帝国ホテルにクリーニングを頼んでみよう! その3

さて、準備は整いました。
あとは帝国ホテルにクリーニングに出すだけです。

とある休日。私は「シミつき&細工糸ボタン」のワイシャツ
(※前回ブログ参照 その1 その2
を抱えて、地下鉄ゴトンゴトン、日比谷駅A13出口を出ました。

明るい地上に降り立つと、目の前にそびえるは、帝国ホテル。
ホテルの正面玄関前は、活気にあふれていました。
次々に停まる黒い車と、そこから出てくるスーツ姿の人々、出迎えるドアマン。
それらすべてが、ガラス張りの玄関ロビーからもれる照明を浴びてキラキラ輝いていました。

正面玄関をくぐるとき、脇に控えていたドアマンが、ちらとこちらを見た。
どきん、と胸がひとつ鳴る。
なんせこちらは、ホテル従業員・クリーニング部門を試そうという腹黒い、良からぬたくらみを持って来ているのだ。

怪しまれちゃイケナイ。
入口の近くに揃えてあるパンフレットを何気な~く読むふりをしながら、息を整える。
だいじょうぶ。
今日は気合をいれてばっちりメイクもしてきたし、トレンチコートに7センチのヒールと、ちょっとしたキャリア・ウーマン的な装いに変身してきたのだ。
(ちなみに普段はジーンズ&パーカーの私にとって、この格好はすでにコスプレの領域です)
バレるわけがない。こちらが「ただクリーニングを頼みに来ただけ」だなんて。
よし。
意を決してロビーを突っ切り、フロントカウンターへと向かいました。

(フロントカウンターにて、私と受付嬢の会話)
「あの…」
「はい? (ニコッ)」
「ワイシャツを1枚、クリーニングしていただきたいのですが」
「ご宿泊でらっしゃいますか?」
ドキッ。
「いえ。宿泊はしてないんです」
「申し訳ございません。クリーニングはご宿泊のお客さまのみ、お受けしているのですが…」
「えっ!」
たしかWikipediaの記事では「帝国ホテルのクリーニングは宿泊客でなくても利用できる」と書いてあったけど…違うのか!?

呆然自失の私に、受付嬢は優しい声で提案する。
「もしよろしければ、ホテル近くのクリーニング店をこちらでお探して、ご案内したしますが…?」
「(それじゃあ意味が無いんだよぉと思いつつせっかくの親切をすげなく断るのもためらわれて)あー…そうですか、うーん…(と悩むふりをしばらくして)やっぱり、いいです。あきらめます」

あきらめます、の一言に反応した受付嬢、すぐさま、
「少々お待ちください!」
上司らしき男性のそばに行って、小声でコショコショ、また戻ってきて、
「一応、クリーニングの担当に訊いてみますね」
受話器を取って内線番号を押す受付嬢。
「こちらフロントですが…ご宿泊以外の方で……はい」
期待を胸に、交渉を見守る私。
「はい…はい…(下がり口調で)そうですか…」
ああ、ダメか。
カチャリ。受話器を置いて受付嬢、
「やはり宿泊のお客さまのみだそうです。申し訳ございません」

(この受付嬢の「申し訳ございません」の一言に今度はまわりにいたホテルスタッフ数人が反応して、私と受付嬢にの方にサッと身体を向けました。「な、何か粗相でもいたしましたか、わたくしたち!?」という風に。 この反応の敏感さは、ちょっとおかしかったなー)

「分かりました。どうもお手数かけまして…」
つぶやくような返事をしてフラフラとロビーを抜けました。
帰りの地下鉄の中では、ワイシャツの裾につけた三種類のシミが頭の中をぐるぐると駆け巡りました。
あのシミ、一体どーすんだい。

こうなったら是が非でも帝国ホテルにクリーニングをしてもらいたい。
宿泊さえすれば、堂々とクリーニングに出せるのだ。

で、どうしたか。
そう、宿泊の予約を取ってしまったんですねー。
こうなったら、意地だい!
泊まるのは今月の27日です。
(シミをつけてから3週間くらい経ってしまう。ちゃんと落ちるんだろうか? それが心配です)

※このシリーズ、まだまだ続きます。(その4へ)
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
予約されてしまいましたか・・・ (伊織)
2008-04-21 04:15:25
Wikipediaには確かに『帝国ホテルのクリーニングは宿泊客でなくても利用できる』とありますけど、現在ではそのサービスは廃止しているということでしょうか。
しかし、クリーニングのために1泊されるというのも素晴らしいと思います。
その精神、最後までクリーニングを試したいというその探究心、見習いたいと思います♪

ご宿泊からクリーニングまでの経緯なども更新されることをお待ちしています♪
 
 
 
我が人生に悔いは無し (countsheep99)
2008-04-21 11:42:01
>伊織さん

はい。予約しちゃいました。
幼少のころ「この探究心を学問に活かせたらなぁ」と自分ツッコミを入れておりましたが、大人になっても変わらんですな。はっは。

『帝国ホテルのクリーニングは宿泊客でなくても利用できる』

このサービスは現在は廃止しているのか?
それとも元々そーいうサービスは無かったのか?(Wikipedia情報が間違っている?)

宿泊する際に、この件についても確認してきますねー。
 
 
 
素晴らしい根性です! (小手鞠萌)
2008-04-21 21:16:47
うわー、お泊りまでやりますか。
自分は1階の喫茶店入るのがやっとでした。
……帝國ホテルの1階の喫茶店、制服がメイドさんちっくでしたので。
雰囲気も店員さんの動きも良かったなー。

そういえば、そろそろ母の日ですね。
シムネルケーキの話はどーでしょーか?
 
 
 
わくわく♪ (makoto)
2008-04-21 22:56:25
はじめまして。
ブログいつも楽しく拝見しています。
ワイシャツが無事きれいになるのか心配でここの所しょっちゅうブログを覗かせていただいていたのですが帝国ホテルに宿泊するまでの事態になっていたんですね(笑)
その執念がすごく素敵です。
次回クリーニングシリーズ楽しみにしています!


 
 
 
シムネルケーキ! (countsheep99)
2008-04-25 07:56:18
>小手鞠萌さま

いまネットで検索して(便利な時代だなぁ…)「シムネルケーキ」の逸話、いま知りましたよ! ありがとう!

いや、こりゃ、作らなきゃ。レシピ探さにゃ。

素敵なお話、教えてくれてありがとうございます!
うわっ、ホントに嬉しい! 小手鞠萌さん!

帝國ホテルの1階の喫茶店、チェックしてきます(笑)
 
 
 
makotoさま、私も心配です。 (countsheep99)
2008-04-25 08:12:22
>makotoさま

ども。はじめまして!

>ワイシャツが無事きれいになるのか心配で

わたしも、心配です(笑)

執念と言おうか、勢いというのはオソロシイもので。

友人の1人に「かくかくしかじかで、泊まることになった」と話したら「………」絶句されたので、もう他の友人には話してません。
この話の現在状況の知っているのは、その友人と、makotoさん含めこのブログをご覧の皆さまだけです(笑)

これからも、気軽~にコメントしてくださいね!
 
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