4CATS

この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

最低で最高の日。

2022-01-15 16:06:17 | 日々是好日
去年の話。

12月の始め、風の強い月曜日の朝、子供たちを送り出して仕事が休みの私は朝からYOUTUBEで懐メロ聴きながら、掃除をしていた。コンロを掃除するので、愛鳥をケージに入れ、掃除が終わったので、出した。ニコちゃん、いつものように私の肩に飛び乗る。



玄関掃除だけしたら、今日の掃除は終わり。とその事ばかり考えて勢いよく玄関を飛び出したその5秒後、何かが飛び立った音が耳元を掠める。

「ん・・・・!!!!???」

「・・・・・・・・・ええええええええええええええ?????」

「はーーーー???・・・・・嘘でしょ・・・・・・・・・・・・。」

すごい衝撃だった。

あまりにいつも肩に腕に、頭に、背中にくっついているもので、35グラムなので、
うっかりしてしまったのだ。

こうして愛鳥は飛び立って行った。上を見上げたが、跡形もなかった。


もう、悲しいなんてものじゃない、呆然として、乾いた口からは「信じられない」という言葉しか出ず。


「ニコー😭
呼んだが、返事なんてしてくれるはずもなく。

混乱し震えながら家に入り、空っぽのケージ、いつもツクツク遊んでたフェイクファーのベストが目に飛び込んでくる。
大袈裟だけど、目の前で人生が音をたてて崩れるというか、ああ、子供たちに何て言おうとか、カラカラの喉でへたりこみながらもネットでインコの探し方を検索。
とにかく、すぐに探した方がいいらしい、

外へ出て、念の為ケージも外に出し、餌皿をベランダに。
でも、犬猫じゃないんだから、ここが家だなんて、外から見たこと一回もないんだった😱 

とりあえず、母に電話。私が探し歩いている時、万が一戻ってきた時要員。
これが、吉と出る。

情けない顔で家の前に立っていると、ママ友通りかかり、力なく理由を話すと、優しい彼女は、とても心配してくれ、ネットで情報収集、さらには近所へ自転車で、ご近所さんにも、うちのインコ話を展開してくれた。

私は近所を名前を呼びながら、徘徊。
見つかりっこない。
小鳥は臆病だから木の上とか高いとこにいるはずだけど、体は緑だし、体長10センチくらいしかないし、35グラムだし、こんな強風の日はどこかに飛ばされてしまいそう😭 😭 😭 

でも日を追う毎に遠くに行ってしまうから、少しでも早く名前を呼びながら探し歩くしかない。顔面蒼白でこれ以上落ちないくらい肩を落としながら歩いていると、真っ赤なダウンを着込んだ母がやってくる。こんな用事で呼び出されてどんな思いで来てくれたんだろう、有難し😭 

母にいてもらって、ちょっと足を伸ばした公園やらを呼び歩く。
ちょっとでも鳥の鳴き声が聞こえようものなら、耳を澄まし、名前を呼ぶ。


見つかりっこない。そんな奇跡ありえない。


家に帰り、母と暗い時間を過ごす。横田めぐみさんや、キャンプ場で行方不明になったみさきちゃんの話。母がめぐみさんのことを50年も待ってるんだよ、と言って泣く。
こんなこととは到底比べようもないことだけど、人間、自分が風邪を引いてやっと他人の痛みがわかるものだ。



すっかり浮腫んだ顔でふたたび捜索へ。
交番にも届け出を、と書いてあったので、半信半疑ながら、交番へも行く。
案の定、出すのは自由だけど、やんわりと断られる。そりゃそうですよね、、
と肩を落とし、家路へ。

そこで母から電話が。何事かと震えながらとると、

「ニコちゃんがいた!!!!!」

と言う。

慌てて家まで走る。

鳴き声がしたから、あれ?と思ってベランダに出ると、なんと隣のアパートの螺旋階段に停まっていたという。
間違いなくニコだったと。

慌てて電話を取りに家に入って出てきたらもういなくなってたけど、この辺りにまだいることは確かだと。

私、無我夢中で名前を呼ぶ。当たり憚ることなく大きな声で。
不法侵入だけど、隣の螺旋階段にも昇ってみる。
3階の一番上まで来たところで、目の前の電線に停まっている小さなボタンインコ発見!!!!
信じられない。。。。

私とニコの距離3メートルくらい。階段の上から、落ちそうな勢いで名前を呼ぶと、
探せないみたいでキョロキョロしている。目の前にいるのに、完全に声の主を探している。私はもう必死で手を伸ばして叩いて名前を呼んだ。すると、ニコがこっちをはっきり見た。私に気づいた。

途端、飛んできた。


私はそれをガッチリと受け止めた。

ものすごい奇跡の瞬間だった。

だって、家の中だって毎日捕まえるのに苦心してるのに・・・


私の声に気づいて出てきてくれたママ友と母と3人で歓声を上げる。
私は泣いた。

ニコはあんな大冒険をした後なのに、ケロリとしている。

母と私はそれから2時間くらい、ずっと「良かったね」を馬鹿みたいに繰り返した。

学校から帰ってきた子供達にこの話をしたところで、冗談だと言って信じないだろう。

正直戻ってくる確率なんて1%もないと絶望したけど、奇跡は起きた。

それからしばらくは、「ニコが戻ってきてくれたんだから、」が口癖になった。
それだけでしばらくは何事にも耐えられた。

ただ残念なことに人間は忘れるものだ。

今日もニコはいるだけで、極上の喜びを私にもたらしてくれる。
変なことをして私をいっぱい笑わせる。

小鳥のいる暮らしがこんなに彩り豊かなものになるとは正直思ってもいなかった。

万が一将来一人になっても、小鳥がいてくれれば私はなんとか生きていける。









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