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☆GREEN HEART☆

漫画と本と国府津があれば生きていけるかもしれない「ことは」のブログ。
はじめましての方は「自己紹介」をどうぞ!

川上弘美さん『ゆっくりさよならをとなえる』読。

2006-07-17 | 川上弘美
「かけあしは
おやめください」

川上弘美さん『ゆっくりさよならをとなえる』とは
「いままでで一番多く足を踏み入れた店は本屋、
次がスーパーマーケット、三番目は居酒屋だと思う。
なんだか彩りにかける人生ではある」。

エッセイ集。
私は今まで読んだエッセイの中で、一番好きかも知れません。
というか、なんかやっぱり川上さんの文章、好きです。
というか、川上さん面白い方ですね。読んでて何度も「くくく」と笑ってしまいました。

可笑しかったのは、「ナポリタンよいずこ」
「スパナポ」ことスパゲッティーナポリタンが食べたくなり、探し求める。
結局、「本当の」スパナポには出会えず、果てはスパナポを救う会をつくろうかと考えた。
という感じのお話。
他にも楽しい、そしてなるほどと思う話がたくさん。
ただし、「妻に似ている」だけは本気でびっくりした。

「古池」にて。川上さんが
「岩波文庫の背表紙を見てると、なんだか可笑しくなって、
くくくと笑ってしまう」という感じのことが書かれているのです。
それを読む直前の私。↓
久しぶりの東京。久しぶりの駅。(栃木より実習帰り)

「かけあしは
おやめください」

という貼り紙が、何枚も貼ってあった。
6月、東京を離れるときはそんなものなかった。
・・・・。くくくく。
なにやら可笑しい。
否。なにも可笑しくない。かけあしというのは、混雑した駅では、大変危険なのである。
かけあしかけあしかけあし・・・・。
くくく。
可笑しい。笑えてくる。
・・・・・・。
ありません?そういうなぜそこで笑うのかわからないけど、おかしなことって。
駅で貼り紙を見てにまにま怪しく笑っている人間がいたら、
それは私かもしれません。危険ですので近づかないように。

以下雑感。
青柳恵介さんの『骨董屋という仕事』という本が気になる。
しょうがパン」もわからなければ、「ライムジュース・コーディアル」がなんなのかもわからない私。20歳過ぎてそれは、まずいのだろうか・・・(汗)

勝手にベスト3
一位「マイナーとうとう」
二位「スパナポよいずこ」
三位「ムツカシイムツカシクナイ」

川上弘美さん『神様』読。

2006-05-30 | 川上弘美
やっぱり最後には、読んでよかったなぁ。って思うんです。

川上弘美さん『神様』とは
くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない物語。

実は、一度読みかけて、途中でなんだかわけがわからなくなって読むの止めた本。
同著者『おめでとう』も同じ。
でも、最後まで読むと「あぁ。読んでよかった。。。」とほんわかした気分になれます。

全部で9つの話が収録。
日常なんだけど、非日常。

*注「」内、本文より。
「抱擁を交わしていただけますか」というくま。(神様)
「ぼくだめなの」と言って梨を食べる、○○。(夏休み)
「私は神を信じる」と言って、還っていく叔父。(花野)
「昔の光はあったかい」というえびおくん。(星の光は昔の光)

一体彼らは、なんだったんだろう。なんのために、ここに現れたんだろう。
そんな疑問が、読中頭をよぎる。
でも、最後まで読めば、大丈夫。
あれは、「なんだったんだろう」のではなく、「何か、だったんだ・・」
と思える。

読んだ後、暖かい海に浮いてるような状態に包まれます。
真綿にくるまれたまま、水に浮いてる感じ。
そして、この本を読むと、
私たちの日常がきらきら輝いて見えてくる。
でも、ほんの少し、寂しくもなる。

男性には意味不明かもしれない。
女性でも誰でも、「なにこれ?一体何が言いたいわけ?あれは一体何者だたわけ?」と思ってしまう人も多そう。
でも、そんなことは気にしないで。流れに乗って最後まで。
どちらかといえば、初めての川上本には『おめでとう』をおススメします。

