なんくるないさ~、沖縄での研修医生活

臨床研修のメッカ沖縄にあって忙しさNo.1を自負する中部徳洲会病院。スーパー研修医がリレーでつづる研修医ブログ。

ピロリ菌の感染経路

2008-08-16 11:29:41 | Weblog
胃潰瘍の原因のひとつであるヘリコバクターピロリ菌の感染経路は、未だにはっきりとは証明されていない。水系感染といって、飲料水を経路として感染するのだろうと言われている。

私が医学生のとき、人間ドックで胃潰瘍を指摘された人にアンケート調査して、井戸水を利用している人を探し、井戸水からピロリ菌を調べまくった。検査はPCR法といって、遺伝子を調べる方法である。

公衆衛生の実習で取り組んだのが始まりで、その後も微生物学教室に通いつめて、井戸水のPCRを行った。約15%からピロリ菌の遺伝子が見つかった。これは当時海外で報告されていた数字と似たようなものだった。

この井戸水を飲んでいる人の胃粘膜を採取して、ピロリ菌の遺伝子を調べ、同一かどうかを判断すれば、水系感染の証明につながる。研究はそこまでターゲットにしていたのだが、卒業して沖縄に来てしまったので、研究半ばで頓挫している。

井戸水のPCRの結果は日本感染症学会の感染症学雑誌に投稿して、きちんと原著論文となっている。学会のHPからも見ることができる。卒業試験や国家試験が目前に迫っていて、まとめるのが精一杯だった。
http://journal.kansensho.or.jp/PastContent?year=2003&vol=77&number=1&mag=0
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?style=abst&vol=77&mag=0&number=1&start=18

先日たまたま胃潰瘍に関する記事を見ていたら、私の論文が引用されていた。懐かしくて、とてもうれしかった。
http://www.pariet.jp/alimentary/vol54/no556/sp02-01.html

なにか、臨床研究のネタを探したいなあと思っている今日この頃です。

小児科 今西康次
(ピロリ菌画像は大塚製薬のホームページからの引用です)