文化庁長官などを務めカウンセリングを広めた
河合隼雄さん『こころの子育て』より
子育てを本気でやってたら、いろいろ問題が起きてくるし
悩んだり迷ったりすることはよくあると思います。
だから悩みや迷いがあるのは問題なのではなくて、
問題があるのにちゃんと悩んだり迷ったりしないことが問題なんです。
迷いを持ちこたえる力は大事です。
ぼくはそれを「葛藤保持力」と言ってるんです。
みんなそれが苦しくて嫌だから、
葛藤することをせずに、すぐどちらかにしてしまうんです。
「悪いのは私ではない」とか「母親が悪い」とか、決めてしまえば簡単でしょう。
それを決めてしまわずに、
「母親が悪いかもしれない、悪くないかもしれない。
どっちだろう」とずっと考えていく。
すっごいエネルギーのいる仕事です。
子育てなんかも、「ダメッ」ととめたらいいのか、
もう少し見てた方がいいのか、
葛藤そのものだからねえ。
いろいろな葛藤を持ちながら、
ぐっと耐えてそれを持ち続ける。
それが「おとな」なのだ、
というのがぼくの定義なんですよ。