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この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

目から鱗の戦争の話、「世界は五反田から始まった」

2025-04-27 09:13:24 | 私の読書日記
戸越銀座出身の作家、星野博美さんの本「世界は五反田から始まった」を読む。どんな本だろう、五反田から世界が始まるってどういうこと??小学生の頃から、五反田TOC徳の市に通っていた私だけど、実はそれ以外には五反田のこと何にも知らない。むしろ、未だに川を挟んでどっち行けばいいんだか迷ってしまう街。。

この本は、著者の祖父が千葉から丁稚奉公で五反田の町工場にやって来て、やがて自分の工場を構え、ここで生活が始まっていく様子とその背景にある昭和、特に第2次世界大戦下、五反田、戸越銀座、武蔵小山がそこにおいて、どんな歴史を辿ったかについて詳細に触れている本です。真珠湾攻撃の後、日本で初めて爆弾が投下された街、それが品川なのだそうだ。なぜだったのか、それは直接はそこ(兵器や戦闘機など)に繋がるとは思えないような小さな部品を造っていた町工場が無数にあった場所だからだ。話は宮本百合子や、小林多喜二の小説など、それらが書かれた背景にも迫る。武蔵小山商店街の、今ではタワーマンションに囲まれた場所にひっそりとある慰霊碑について、中国残留孤児について(言葉は知っていたが、具体的にあまりよく理解していなかった)これまで知ろうとも思っていなかった、品川区における戦争の爪痕について、目から鱗の話が著者の緻密な調査と街や家族への深い愛情を持って描かれている。

近辺に住む者として、この話には大いに身をつまされ、改めて、戦争が引き起こした悲劇について、今一度自分に問い直してみたいと思った。


スウェーデン女性も同じように苦しんでる、子育てと仕事の間で・・

2025-04-04 09:53:21 | 私の読書日記
私がハマりにハマったスウェーデンのミステリー小説家 カミラ レックバリのエリカ&パトリックシリーズもどうやらこれまでのところ出版されている全巻を読み終えてしまった。読んでいる間中とっても楽しいので、もう続きが出ていないと思うと寂しいのだが、
そして、これだけハマったくせに文句言うのもなんだけど、最終巻(今のとこね)「魔女(上下)」にはガッカリした。4歳の女の子が殺されるんだけどね、その動機がお粗末すぎて、本当に遺族なら(もちろん、遺族でなくても!!)絶対に絶対に許すまじって内容なのに、犯人に同情する始末なんだから、なんとも腹が立ってしまった。注文をつけるなら、毎度毎度回を重ねるごとにその犯罪は残虐性を増すのに、肝心の動機づけがイマイチだから、毎回、犯人結局誰だったっけ?という結果になる。それを繰り返した10冊だった。
北欧のアガサ クリスティとの異名もあるみたいだけど、アガサ クリスティには到底及ばないと私は思う。

ただ、スウェーデンを広く世の中に紹介することにはとても役立ったとは思う。
私がこれを読んで感じたのは、日本よりはるかに男女平等の国だと思っていたスウェーデンも、内情は実をいえば日本とそう変わらないし、日本よりよっぽどDVが多い国なのかな??と思った。(10作中でDV夫たちが手を替え品を替え、度々登場)
そして、主人公のエリカを始めとする母親たちも、子育てと仕事のバランスで、我々と同じように揺らぎ悩みを抱えている、ということ。
物語の中で、エリカ(小説家である、作者自身を投影?)は仕事をするために、保育園以外にもしょっちゅう子供を義母、実妹、友人ファミリーに預け、家にいるときはテレビを見せ、仕事の時間を作っている。そして、こんなことでいいんだろうかと悩みつつも、やっぱり仕事がしたい、と大きなジレンマを抱えている。ちなみに、10作目の魔女では、子供たちは4歳くらいの娘と2歳くらいの双子男子の3人(まさに可愛い盛り)
作者自身も前夫との間の子供と現夫との間の子と3人くらいいるようで、こう書いていくとまさにどっちがエリカか作者かわからなくなるのだが、子供たちが巣立ちつつある私から言わせてもらうと、もしかしたら子供が10歳くらいまでは、そばにいてあげて、それから仕事を再開したほうがジレンマと罪悪感を抱くことなく、そして後々、ああ、もっとあの時一緒に遊んであげればよかった、の後悔も一切抱くことなく、腕によりをかけた仕事ができるのではないかと思う。

