<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

日本の若者が海外に出て行くには・・・(米国留学生数から)

2011-11-15 | 日記
米国際教育研究所が11月14日、米国内の大学・大学院で学ぶ留学生数の出身国・地域別ランキングを発表した。
これによると、中国が前年度比23.5%増の約15万7千人でダントツの2年連続首位、2位は10万人強のインド、3位は7万人強の韓国と続いた。
こうした中、日本からの留学生は1997-98年度の4万7千人をピークに年々減少を続け、いまでは2万人強で7位となっている。
もはや中国の2割にも届かず・・・の状況。

日本経済の長期低迷を受けて、日本の若者が海外に行かなくなったという指摘が多く為されている。
確かにいまの若者は合理的で、自動車などの嗜好品にも手を出さず、デートも割り勘、将来に向けてせっせと貯金といった傾向が強まっているようだし、敢えて海外に行かなくてもと考える数も多くなっているようだ。

こうした状況を見て、(自分も含めた)中年以上の男性陣からは「もっと男らしくお金を使え!」とか「これからは日本だけ見ていてもダメなんだから、積極的に海外に打って出ろ!」なんて言葉が浴びせられがち。
ただ、こうした若者を生み出したのも日本社会なので、その現実だけはしっかり認識すべきといったところか・・・。若者は「社会を映す鏡」みたいな存在ですから。

若者の言い分はさておき、既に日本の置かれた状況は待ったなしのところまで来ている。
日本企業はもはや国内だけをみていては利益を上げられず、必然的に「海外で通用する人材」を求める傾向が強まっている。
ユニクロや楽天での「英語の公用語化」、大手企業による留学生の採用増などがこの一端と言える。

しかし、こういった国際人材、すぐに育成できるかと言えば、そう簡単ではない。
勿論、ツールとしての言葉は大事だが、海外で生き抜く力やグローバルな視点というのは勉強すれば身につくものではないからだ。
教育は一朝一夕にはならず、つまり幼少期からの教育が重要であることは言うまでもないし、「常に自分で思考する」ということを身につけさせるのは余計に難しい。

では、日本の教育システムはいまの時代に合っているのか?

この点は、保護者の意識も含めて、大いに疑わしいところだ。
これだけ世の中が変化してきたにもかかわらず、日本では相変わらず有名大学に入るための教育が最優先かつ最大関心事項となっている。
こどもたちは小さな頃からお受験のための塾に通い、一貫してよい成績を取り続けることが美徳とされ、そのための手段として大学に入るまで塾通いを続けることになる。
こうした塾通いを続けると、受験テクニックは身につけるものの、自分で創意工夫して得点を稼ぐという貴重な機会を奪ってしまう。
また、以前は部活動をすることが主流だったため、学生自らが勉強時間を最小化する努力をしていたが、これも今は昔といった感じ。

そして、大学4年間という限られた時間だけは「自由な時間」となっていたが、昨今は就職戦線が厳しいこともあって、ここでも勉強、資格取得などに時間を割くことが多くなっているようだ。

こうなると、「どこで自分の人生、自分がやりたい仕事を見出すのか?」ということになり、ひいては「即戦力となる新入社員が少ない」、「希望に満ちた若者が採用できない」ということに繋がる。
筆者も中堅どころの人間だが、組織内に若手が少ない上、若者らしい魅力ある若者を見かけなくなったと感じている。これは、私だけではないと思うが・・・。

ただ、再三指摘したいが、これは若者だけの問題ではなく、社会全体の問題なのだ。
そして、大切なことは「これからどうするのか?」というコト。

筆者は立場上、空港に行くことが多いわけだが、そこで目にするのは日本からの観光客に占める高齢者の多さと若者の少なさ(出張者を除く)。
正直なところ、もっと若者に中国を実感して欲しい、そうすれば必ず意識が変わってくるはず、と思うのだが・・・。

今夏、10日間ほどの研修旅行で上海を訪れた学生たちと話す機会があった。
彼らはこの研修に参加するに当たって、友達から「なぜ高いお金(約10万円)を負担してまで中国なんかに行くのか?」という質問を投げかけられたという。
そんな彼らに「中国に来てどうだったか?」と聞くと、「日本より明るくてワクワクするような刺激に満ちている。出来ることならココで生活してみたい」との返答。

そう、まさに「百聞は一見にしかず」なのだ。
自分たちのような中堅以上の人間に出来ること、いや求められていることは、「若者がつまらない」と嘆くことではなく、彼らに外国に行く機会を与え、世界を考えさせる場面を多く作ることだとつくづく実感した一幕だった。

まずは遊びでもいいから国外に出てみよう!(きっと何かが変わるはず)

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