今年は3月に入ると、あっという間に桜が咲くのでは?という予想を見事に裏切り、寒の戻りや菜種梅雨と、すっかり「素敵な日本語」を実感する天候のおかげで、例年よりも10日ほど遅い開花となりました 満開は、4月4日くらいになるとのこと。まさに、入学式シーズンの頃なのでしょう。
みなさんは、「〇〇くんの桜」「〇〇ちゃんの桜」のことを覚えていらっしゃいますか?
お子様達がマナーズに通ってくださっている年、私は3月中旬になると「お家から近くて、毎日見ることが出来る桜の木を1本決めてください」とお願いしました。
そして、それは「桜の木や花の観察記録を作るためではなく、あくまでも『自分の桜』と決められた桜の木を毎日愛しく眺め、その変化を楽しみ、いろいろな感情を持って欲しいから、と解説をしました。慌ただしく幼稚園、保育園に送っていく道や、バタバタと買い物を済ませて急ぎ足で帰る道… そんな道の桜の木が「自分の木」となり、毎日移り行く姿を眺める… お父様、お母様にも、そんな「ひと時の優雅」「風流な思い」を味わってもらいたい
じつは、マナーズ在学中よりも、むしろマナーズを巣立たれて2.3年経ってから、「久しぶりに〇〇くんの桜をしみじみと眺めました」や「今年も咲きました!娘の桜が。」のようなご連絡をいただき、私は本当にありがたく思ったものです
私は「愛でる」という言葉が大好きです。この音の響きも素敵ですよね。「見る」というと、ちょっと味気ないですが、「愛でる」という行為には、「立ち止まり、意識的に眺め、ほれぼれする…」というような光景が見えてきませんか?
あらためて調べてみると、この「愛でる」という言葉には、「可愛がる」という意味もあるようで、我が家の子犬を愛でる、というような使い方もするそうです。私は「愛情を持って眺め、その美しさに感動しながら鑑賞する」という意味だけだと思っていました。調べて、賢くなりました
24日の日曜日、「神田川」「江戸川橋付近」の散策に行きました。あちこちへの出張がかなり続いた夫は、金曜日に帰国。「やっと帰ってきた」という実感が欲しかったようで「懐かしい界隈で、桜を愛でる」をイメージしていたようです。
家を出る前に、何度も「桜はまだ『蕾かたし』なのよ」と話したのですが、考えが一途な夫は、自分のイメージが頭の中で先行していたようで、笑。現地に到着し、神田川の桜並木を見て、落胆 「そうかあ、なんも咲いてないんかあ…」と本当に残念そうでした。けれど、全く桜の咲いていない桜並木ではありましたが、夫は学生時代のいろんな思い出話をして、とても楽しそうでした もちろん、結婚41周年を3月に迎えましたからねえ。「ああ、その話は何度も聞いてるよ」というものもありますが、それでも、夫も思い出の中にある神田川の桜並木は、とってもたくさんの記憶、思い出の詰まった場所なのだなあ、と、私にとっては、全く馴染みのない界隈なのに、何となくほのぼのとした時間でした。
そう言えば…
マナーズの卒業生には、お名前に「桜」の字の入ったお嬢ちゃまが何人かおいでになります。やはり、これから生まれてくる我が子に、生まれてきた我が子に、美しい桜を重ね、命名された素敵なお名前です
これから約10日間、五部咲きから満開になり、桜吹雪となり、道をピンク色に染めるまで、いろいろな桜を楽しみたいです。そして、枝々が青々とした葉っぱが豊かに茂るまで、あちこちの桜を愛でたいと思います