突然の「死」に直面して、深い悲しみを感じ、人の死について考える日々は、
現代に生きる私にとっては少し「非日常的」な感覚だ。
いつの頃からか、夜眠りにつくときには「レクイエム」を聴くようになった。
死者が最後の審判においてその罪を赦され、天国へ迎え入れられるようにと
祈るために執り行う「死者のためのミサ」で歌われる音楽。
私がよく聴いている15世紀フランドルの作曲家オケゲムのレクイエムは、
とても厳格な響きで、それがまた素晴らしい。
生きること、死ぬこと。
生きているということ、必ず死ぬということ。
「楽しい」を助長してくれる音楽もあれば、
「死」について考える心地よさを教えてくれる音楽もある。
私にとってはそれがオケゲムのレクイエムなのです。