それからもう一つ、スウェーデン人は無類のコーヒー好き、もしくは中毒であることが窺える。本の中では、水くださいと同じ意味でコーヒーもらえる?と登場人物の誰しもが言うのだ。なので、この本を読むときは、お手元にコーヒー(それもサーバーに注がれて時間が経ったやや不味いコーヒーが◎)を用意して読むと一層世界に入り込めます。

珠玉のエッセイ「ミラノの太陽、シチリアの月」

2025-02-13 15:54:08 | 私の読書日記
内田洋子さんの本を読んで、まだまだ浅いけど、初めからそんなにハマったわけでもなかったけど、この本にはとにかく圧倒された。これまで読んだ数冊の中でも(今思えば、他の作品も十分素晴らしかったのだが)ずば抜けて面白かった。

全て30ページくらいの短編なのだが、どの話も唸るほどいい。どの話も映画に出来るほど、内容が濃い。創作にしてもすごいけど、これは彼女の人間力が培って、彼女が実際に見聞きした真実の話だ。事実は小説よりも奇なり、とはよく思うのだけど、これを読むとまさにそのとおりだと思う。こんな体験をできる彼女の恐れを知らぬ生き方(たった一度の人生ならぜひこんな風に生きてみたい)や、相手の心を開かせる天賦の才にただただ舌を巻く。

文章力は疑いようもない。食べ物を語らせたら、涎が出るし、ファッションや、インテリア、人と形についても、その精緻な文章のおかげで、ありありと目に浮かぶのだ。
この力は凄過ぎて、映像にしたら追いつかないのかもしれない。

この作品で益々ファンになったので、もう全部読むまでは終わらない、私の中の内田洋子ブーム本格到来の2025年となりそうだ。

読み比べ「斜陽日記」と「斜陽」

2024-11-08 15:28:06 | 私の読書日記
夏頃、太宰治の映画を見て、娘の太田治子さんの「明るい方へ」を読み、次には「斜陽」の元になったという太田さんのお母さんの日記「斜陽日記」を読んだ。これは太宰に勧められて書かれたものだが、とても面白かった。他人の日記なので余計に面白く、さらにこの方、文章もとても上手だと思う。この方の、人となりも面白ければ、終戦間際の様子も、とても興味深かった。何より、この斜陽族(落ちぶれた没落階級)である著者は、なんと玉音放送の3日前くらいに終戦になるという情報が伝えられていたという事実にびっくり。軍部でもないのに、知っている人はあの状況下で、3日も前に知っていたんだと思った。直後に、戦地に赴くからとわざわざ挨拶に来た人がいたんだから皮肉なものだ。

そして、この「斜陽日記」を読んだ後に、太宰治の「斜陽」をおそらく30年ぶりくらいに読んでみたら、すごく面白かった記憶があったというのに、もうこれは、盗作以外の何物でもないではないかとただただ唖然とさせられた。
書けと勧めて、その日記を何とか手に入れて、それをまんまと自分のものにして出版したなんて信じられないことだ。通りで、あんな文章が書けたものだと今思えば納得する。「斜陽」のお母様は、「斜陽日記」の太田静子さんの母太田キサさんなくしては、描けなかったものだ。
エピソードもあまりにしっかりパクってあって、あとほんのちょっと脚色してあるので、法螺吹きが書いたような話だなあとしみじみ思ったら、抱き合わせに収録された「パンドラの匣」という小説も何だか全然頭に入ってこなくなった。

興味ある人は、ぜひこの2冊を読み比べてほしい。

アイ♡ジュディ ブルーム

2024-10-23 15:34:25 | 私の読書日記
大好きな映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」にも登場する児童文学作家のジュディ ブルーム。映画の中でもジュディ ブルーム話で盛り上がるし、映画の中でも、大きなキーにもなっている存在のジュディ ブルーム。

正直私は知らなかったのですが、ドキュメンタリー映画「ジュディ ブルームよ、永遠に」を見て、ますます興味を持ち、図書館で
「神さまわたしマーガレットです」を借りた。もうすぐ12歳になるマーガレットが主人公の話で、まさに思春期に突入しようとする彼女を取り巻く友達や家族との話なんだけど、生理や、ブラジャー、宗教の話なんかもあって、もうすぐ46歳の私が読んでも、なんて面白いの!!!!とすっかりハマってしまいました。勿体無いので、ちびちび読んでいるんだけど、絶賛反抗期の中1娘にもぜひ読ませたい!!

