おりこう者・森蘭丸

本日の召使 : 森蘭丸(小姓)

わが家にある「教訓例話辞典」(東京堂出版・S43) 、
森蘭丸”の項からの引用です。
またある時、信長は自分で手の爪を切っていたが、畳の上に散らかった爪を蘭丸に拾わせた。蘭丸はそれを拾い集めていたが、いつまでたってもまだ捜しているようである。信長が「どうしたのだ」と聞くと、「九つまで見つかりましたが、一つ足りませぬ」というと、信長は「それはここにある」と、手を開いて見せた。最後の爪はまだ捨てていなかったのである。信長は蘭丸が何事によらずよく気を配って、後生大事に仕えるのを見て、いよいよその人物に感心したという。
いや、ちょっとソレは、ヤリすぎじゃあねぇか?
ヤ、そりゃたしかにお前さんの弟・力丸をはじめ、
ご主人の信長には小姓が何人もいてよ、
お殿さまの寵愛獲得に一歩抜きん出るには、
まあ、このくらいの、うーん、「アピール」は必要かもしんないけど、
残りの爪を捜す姿を、わざわざ殿さまに…いや、わかってるよ、
ワザと、だろ?
ソレを見せるってぇのは、なぁ?
なんだかオイら、鼻白んじまうぜ。


…つい落語調(志ん朝の)で感想を述べてしまいました。
しかし、ひかえめを美徳とする召使精神にとって禁じ手の、
この「ヤリすぎ感」が蘭丸くんの魅力のひとつでもあるから、
困ったもんだ。いや、誰も困らないか。

ほかにも、こんな有名なエピソード。
信長が自分の脇差を小姓たちに見せて言った。
「この鞘のだんだらの数を当てた者に、この脇差を与えよう」
小姓たちはみな喜んで数え始めた。
しかしだんだらの数が多いので、みな途中で数を見失ってしまい、
いっこうに当たらない。
最後に蘭丸の番がめぐってきた。しかし数を言おうとしない。
何故いわぬか、と信長がなじると、蘭丸こたえて曰く、
「私はこの前その刀をお持ちしました時、数えておきましたので、ちゃんとわかっております。それを申し上げるのは卑怯だと思いますから、お答え致しません」と答えた。信長は笑って「そうか、それではこれはお前のものだ」といって、脇差を手渡したという。(同上引用)
なんだかオイら、……。


さて、蘭丸くんの「召使評価グラフ」

ひかえめ 0
なぜ評価がこんなに低いのか?
それは、「ひかえめ」を装って「主張」するからだ! ズルイからだ!
機転 3
当意即妙な働きはします。
でも技が効きすぎて信長から「何故じゃ?」
真意を問われることたびたび。
主君に気を回させてはイケマセン。
献身 5
本能寺炎上で煙となってまで主君にそって天に昇っていったのだがら、
究極の献身でしょう。
主人からの愛情 5
信長の一字を与え(長定と命名)られるは、五万石の金山城はもらうは、
いや、スゴイ寵愛ぶりです。
そりゃ、ほかの小姓たちから嫉妬されるでしょうよ。
スタイル 4
美男子であったと伝えられています。(まあ、お小姓ですしね)
が、点数はひくめに。
こういう歴史的人物の容姿に関しての風評は、
沖田総司の例がありますから。

関連リンク
森蘭丸逸話集 実録!これが本当のお小姓だ!(RANMARU!)
 森一族専門サイト。蘭丸に関してのエピソードてんこ盛り。資料がとても丁寧。
森蘭丸 信長の小姓としての蘭丸(兼山町ホームページ)
 蘭丸が信長から拝領した金山城の城下町、兼山町のHP。
 蘭丸を客観的に、その能力と地位を説明している。わかりやすい。
蘭丸のま!
 蘭丸に関する書籍、映画、テレビの紹介。
 欄丸役も中村雁次郎から、ウエンツ瑛士が演じる時代に…。
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