いよいよ11月が始まります。こんな時期になって、やっと気候も「秋」になってきたようです
いつまで経っても半袖がそのままで、クローゼットの中は夏秋混在でぐちゃぐちゃ。さすがに「麻」のものだけは片付けましたが… これからの日本は「重ね着」が主流になりそうですね
さて、今日はまた、ジュエリーのお話をします
「ええ またあ」と眉間にシワが寄りますか?ごめんなさい でもね、それも承知の上で、敢えて話題に選びました。
ここでもご紹介した通り、今年も10月18日から秋の保税展が始まっていて、11月4日でその会期が終わります。今回は、春の保税展に比べると、ちょっと出展数が少ないかもしれませんが、やっぱり日頃、日本では目にすることのない、最新の世界のジュエリーに出会えるのはうれしいものです
先日、今年の春の保税展時、初めて足を運んでくださった方が、再びおいでくださいました。その方は、前回はマナーズの卒業生ママとご一緒にされたのですが、今回はお一人でのご来場。
その日は、いつものように時間をかけて、いろいろな宝石や工房のお話をしながら見て廻り、最後にはジュエリー達に囲まれて会場でお茶をご一緒しました その時に、こんなお話をしてくださり… 私はとても興味深くお聞きしました。
「私は結婚が決まるまで、全くジュエリーには興味がありませんでした。なので、婚約指輪も必要ないと思い、シンプルな結婚指輪だけ!をもらおうと思いました。ただ、一生に一度の貴重なものなのだから、真剣に選ばなくちゃ!と思い、いろいろと調べました。そして、初めて大真面目にジュエリーに向かってみると、シンプルな結婚指輪一つとってもとても奥が深く、宝石ってじつは奥の深いものなんだなあ…と実感したんです。そしたら、何だかすごく興味が湧いてきて、いろいろ見てみたい!思い始めたんですよね。でも、結局、結婚指輪選びが終わると、なかなかジュエリーを見る機会なんてないわけです。デパートの宝飾売場はシーンとしていて、真面目に眺めようもんなら、必ず何かお探しですか?お出ししましょうか?と声をかけられるでしょう?それも鬱陶しい… 英語みたいに「Oh, I'm just looking !」なんて便利な言葉はないし… そのうちに、どんどん年月が経過してしまいました。そんな時に、この保税展の話を同級生から聞き、思い切ってお邪魔したんですよ。」と。
いやいや、私もそんなお話をお聞き出来て、前回も今回も、とても楽しんでいただけたことが何よりうれしかったですし 本当に「縁」と「タイミング」とは不思議なもの、ですね。
それに、実際に「縁」にも「タイミング」にも恵まれても、それをキャッチしなければ見逃してしまうもの、でもあります。「好機、逸すべからず」と言いますもんね。
何事も「少しだけ深く知れば、興味が湧いてくる」ものです。否、これは少々違うかもしれません、言い換えましょう。何事も「少しだけ深く知れば、自分にとってそれが興味がもっとわいてくるものなのか?そうではないものなのか?が、はっきりと見えてくる」ということ、ですね
この方の場合は「結婚指輪を選ぶ」ということによって、それまで「興味なし」と思っていたジュエリーが、「なかなか面白い、興味深い、もっと知ってみたい」と思えるものだった、ということに気づかれ、なかなかその機会に恵まれずに何年も経過したものの、偶然にも同窓会?で会った友達から「こんな珍しい機会があるよ」と声を掛けられ、「おー、それは行ってみたい」というチャンスに恵まれた… そう言えば、前回春の保税展においでになった時には、私も初めての方に対し、多少は遠慮もし、大はしゃぎは控えたものの、意外にたくさんご質問をされた、ということを覚えてはいたのです。
ということで。
現在は、まだ秋の保税展の会期中ではありますが、すでに前回のクラブマナーズ・ニュースでもお知らせをした通り、11月23日の祝日、ホテル・ニューオータニで開催される「ガレリアスペシャル 2024 秋」が開催されます。
せっかくの機会ですので、今日はこの催しに出展されるジュエリー達、そのブランド、工房のご紹介をしようと思います
わざわざ足を運ぶ、というところまで心は動いてはいないけれど、多少なりとも興味はあるんだけどなあ…という方もおいでになるかもしれません。
また、今までに数回、ジュエリーマナーズの催しに足を運んだのだけれど、最近は都合が合わずに残念だ、と思っていた方にも、出展ブランドのいくつかについてお話をし、楽しんでいただければ…と思います
すべての出展ブランドを網羅してはいませんが、主だったものについて「私の感想」としてご紹介します。
何度もしつこいほど「気軽においでくださいね」とお伝えしても、どうしても「そんなこと言われても… 行ったら、やっぱり買わないと帰れない…んじゃないの」と思っている方が少なくない、と聞きました。残念でなりません… でも、読んでいただくだけでも、少しは楽しんでいただけるのならば、私はハッピ~です
なお、各ブランドに「私がブログの中でこんな風に書きますよ」とお伝えし、事前にご承諾を得ている訳ではありませんので、ブランド名、工房名は明記せず、イニシャルで表記することにいたします!
