なんくるないさ~、沖縄での研修医生活

臨床研修のメッカ沖縄にあって忙しさNo.1を自負する中部徳洲会病院。スーパー研修医がリレーでつづる研修医ブログ。

ノートパソコンのリチウムバッテリーのお話

2011-09-22 09:59:23 | Weblog

研修のこととは全く関係ないのですが、知って得するノートパソコンのバッテリーの知識をご紹介しましょう。

最初のころは電池で3~4時間利用できたノートパソコンも、1年もすれば電池の持ちは悪くなってきますね。
現在のパソコン用電池はリチウム電池が主流ですが、普通の乾電池とはことなり複雑な構造になっています。
次の写真は、パソコン用電池パックを分解したものです。

この電池パックには、緑色した電池セルが6本入っていました。このセルは18650型リチウム電池でもっとも頻用されているものです。1本当たり3.7V/2200mAです。3本並列×2の構成で、7.4V/6600mAの容量となります。電池パックは6本のセルと制御部分からなります。制御部分はセルの電流を感知して、容量を決めています。セルは使っていくと劣化しますので、セルがどの程度の電力を保持できるのかを制御部分が管理しています。新品では2200mAだった能力がどんどん低下していくのです。

電池パックの制御部分の情報を更新する
使っていくにつれてセルが劣化し、制御部分はセルの残容量を都度計算していますが、実際よりも低い値になることがあるようです。

昔のNECのノートには、この情報を更新する機能(リフレッシュ機能)がありました。Windowsが起動していない状態で、フル放電とフル充電をすることで、情報を更新できるのです。実際にはBIOS画面の状態で、放電と充電をすれば良いようです。BIOS画面は多くのパソコンで電源投入後にF2キーを押すと表示されます。新しい電池パックを買わなくても電池の持ちを良くすることができる可能性があるので、ぜひ試していただきたい。実際の電池の容量はYbInfoなどの電池用ツールを使うと、残容量を知ることができます。

  なぜ、現在のノートにはこのリフレッシュ機能がなくなったのでしょうか?制御部分の性能が改良され、わざわざリフレッシュなどしなくても良くなったのかもしれません。残念ながら私はこの件について十分な知識を持っていません。

 

今回はパソコンのリチウム電池のセルを交換してみました。
コストは3000円。交換にはハンダごてやニッパなどの工具を必要とします。上の写真は電池パックをカッターで切り開いたものです。ていねいに切り開くと電池交換後に綺麗に仕上がります。

セル交換後に新しいセルの容量を認識させるための操作が必要になります。これをしないと、交換前の「持ちの悪い」電池のままです。理由は先に述べたように、古い電池の情報を制御部分が保持しており、新しい電池セルの状態を反映できていないからです。次の写真は、電池セル交換後のYbinfoの情報です。残容量が新品の時(設計容量)の6割くらいになっています。新しい電池の性能が悪いわけではありません。制御部分に古い情報が残ったままなのです。この情報を更新する必要があります。


電池セル交換直後:設計55272mWh、フル30013mWhと表示されています。これは新品なら55272、現在の能力が30013と約6割に劣化したことを示しています。すでに電池セルを交換していますが、制御部分には古い情報が残っているのです。この後、フル放電充電を繰り返すことで情報を更新できます。
 

 

今回のようにセルを交換しても残容量情報は変わらないので、最新状態に更新する必要があるのですが、特別な作業が必要になります。その方法とは、パソコンのBIOS画面の状態で充放電を繰り返すことです。次の写真に示すように、交換直後は30013mWhだった容量が、52651mwhになりました。充電はBIOS画面を表示した状態、もしくは電源を切った状態が良いでしょう。

フル放電1回後:BIOS画面で放置して電池を使い切ります。その後に電源コードをつないで起動し、Ybinfoで見てみるとフル48065mWhと増えています。セル交換後はこの作業が必須ですが、交換していなくてもこの作業をすることにより残容量の更新ができるので、場合によってはより高い値になって電池の持ちが良くなる可能性もあります。

フル放電充電を数回繰り返した後:フル52651mWhとかなりいい数字になりました。電池の持ちも4時間くらいに復活し新品のころと同じになりました。

互換品メーカーの電池パックも持っていたので同じようにセルを交換したところ、そちらは設計<フルというように、元よりも高い値になりました。この違いはおそらく制御部分の性能によるのだと思います。いずれにせよフルの値が高ければ、その値まで充電してくれますので電池での稼働時間は長くなります。


ノートパソコンの電池の持ちが悪いと感じたら、まず上記のリフレッシュ作業を行ってみてください。その前にYbinfoで正確な残容量を調べてみるのがよいでしょう。少しでも長持ちするようになれば儲けものです。

電池セルの交換はそれなりの技術が要ります。セル交換サービスが商売として成り立っているぐらいですからね。しかし、わずか3000円ほどで性能が回復しますので、だめもとで試すのもいいでしょう。リチウム電池は高電流ですので、ショートさせると発火したり場合によっては破裂する危険性がありますので、慎重に行ってください。捨てるときもショートしないようにご注意を。セルの購入は、私は若松通商というパーツ店から通販で買いました。

わかる範囲でご質問にお答えしますので、このブログにコメントいただければと思います。

今西康次 元システムエンジニア