ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

きっと、寒い朝…

2009年12月17日 | メッセージ
かつて入社試験で
作文の試験があった。

試験当日にテーマが発表されるので、
あらかじめ準備も出来ない。

出たとこ勝負だ。

学生の私は、緊張しつつ

ホワイトボードに

若い人事担当者が書く字を
じっと見つめた。

「寒い朝」

現在は、報道部でデスクを務める彼は、
そう書いて、
「寒い朝をテーマに
原稿用紙三~四枚程度に
作文を書いてください。
何のことでも良いですから。」
と、笑って言った。

「寒い朝…う~ん…」

悩む私の脳裏に
当時、単身赴任の父の姿が過ぎった。

「きっと、父は、寒い朝を迎えているに違いない。」

私は、ふと思い立ち、夢中で筆を走らせた。

「今日も寒い朝を迎えた人がいる。
それは、父だ。
父は、二年前から単身赴任で、
独り暮らしをしている。」

父は、仕事人間で
さして趣味もなく
心配だと書いた記憶がある。

あっという間に原稿が埋まって、
30分くらいで試験会場を失敬した。

テレビ局なんて受かりっこない
と思っていたから。

入社して
「君は、作文が良かったんだよ」
と言われて
ビックリした。

寒い朝…

二十年前のあの時と同じ

夫は、単身赴任。

大学生の息子も独り暮らし。

家族一緒に過ごす時間って
案外短いものだ。

みんな寒い朝を迎えてないだろうか。
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