約1年前に開業したブルガリアのソフィア病院での研修がスタートしました。初期研修医と後期研修医を対象とした研修会の第1回目に参加してきました。第1回は全国の徳洲会から11名が、当院からは仲間、柴原、今西の3名が参加してきました。写真は病院の前でのもの。現在500床がオープンし、4月から1000床となります。手術は毎日40件以上。開心術が4件/day、大血管手術が150件/month。心カテ15件/day、PTCA5件/day。平均在院日数が4~5日と、日本の大病院をしのぐパフォーマンスです。すでにブルガリアを含め旧東欧圏ではトップの地位に。
昼食は最上階にある職員食堂を利用しました。品数は多くはありませんが、明るいレストランで、遠くにスキー場を眺めることができます。写真の右手前はブルガリアの冷製スープです。ブルガリアのヨーグルトは酸っぱいと聞いていたのですが、現地で食べたヨーグルトは酸っぱいことは一度もありませんでした。明治のブルガリアヨーグルトは酸っぱすぎるような気がします。
小児科病棟での一こま。小児病棟は32床。スタッフは10名と大所帯です。腫瘍と循環器以外は総てのサブスペシャリティーが揃っていました。部長は腎臓がご専門で、専門外来では国立こども病院からも紹介患者が来ていました。WEST症候群の子どもや、糖尿病など内分泌疾患のお子さんも入院していました。規模的には大学病院クラスです。毎朝の病棟回診は2時間くらいかけてじっくり回っていました。ブルガリア語が中心ですが、ラウンド中は半分ぐらい英語で解説してくれました。
新生児科チーフと。新生児科は診療を始めたばかりですが、すでにNICUには1000gクラスの低出生体重児が3名入院していました。一人は挿管されていました。産科の分娩数が70人/月と比較的多く、今後ますます需要は増大しそうです。
ロシア正教寺院(聖ニコライ・ロシア教会、1913年)。他の宗派の寺院に比べて金が多く使われていて華やかな外観。もちろん内部も自由に見学できました。ソフィア市の中心部にはいくつかのキリスト教寺院が点在しており、歴史の重厚さを感じさせてくれます。
アレキサンダル・ネフスキー寺院、1922年。建設に40年を費やしたというバルカン半島最大の寺院。内部には巨大なシャンデリアがあり、モザイク壁画が美しい。
聖ゲオルギ教会。4世紀にローマ帝国によて建立された寺院。シンプルゆえに長い歴史を感じる。
現在の日本はアメリカの影響を強く受けているが、ヨーロッパに病院を建設したことで、生のヨーロッパ文化に触れるチャンスを得ることができた。歴史的な重厚感は比較するまでもなく、軽薄短小化が進む私たち日本人にとって、とてもいい刺激であった。外国に病院を建設することは想像を絶する困難を伴っているが、開業当初から順調に運営されていることは、まさしく奇跡的なことであるといえる。新病院に対するブルガリア国民の期待の大きさはもちろん、国を挙げて支えていただいているということを強く感じた研修であった。
小児科 今西康次