「ブランド S」
創業から100余年、宝石の卸商だった内原が、2006年、満を持して発表したオリジナルのダイヤモンドジュエリーのブランドです。全国の高島屋の宝飾品売場では、メインの一つのブランドとして、赤いスペシャルウインドーに展示。高島屋ではあっても、売場の担当は全員、内原の社員です。
南アフリカ、ボツワナ、レソト、ナミビア等、南部アフリカの鉱山で産出される超高品質のダイヤモンドのみを用い、選別、デザイン、製作まですべてを内原自社で行う特別なダイヤモンドジュエリー。0,2カラット以上のダイヤには、1つ1つにすべて刻印がされています。「氏と育ち」と言う言葉がありますが、要するにサバースは「氏から、他とは一線を画す」というダイヤモンドです。
「R社」
1854年創業のオランダの老舗ブランド。
日本では、ブライダルジュエリーとして人気が高く、ご存知の方も多いかもしれません。
1905年、南アフリカの鉱山で産出された世界最大のダイヤモンド「カリナン」。そのカリナンは、当時の南アフリカの宗主国イギリスのものとなりました。イギリス王室は、そのカリナンダイヤモンドのカットを、アッシャー社の三代目ジョセフ・アッシャー氏に依頼。見事に成し遂げた功績として、R社はイギリス王室から「ロイヤル」の称号を与えられました。
ダイヤモンドのカットとして一般的なものはラウンドブリリアントカット。しかし、R社では輝きを追求し、独自に「アッシャーカット」という自社のカットを開発。ラウンドブリリアントカットが57、もしくは58面のカット面であるのに対し、アッシャーカットは74面。上記の「カリナンダイヤモンド」も74面のカットで仕上げられていました。
ここ数年は、老舗としては画期的な試みとして、セラミックを多用した斬新なダイヤモンドジュエリーも展開しています。
「C社」
イタリア最大のジュエリー企業です。
リングやピアスなど、多くのジュエリーに使われている「メレ」と呼ばれる非常に小粒のダイヤでさえ、VSクラス*注 の品質の高いものしか使わない!という徹底ぶりで、デザイン、価格等々、すべてにおいて絶対に外すことのないブランドです。
このC社の最大の特長は「C」というブランド名では展開されていない、ということ。つまり、C社は自社でデザインから製作まで手掛け、それらを世界で開催されるジュエリーショーに出展。世界中から集うバイヤー達、ブランド、宝石店はその会場でC社から買い付けをします。各社がそれぞれ自社に持ち帰った後、C社のジュエリー達は、それぞれのブランド名を冠して店頭に並べられます。要するに、C社はデザインも製作もする「卸商」なのですね。
こういうことから、ハリウッドやカンヌ、ヴェネチア等々の映画祭で、レッドカーペットを歩く女優達が「今回、身に付けているジュエリーは、〇〇ブランドのものです!」と紹介されたとしても、実際にはそのうちのいくつかは「C社のジュエリー!」ということもあり、なのです。
「C社の世界観」は世界で愛され、価格帯も非常に広いジュエリーです。まさに、知る人ぞ知る「秘かな世界ブランド」と言って良いでしょう。
*注 ダイヤモンドのグレードで、内包物の有無を表す表記です。「VS1」とは、「Very Slightly Included ごくわずかに(内包物が)含まれている」という意味です。「VS1」と「VS2」2つのグレードに分かれ、2よりも1のほうがグレードは高い。
「F社」
神戸に本社、工房を置く真珠のブランド、です。
日本では昔から「真珠は冠婚葬祭用」というイメージの強いジュエリーですが、そんな日本女性の思い込みを一新すべく、F社は創業当初より「様々なシーンで装える、もっと身近なジュエリーを!」コンセプトに、パールジュエリーを展開しています。
日本ではまだまだ馴染みの薄い「タヒチアンブラックパール」や、大変希少性の高いピンク色の「コンクパール」、クジャクアワビから採れる「アバロニパール」、オレンジ色の「メロパール」。最近、やっと認知度が高くなった「バロック」と呼ばれる真円(しんえん、真ん丸)ではない変形パールなど、オリジナリティーの高いものばかり。すべての材料は直接現地に赴き、独自のルートで仕入れ。デザイン、製作、すべてを自社で行うパールジュエリーは圧巻です。
「Y社 」
日本のブランド、工房です。
色石、つまりルビーやサファイア、エメラルドといった宝石を使ったジュエリーに強いブランドです。「強い」とはどういう意味なのか?
