセル連動のポンプストローク量を決める方法に改良されている。
縦軸に吐出量、横軸にエンジン回転数のグラフを書くとエンジンの状況によって
ベースとなる横軸が上下にシフトし、アクセル情報に対して増減の補正を加えてるようなイメージかも。
ここまで100キロ以上走って、この道よりきつい登りも下りも平地でも、何の兆候も問題も無かったのに、
なぜこの勾配(長いパーシャル区間)で抱きつきが発生したか…
80km/hで5,000rpm…アイドル付近ならスロージェットに見合う吐出があれば焼きつかないし
その回転域なら、ケースに溜まったオイルで一時的な高負荷はしのげるが
エンジン回転による補正が入っても5,000rpmで長期間のパーシャルでは
ケース内のオイルは使い切って、ホントはもっと必要なのに、アクセル入力は小さく
吐出量が間に合わなかった…と、いうことか。
結局、オイルをエンジン各部に運んでいるのはガソリン…
5000rpmで平坦部を走るアクセル開度ではアクセル情報に対しての吐出量は間に合っていたが
同じ回転でパーシャルにするとちょっと足りない状態で、そのまま長く走ってしまった…
もしかすると、ホントにシム1枚のストローク量が足りなかったのかと思った次第。
「あ~…もしかすると帰れない…どーする?自分…」
さあ! 1KTを始めよう!
帰れたんかな・・・