勝手にベスト3
「夏休み」
「草上の昼食」
「春立つ」

ところで、「草上の昼食」という題は、印象派のマネと何か関係があるのだろうか
???なんだか、無性に気になる。

川上弘美さん『おめでとう』読破。

2006-04-04 | 川上弘美
やっぱり読んでよかった。
川上弘美さん『おめでとう』とは
忘れないでいよう。今のことを。今までのことを。これからのことを。
小田原の小さな飲み屋で、あいしてる、と言うあたしを尻目に生蛸をむつむつと噛むタマヨさん。「このたびは、あんまり愛してて、困っちゃったわよ」とこちらが困るような率直さで言うショウコさん。百五十年生きることにした、そのくらい生きてればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうし、と突然言うトキタさん……ぽっかり明るく深々しみる、よるべない恋の十二景。

あまり裏の紹介文でしっくりくるのってないですが、これはすごくぴったりな気がする。特に「ぽっかり明るく深々しみる」ってところが。
川上さんの本は、まだ3冊目だけど、やっぱりすごく好きです。

読んだあと、本を取り巻く世界が、つまりは自分がいる世界がなぜかちょっぴり愛しくなる。自分のいる日常が、実はとても素敵で輝いているように思える。
ひっそりとした空気の中で、確かに生まれてくる感情。それはこの世界に必要な感情じゃなくても、私にとっては大切な感情。

川上さんの表現する女の人は、私にはとてもリアルに思えます。
センセイの鞄のっときも思ったけれど、「なんとなく淋しいキモチ」を表現するのがとてもうまいし、するどい。
別になにか特別辛いことがあったわけではない。でも、なぜか泣きたくなるときがある。「泣きたい」ではなく「今わたし泣いてる?」という自然な感じ。
そんな感じがすごくリアルに表現されていると思います。

話自体は、なんだか非現実的だったりわけがわからない感じのが多い。
今回も、一体人間なのか、それ以外(?!)なのか。。。一体この人は誰なのか、職業は?性別は?登場人物も、名前があるようで、ない。
なのになぜか感情移入できる。むしろ、名前がないせいで、自分のことか?などど思ってしまう。「愛してて、困っちゃった」ことはまだないけど(笑)

読んでる最中、自分の周りを見えないやわらかな暖かい空気が自分を包んでくれてるような感覚に陥ります。電車に乗りながらではなく、家でお風呂上りにひっそりとした部屋で読んでもらいたい、そんな一冊です。

勝手にベスト3
一位「夜の子ども」
二位「川」
三位「冬一日」
大好きだーと叫びたい気分です。

センセイの鞄 川上弘美さん

2006-01-13 | 川上弘美
恋愛ものは、基本的に読まないのですが。
勝手に尊敬させていただいてる人が、いいよ!と言っていたので、川上弘美さんの本初読みです。

『センセイの鞄』とは
かつての教え子とセンセイが飲み屋で偶然再会。その後、なんとなく交流を持つようになる。歳の差30歳ほど。つかず離れず。そんな関係。
お互いの存在を確かめながら、季節を感じながら、のんびりと進む物語。ふわりふわり。という感じの本。


結論からいうと。ホントによかった。読んで正解。
季節とか空気とか気温とかをすごく感じる本でした。
とにかく、流れる空気がとてもよいです。場面場面で、いろんな匂いがしてきます。
恋愛小説っていったらそうかもだけど、あまり気になりません。恋愛が嫌いな人でも、本の空気を楽しみたい。という人にオススメします。


きのこのあたりがとても好き。そして私は、巨人ファン。
この本読むと和食がたべたくなります。
あっ。男の人はもしかすると理解できないんじゃないかな?って思った箇所が、一つ。月子さんがふと泣いたりしているシーン。これ、なんとなくわかる。
わけもなく泣けてくる時ってたまーにある。


先入観なしにどうぞ。えっ30歳も年離れてるんでしょ、とか。
そんな心配は無用です。