レンブラントのために辛子を買いに走った召使い

ロミの『悪食大全』を読んでいて、召使いが脇役の良いエピソード(?)があったのでご紹介。

17世紀の大画家レンブラントは辛子(マスタード)が大好きだったそうで、
ある日彼は田舎の友人の家でお昼を食べることになった。ところが席につくなり、食卓に好物の辛子がないことに気がついてこう叫んだのである。

「辛子がないじゃないか。さあ、すぐに隣の村まで辛子を買いにやってくれたまえ」。
「しかし君、召使いが戻ってくるまで待ってたら昼飯は終わってしまうよ。それだけの時間があったらまず二回は食えるね」。
「かまうもんか。どんなに遠くたっていいよ。辛子をたっぷり買ってきてくれるならいくらだって待つさ」。

レンブラントはそう言うと、いつも持ち歩いていたニス塗りの板を一枚とりだして、そこに食堂の窓から見える風景を描きだした。

召使いが辛子の壺をかかえて戻ってきたときには絵はできあがっていた……。レンブラント作品のカタログではその絵の題はこうである。「辛子のある風景」。

『悪食大全』 ロミ著 高遠弘美訳 作品社 1996年 より引用
(※太字はブログ筆者による)

残念ながらweb上では「辛子のある風景」の絵が見つかりませんでした。
見てみたいものです。(どなたかご存知の方、いませんか?)

この、名もなき召使いがレンブラントのために辛子を買いに走らなければ、絵も完成しなかったワケで…。

すこし違った絵の見方ができそうです。
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