湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

夢の中で会えた微笑み

2018-08-26 19:14:07 | ポエム
夢で母と会う

口元は動かなくとも
テレパシーのように伝わる言葉

元気そうな姿
にこやかに目の前に座っていた
もう目は見えるの?
もう耳は大丈夫なの?

いつからそこに
座っているのか分からないけど
たしかに母がいた

その姿を見ただけで
嬉しかった


あの時から
夢で見かけることはあったけど
目の前にいたのは初めてだった


『自由に生きなさい』

『どうやって、自由に生きるのか、分からないの』

『色んなものを背負いすぎたから、分からなくなったのかー。だけどね、自分の思うままに、もう生きていいんだよ』

『わたし、不器用なとこあるから
どうしていいか、分からないの』


母が、ニコッと
微笑んだと思ったら
次にはその姿は消えていた


嬉しかったのか
悲しかったのか
涙がとめどなく
真夜中に声を出して泣いていた


母の遺品を叔母に送り届けた日の夜のこと

にこやかな母の顔

思い出せば私の涙顔








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花火の音と残るもの

2018-08-25 19:53:20 | ポエム
遠くで
ドンッ

ドンッと
聞こえてくる


ここからは見えないけれど


彩られた空気の爆発音


四方八方に飛び散る火薬の塊たち


夏の風物詩


花火大会は
その時や年代によって
見た人の
一生に一度の思い出となる



夏の湿った空気のなか
肌にぬるく
まとわりつく風を受けながら
人混みをぬって歩く道
カタカタと下駄の鼻緒の親指が痛くなる


屋台のオレンジ色がかった電球の
色と湯気の立ち昇る匂い


迷子にならないように
握りしめあった手のひらさえも
だんだんと汗ばんでくる


人並みに割かれそうになって
絶対離してなるものかと
かたく、かたく握りしめていた


ひゅ〜〜と
尾を引いて
花火が打ち上がると


ポニーテールを揺らしながら
思わず振り向いて
色が広がる空をさがす


わけのわからない
不思議な高揚感


誰かの小説で
その音が『子宮に響く音』と書いていたっけ


思わず
浴衣の帯の下までも
本当に届いていくものかと
フッと恥ずかしくなってみたり


嵐の時の風のように
空に通じる空気が
何かによって
かき回されることは


いつもと違う感覚が
何かをつれてきて
現実から体の感覚を引き離していく



次から次に繰り出されていく
色とりどりの光のページェントに
手を離すことを忘れていた


爆音と共に
見上げる空を覆い尽くす
色と色が重なり
細かな光の粒たちが放たれて


落ちながら
きらめきながら消えていく


花火の儚さと
夢のような高揚感は隣り合わせ


ため息のような
悲鳴のような


いつまでも
続く夢なんかないんだと


これでもかと
チカラを振り絞りながら
登りつめていくように
最後を彩った空の色たちも


終わってしまえば
ただの空に帰るだけなのに


もう一度
もう一度と


空を見続けていた


彩られた空とのコントラスト
暗闇にさえ思える空に
なおさら寂しい気持ちになっていく


花火は美しいもの


美しさが去ったとき
それと引き換えにやってくるものの悲しさ


残ったものは
汗ばんだ君の手のひらの感触

























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自分さがし

2018-08-24 17:06:19 | ポエム
友達と一緒にいたりすると
明るくしていられる

時として
自分の感情はさておき
相手の身になって
相手が喜ぶことはなんだろうと
その場しのぎでもいいから
どうしたら一番良いのかしらと
思ってしまう


それは
自分をおなざりにしてるとか
どうなってもいいとかの感情ではなくて
自分の感情を素直に
どこかに置いてきてしまっている


一人になって
どこかに置き忘れた感情が
自分に帰ってきた時に
もうなにもかも
終わってしまったような
ただ今は
もがきながら
意味もなく
生きようとしてる自分がいる


楽しくないわけじゃない
苦しいわけでもない


しかし
この思いということ事態
贅沢な時間の中に置かれていると思っている


なのに
枯葉を見つけると
私と同じようだなって


役目を終えたものは枯れていく
その摂理に
ほんとうは身を任せちゃいけないのに


私の中の水は
水は‥
どこにあるのだろう


ずっと探してる


見つけたものは
私のものではなくて誰かのもの


私がずっと探してる


私自身が
私をさがしてる







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砂の城のカフェ

2018-08-24 11:47:31 | ポエム
年老いた女性が一人
波打ちぎわのカフェを営んでいた


崩れかけた城のように見えた
外にあるデッキは傷み
腰掛けた椅子は錆びついたまま
見晴台になっているような部屋は
すこし傾いたまま立っていた


メニューにあるのは珈琲だけ


『こんなはずではなかったの』

私は心でつぶやいていた


しわがれた声と
化粧っ気のない
年をごまかそうともしていない

ありのままの姿を見てくれと
言わんとしているのだろうが
抗われないままのものに
美しさを探そうとしても
カフェの名前がチラついて
どうもしっくりとこないまま


手に刻まれたシワには
言わんとすることの
数よりもきっと多いだろう


昔を語り始めた老婦


半生記と聞こえるその話は
注いでくれた珈琲の
黒く淀んだ色よりも濃い


『こんなはずではなかったの』

私は
それを聞きたいがために来たわけじゃない


かつて
小さな町のはずれにも
津波はやってきた

今はそれを昔話にしょうと
防潮堤が作られれていて
時々、潮の音より大きく響いていたなかで聞く話は
珈琲の味より苦く、にがく。



おおいなるロケーションさえあれば良かったのに


考えさせられてしまった


人の人生の数奇なもの


人がたどり着く夢の端っこに
私は立って見ていた



外を見れば
海に浮かぶヘッドランド
浅瀬の砂が流れていかないように
人工的に作られたもの


しかし
すこしづつ
すこしづつ
どれだけしても
砂は波間に持っていかれてしまう



崩れかけたこのカフェを

守りたいと老婦は言うが

まるで砂の城のようだ

先に足元の砂が流れさるのか

老婦の夢が崩れ去るのか


壁に貼られていた一面の紙切れ

潮風にさらされ
日焼けしたままの幾枚もの写真を眺めながら

私は最後の珈琲を飲み干した











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美しいもの

2018-08-23 23:25:28 | 日記
絵心を
私が持ち合わせていたら
こんな風景を描いてみたい

友達と会った日の帰り道

いつもの湖から見えた風景


私は
絵心を持ち合わせてないから
簡単にシャッター一つで
四角い枠に押し込める


簡単すぎてしまうから
この風景の感動を
どれだけ伝えられるのでしょう


このところの私は
湖と海を行ったり来たり


心配になったのだろう
もう1人の友からのメッセージ

こんな私でも
心配してくれる人がいることが嬉しい


今は
静かに
息を潜めているかのような私にみえるのでしょうね

ううん、違うから、、、。

今は
嫌なことを見たくないだけ

今は
美しいものに触れていたいだけ

そうよ
美しいもの

友、一人一人の気遣いも
心にしみる美しいもの





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