湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

羊雲とSo long

2018-08-19 23:21:13 | 日記
昔、とてもギターの上手な男子がいた。
指の綺麗な男子だった。

その男子の眼差しが好きで
近寄ることが出来ずに
壁に隠れていつも見ていた。

当時の学生時代の最後の年は
早々とサイン帳なるものを回して
それぞれに個性的なものを
お別れの儀式のように書いてもらっていた。

私も例に漏れずに
赤いサイン帳を女子の友達へと回して
書いてもらい、やがて
先生達にも書いてもらった。

最後の最後に
そのギターの上手い男子に
チカラを振り絞るように書いてもらうために持って行った。

直接話したのは、初めてかもしれない。
淡い淡い恋だった。

その男子は快く承諾

ふた晩ほど、預からせてほしいとのことで、手渡した。

2日後に返ってきたサイン帳には
長々とした詩が書かれていた。

歌詞かと思ったが違う

何がなんのことか、分からず

羊雲がなんちゃらかんちゃら
僕はそれを見つけて、なんちゃらかんちゃら

って、全て英語だったから
私の英語力では、わからないことだった。

けれど
どう考えても
恋らしい憶測は皆無だと感じた詩だった。

しかも、最後の最後に
『So long』と繰り返してあった

Good-byeでもなくSo long

See you againがなくてSo long


悲しい最後の言葉だけリフレインした

今なら、じゃまたねってことなんだろうけれど、
その時の私には永遠の別れのような気がしてならなくて悲しかった


のち、
何故か空に羊雲を見つけると
『So long』と言うワードが
私の頭の中で変換されるようになった


そういえば
羊雲は、秋の雲だったね

このところ
あまりにも涼しすぎて
半袖じゃ肌寒いぐらい

台風が次から次にやってくるせいもあるでしょうが、確実に秋に近づいている

羊雲も、形を変えながら
走っていくように
雲の流れも早いはずだゎ


ふと見上げた空の羊雲につぶやく


『So long』






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中村雅俊『ふれあい』について

2018-08-19 07:06:00 | 日記
朝ドラに出ていた中村雅俊さん
お爺さん役で
ステキなホッとするような役どころ

毎朝ドラマを見るのが楽しみだったのが
とうとう『大往生』と相成りまして
私は世間を賑わす『仙吉ロス』となりました。


雅俊さん、実際でも
こんな風に年を取っていくんだろうなぁ〜なんて
今と未来を交差させながら
首筋のシワなんかはリアルに再現されていたりした。
時折、ドラマの中での弾き語りは
すこし、くすぐったい感じだったけれど、やっぱりカッコ良かった。


中村雅俊さんは
若くして学園もののテレビドラマ
『われら青春』で大ブレーク
正統派のイケメンではないけれど
優しさや包容力がその容姿を包み込んでいた

その学園ドラマの挿入歌となった歌
『ふれあい』


この歌は
私が転校を余儀なくされたときの思い出の曲となった。


その引っ越し当日
学校の都合で
後から私一人で
電車を乗り継ぎ、引っ越し場所の
終点のその駅に降り立った

出口に迷ってステーションビルの一角の本屋さんの前を通りかかった時
有線から流れていたのが
この『ふれあい』と言う歌だった


自分ではどうすることもない転校と言う親の選択
見も知らぬ学校への不安
数度の転校の果てに
今までで一番遠い場所に来た『負け犬』のような否応なしの理不尽な重圧


親にも告げられない思い
しかし、心配かけまいとする気持ち


誰にも打ち開けられぬ状況で
遠くに来てしまった孤独感が
子供心に
この『ふれあい』の歌詞が
深いわけも分からないのに
歌の旋律から哀しさが分かる


見知らぬ土地に踏み入れたときの
洗礼のようにも聞こえた


かつての友達は誰もいない
これから、自分に殻を被って
落ち着くまで息を潜めるような。


夕暮れに
遊び呆けて時間を忘れ
一人、暗さで足元が見えなくなっていく道を
ひたすら何かを念じつつ
不安に駆られながら歩いてゆく道の途中のような感覚に似てた


もし
生涯で思い出の曲を語れといわれたら
きっと、この曲を数曲の中の一つにあげると思う

そのとき
この歌を歌う雅俊さんの姿も忘れないと思う。






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