ジュディ ブルーム最高♡

そもそもこれは1980年代に出版された本で、マーガレットがインフルエンザに2回もかかるんだけど、その当時からアメリカではインフルエンザの認識があったのだなあとびっくりした。忘れもしない、私が1991年2月の中学受験前日にインフルエンザになった時は、まだ日本ではインフルエンザの診断はつかなかったんじゃないかなと思う。今思えば、あの熱はインフルエンザだったのね、と思い出すから。

「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」の中で、シガニー ウィバー扮するエイジェンシーの社長がジュディの新作の出版をおじゃんにしてしまって、すっかり新作に夢中になっていた主人公が怒るんだけど、その時の本は何だろう、ぜひぜひ読んでみたいと思う。
もう、あまり手に入らなそうなのが残念です。これからはこういう古い作品も、電子書籍に期待ですね。

Judy Blume Forever - Official Trailer

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2

2024-10-14 18:16:49 | 私の読書日記
前作に引き続き、今作もとても良かった、なんて感想では、この作品を陳腐にしてしまう。通勤電車の中で、お昼休みのお弁当の後で、全部の章が胸に迫った。
この聡明な息子くんの瞳を通して垣間見た現代イギリスの中学校生活は、毎日が静かにドラマチックだ。これは、この息子くんとその声に耳を傾けるブレイディさん、そして大黒柱の父ちゃんなくしては時に見過ごされてしまうかもしれない物語だ。

どの話も珠玉なのだけど、日本に息子と共に里帰りするエピソードが特にいい。ブレイディさんの母親(息子くんにとっておばあちゃん)を静かに見つめる彼の言葉と祖父が交わす手紙には特に胸が熱くなった。

今作ではブレイディ家にもより思春期が忍び寄り、我が家では息子の思春期が去ったと思ったら、娘の思春期がやってきて・・

ブレイディ家の明日をまだまだこれからも引き続き見せてほしいと続きに期待するばかりだ。



「明るい方へ 父 太宰治と母 太田静子」を読んで

2024-09-12 12:29:39 | 私の読書日記
何を隠そう、日頃から中田敦彦のYouTube大学を愛聴している。そこで仕入れた情報を子供たちに話すと、「またあっちゃん?」と怪訝そうにされるが、面白いんだからしょうがない。料理をなかなか作りたくない時、皿洗いしたくない時、アイロンかけるの面倒な時、これを聞いてると、楽しくって、余計に家事をしてしまう。本当に私にとって欠かせないyoutubeチャンネルなのです。

そんなある日、太宰治の「人間失格」についてを解説していたので、面白く聞いていたら最後に、読む人が読むと、「人間失格」は境界性パーソナリティー障害の人の痛々しい手記そのものだと言うので、そこで浮上した境界性パーソナリティー障害が最近とても気になっていたので、中学生以来、30年ぶり、もう一度「人間失格」を読み返してみた。

あっちゃんの解説を聞いてからの読み返しだったが、やはりとても面白かった。
思春期の頃の読後感は、何言ってるの?この男は、女性だけ死なせてっていう怒りしかなかったけど、(母に熱く感想を語ったことは昨日のことのようになぜかよく覚えている)きっと当時は、話の半分も理解できていなかったのではと思う。

にわかに太宰にハマって、蜷川実花監督の映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」も見た。蜷川実花の映画は初めてだった、期待、想像した通りの映画だった。
太田静子役が沢尻エリカっていうのにはちょっと閉口したけど、二階堂ふみちゃんは体当たり演技だったなあ・・

