寺田本家24代目のブログ

寺田本家の24代目当主の発酵日記。
心を込めた自然酒造りや発酵の里へをめざす町おこしへの取り組みをご紹介しています。

発芽玄米酒むすひ

2005-10-30 10:19:27 | 酒造り
今日も蔵では発芽玄米酒むすひがプクプクと発酵をしています。

発芽玄米酒むすひは麹菌・酵母菌だけでなく、通常のお酒では考えられないくらい複雑な発酵をしています。

乳酸菌も入ってくるし、クエン酸を作り出す酢酸菌もやってきます。その他に「火落ち菌」という酒蔵では大変忌み嫌われる菌もやってきます。

火落ち菌は乳酸菌の一種でアルコールが大好きな奴です。
お酒の色を乳白色に混濁させ、味もやたらと酸っぱくさせて、お酒を売り物にならなくさせてしまいます。
そのために、昔は火落ちを出してしまった杜氏は責任をとって首をくくったという凄惨な話しもあるほどです。

そんな火落ち菌なのですが、最近の研究ではこの火落ち菌に抗がん作用があるという報告があるそうです。

通常の酒蔵では忌み嫌われる火落ち菌に、実はそのような人を助ける効果があって、しかもそれが発芽玄米酒むすひの複雑な発酵に力を貸してくれていた。なんだかとても深遠で人智では計りしれない微生物の世界の複雑さを感じさせてくれます。

二十数年前、ウチの社長は体を壊したことをきっかけに本物の酒造りを目指しました。
以来、良い原料を使って昔ながらの製法で醸したお酒は「百薬の長」なんだ、だから薬屋さんにお薬を買いに行くように、酒屋に酒を買いに来るようなそんなお酒を造りたい、と常々言っていたそうです。

現在、おかげさまでたくさん方から発芽玄米酒むすひのお問い合わせを頂いています。

二十数年前に社長が志した本物の酒造りという思いが、微生物の力を借りて形となり、多くの方に支持されています。

発芽玄米酒むすひを通して皆さんに微生物の世界の素晴らしさを感じて頂く、それが僕たち造り手にとっての大きな歓びです。

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2 コメント

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Unknown (メイコ)
2005-10-30 17:37:10
今日も「むすひ」が発酵を続けているのですね。

去年、寺田本家さんにお邪魔したとき、社長さんが「うちはどんな菌も歓迎します。」と言って本当に麹室や酒蔵を案内して下さり、とても驚きました。普通の造り酒屋では「雑菌は敵!」ですから。

でも、微生物たちは複雑なバランスの上に成り立っていて、その多様さが豊かな風味を生み出しているのですね。

寺田さんの酒蔵がとてもよい「気」に満ちあふれていたのを思い出します。また「むすひ」を飲みたくなってきました。
Unknown (masaru)
2005-10-31 20:55:28
メイコさん、ありがとうございます。

また蔵のほうにも遊びにいらしてください。

「たまには月でも眺めましょう」にも「むすひ」置いてくれています。

「雑菌は敵」ではなんだか大変ですよね。

うちのさっちゃんは「雑」ってつくものって素敵なものが多いよね、なんて言ってます。

雑穀・雑草・雑貨...

雑には何か力がある気がします。

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