じつは、Y社の代表はスリランカ人(秘密とまではいかなくても、あまり公言はされていません)。多くの宝石の原石を産出する島国、スリランカ。そういう強みを生かし、非常に品質の高い色石を、特別なルートで安価に手に入れ、自社製品を製作。他社ではなかなか真似はできません。
また、鉱山の閉山や、鉱脈から原石自体が枯渇していく宝石…希少石と呼ばれるような宝石を使ったジュエリーも多く扱っています。「パライバトルマリン」や「パパラチアサファイア」「デマントイドガーネット」「タンザナイト」などがそれに当たります。
なかなかデパートや宝飾店では見ることの出来ない「希少石の宝石」を身に付けて楽しむ…この醍醐味はなかなかの気分です。
「ブランド I」
日本のブランド、工房です。
宝石とエナメル(ヨーロッパの七宝焼の技法)を組み合わせた、非常に個性的な、独特の世界観を持つジュエリーです。花々、草や樹木、鳥や蝶など、モチーフは自然の中にあるもの。
飾り職人の3代目として生まれたN氏がデザイン、製作する繊細で優美なジュエリー達は、眺めているだけで、まるで自然の中入り込んでいくようです。
エナメルと宝石のコラボは、ヨーロッパでは昔から使われる技法ですが、日本では滅多に見ることはなく、その発想そのものがユニークと考えられがち。そういう意味から、ブランドIの作品をご覧になり、気に入られても、気持ちのどこかで「むー、七宝焼ではなあ…」という感覚から脱却できない日本人が多い…残念です。是非、N氏の優美な世界観を楽しんでください。
「E社」
日本のブランド、工房です。(じつは「私の推し」の工房、ブランドです。)
何よりもこの工房の優れているところは、ダイヤモンドのセッティング加工のすばらしさ。複数個のダイヤを高い技術で集めてセット。1粒石のダイヤと見紛う仕上がりです。そのすばらしさ、技術の高さについて私は熱弁をふるのですが、それを聞いた方の中には「1粒の大きなダイヤのジュエリーは高価すぎるから、小さなダイヤを集めて1個に見えるように加工している、ってこと、ですよね?」と言われることも。いえいえ、それはそれ、これはこれ!1粒石ダイヤとは別物、違う良さ、なのです。
というのも、複数個のダイヤをセットしているからこそ、カット面が増え、光の反射が多くなる。そのことによって、輝きが増幅するのです。
E社が作り出すダイヤモンドジュエリーは、高級感を保ちながらも、カジュアル使いが出来るものも多く、すべてが「推し」としてご紹介する逸品揃いです。
「CA社」
日本のブランド、工房です。
ここの工房は、チェーン状のジュエリーが基本になっています。チェーン状にした金属を連結させてネックレスやピアス、ブローチなどを製作。その連結方法は「特許申請」されています。
しなやかに肌や衣類に添う構造で、とっても美しいのです。そのチェーン状の金属加工の中に宝石や真珠、サンゴ等を入れ込み、独特の世界観を産んでいます。
現皇后陛下、雅子様がご成婚の時、お嫁入りのジュエリーとしてこの工房のジュエリーを持参されました。そんな逸話もある由緒あるブランドです。
「ブランド D」
1966年創業の日本のブランド、工房です。
ダイヤモンドには、一般的な無色透明のダイヤの他に、ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー…という透明ではない、カラーダイヤがあります。鉱物的には一般的な無色のダイヤモンドと同じですが、数十億年という年月の中で、ちょっとした地球のいたずら?!によって色に変化が生まれました。
豊かな色彩美のカラーダイヤモンドが、感性あふれるクリエーター達により、魅力的なコレクションに仕上がっています。
静かに人気の高まっているカラーダイヤですが、やはり希少性が非常に高いが故に、価格も当然「非常に高価」となります。それらを独自のルートで仕入れ、「がんばれば手の届く?!程度の価格帯」で仕上げられたファンシーカラーのダイヤ達は、まさに必見の価値あり、です。
いかがでしょう?楽しんでいただけましたか?
読んで、知って、少しでも楽しんでください「ジュエリーマナーズ」の楽しみ方はいろいろ、ですもの。
悠久の大地が育んだ奇跡の石、宝石 会場に足を運んでいただければ、その摩訶不思議な大きなパワーを感じ、そのエネルギーに浴していただけます。興味をもたれたものを実際に会場で身に付けて楽しむも良し。もちろん、自分のものとなったジュエリーを楽しむのも良し、です、ふふふ。
諺に「時は得難くして、失い易し」とも言いますが… いえいえ、ジュエリーマナーズの場合は違います。ジュエリーを見るチャンスは、年に何度もありますよ。ご自分の中で機が熟せば、どうぞおいでくださいね
「ガレリアスペシャル Tokyo 2024 秋」
- 開催日時:11月23日(祝・土)午前10時30分 ~ 午後6時
- 会場:ホテルニューオータニ シリウスの間
保税展とは違い、事前登録の必要はありませんが、ご都合があって少しだけでものぞいてみよう、ということになれば、前日までにメールでお知らせくださいね。
見終わった後、ジュエリーに囲まれてお茶をご一緒することも楽しみです