それからますます興味を持って読んだのが、太宰治の娘(婚外子)で作家の太田治子(太宰から一字もらって名づけられた)が書いた「明るい方へ 父 太宰治と母 太田静子」だ。
率直に言って、めっちゃくちゃ面白かった。太田治子の母である太田静子は「斜陽」のモデルと言われているだけでなく、実際、太宰の「斜陽」は太田静子が太宰に勧められて書いた自身の日記を元に、それを引き写して創られた本なのだった。
「斜陽」は大変面白かった覚えがあるので、こっちとしては、その事実には、えーーー??という感じ。しかし、この本を読んでみると、太田静子の人となりにえーー??っとなる。大変興味深い女性なのだ。

そして、太宰は一体なんだったんだろう。やっぱり、境界性パーソナリティー障害だったんだろうなと、思いながら読むと、この破天荒な人となりにも納得がいくというものだ。

なので、今度は元東京都知事の猪瀬直樹が書いた太宰についての本と「斜陽」ももう一度読み返さなくては、この湧きあがった好奇心が抑えられない。

なので、季節が良くなったら、玉川上水に散歩と行こうかとも考える今日この頃です。。


『続 窓際のトットちゃん』を読んで

2024-07-22 20:50:49 | 私の読書日記
「窓際のトットちゃん」を読んだのはもう何十年前のことだろう。
面白かったことはよく覚えている。破天荒だったトットちゃん。
今、もう一度読み返してみようと思った。みんな違ってみんないいらしい今の時代の目でもう一度。

そんな窓際のトットちゃんから42年、待望にしてはいささか待たせすぎの「続 窓際のトットちゃん」が出版された。普段本を読まない母も、これは読みたいとアトレの本屋さんへ買いに行ったら売り切れ中で一冊もなかったそうだ。丸善で買ってプレゼントした。

母が大事に読んだ後、私に廻ってきた。
正直、そこまで期待しないで読み始めたんだけど、とても面白かった。
徹子が何を伝えたかったかがよーーく理解できた。それは徹子が徹子になるまでの冒険の物語なんだけど、この、続の続編が私は早くも読みたい。徹子のNY時代、これはまた別にもう本があるのかもしれないけど。

もう日本で寝る間もなく、売れっ子だった徹子がNYへ芝居の勉強をしに行く決心をした時の文章がとても心に刺さった。それは自分を汽車に喩えたものなんだけど、

”汽車がずっと走ってきたレールから少し外れて、引き込み線へ入るような時間を持ちたかった。引き込み線にじっと止まっている汽車は、レールを走っている汽車からすると、置いてきぼりを食っているようにも見える。たしかにさびしかったり心細かったりもするだろうけど、急いで走っているときには気づかなかった景色も、きっと発見できるに違いない。”

この文章でジーンときた後に、あとがきで泣いてしまった。
思い出して話そうとするとまた涙が溢れてくる。
最近の徹子さんのこと、お化けみたいに思っててごめんなさい。
やっぱりものすごく偉大な女性だった。

今年私が読んだおすすめ本

2024-07-02 21:28:27 | 私の読書日記
2024年もあっという間に半分終わりですね、と京都出身の人に話していたら、6月30日に食べるお菓子があるんだという。東京では伊勢丹に売ってるから毎年すごい勢いで買いに行くという。水無月というお菓子。東京の人は食べない?と聞かれたが、初耳だった。でも、素敵な風習だなあと思った。

今年読んだ本をちょっと挙げていく。

「ハンチバック」市川沙央

薄い本だけど、、こんなにパンチのある本はおそらく初めて。
ちょっと読むつもりが、そのまま一気読みした。冒頭から、なんだ、これは!!!って感じ。どこまでが本当で、どこまでが創作なの?と思う。これは、文學界新人賞に芥川賞、獲るはずだ。これまでにこんな本なかったし、この人でなくては書けなかっただろう。多様性が叫ばれる現代にこそ、読んでほしい。本当は、分断されてそっち側の世界を見えないようにしている現代人に。

「年収90万円でハッピーライフ」大江扁理

目から鱗。生きにくさを抱えた全ての中学生にも、大人にも読んでほしい。この人の生き方、考え方、全てが仙人だ。これはある種のバイブルとなるだろう。

「梨本宮伊都子妃の日記 皇族妃の見た明治・大正・昭和」小田部雄次

メモ魔だった梨本宮伊都子妃が残した日記を著者がその当時の歴史と見比べながら解説してくれている本。
彼女の生家である鍋島家は今の首相官邸のある場所にあり、嫁家である梨本宮家は今の渋谷駅前(宮下公園あたり)の土地にあり、家の門の周りを歩くと20分かかるというエピソードだけで、どれだけの富が一点集中していたかが、よくわかる。彼女の結婚式のティアラの製作費は、その当時の首相の年収よりうんと高いのだ。
そんな高貴なお人も、戦後は平民となり、数多の財産、土地を手放すことになるのだが、そんな時に、真実の人と成りが判別できるのだなあと思った。果たして、高い教育を受けたこの人は、平民よりも平民であった。著者も若干ディスってるところもあって、面白いので、ぜひ読んでみて。

今年の残り半分は、またどんな本に出会えるのかな♪


殺人犯はそこにいる  隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

2024-06-26 20:45:07 | 私の読書日記
4歳の子供のいる弟から送られてきたYOUTUBE。滅多なことでLINEなんてしてこないのに、いきなり何なんだ??訝りながら見ると、まあそれは怪しい(と私はつい思ってしまう・・)YOUTUBERの10分ほどのお話なんだけど、あ!!この事件知ってる、そう、パチンコ店で行方不明になって今も見つかっていない横山ゆかりちゃんの事件。それから冤罪で17年も刑務所に収監されていた菅谷さんの話。送られてきたYOUTUBEではその事について書いたとある本を紹介していて、それがジャーナリスト清水潔さんの書いた「殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件 」だった。

私はこの本を読んで、ニュースの見方が変わった。テレビでやる事だからと丸のまま飲み込むのはとても危険なことなんだと知った。清水さんは、本当に凄いジャーナリストだ。そして、今の日本に、彼ほどのジャーナリストは残念ながらあまりいなそうだ。
ニュース特番についての見方も変わった。どんな気持ちで番組を作っているかも知ってハッとした。反対に科捜研の女は見たくなくなった。(一度でも見たこともないんだけど)DNA鑑定の可否についてもこれを読んで初めて知る事になった。今まではもう、それは”絶対真実”だと思っていたから、それが足元から崩れ落ちた。それがいかに難しいかもわかったし、検察によって簡単にトリミングされ結果を捻じ曲げられて隠蔽されるのかもよく理解した。何度でも再現できなくては意味がない、という言葉でもう10年近く前になるか、小保方さんのことを思い出した。

この本に書かれている内容には、電車の中で、読むたびに何度も何度も鳥肌が立った。ここまでしても、まだ真犯人を野放しにしている警察、権威を保つためにひた隠しにしていること、謝っても謝り切れるものではないとしても、まだシラを切り続ける絶対的権力が残念でならない。

とりあえず、小さい子供のいる人は、群馬県と栃木県の県境の太田市と足利市のパチンコ店に近づくのはやめてください。その辺で子供を一人きりにしてはいけない。
四人の子供を殺して無慈悲にも捨てた真犯人はまだ生きていて、野放しにされているのだから。

それにしても、栃木県警の捜査は一体何だったのか、菅谷さんは無理矢理自白させられた時、自転車の後ろに乗せて土手を登ったと。実際は、4歳だったその子は、ちゃんとした子乗せ自転車のチャイルドシートでないと自転車の後ろには乗れないと母親の証言がある。確かにそうだ。4歳で普通の自転車の後ろに乗れる子なんて、滅多にいるもんじゃない。そして、電動自転車でもない限り、小上がりになった土手を後ろに乗せて駆け上がるのは絶対に難しい。素人でも容易に想像がつく。おまけに、ルパン似の男と、赤いスカートの女の子が土手を歩いて登っていくところを見たという貴重な証言(二人から)は、なんと菅谷さんを犯人に仕立て上げたくて、抹消してしまっていたのだ。赤いスカートを穿いて土手を歩く女の子なんてよくいるからって・・事件のあった夕方にだよ、本当にふざけるな。

それにしても、この本は本当に凄い本だ。
犯人が逮捕されるその日まで、私もこの事件について訴え続けていこうと思う。
最後に、やはり冤罪だと思われるのに、無理矢理に死刑執行された飯塚事件の久間 三千年さんのご冥福を心よりお祈りしたい。