去年の今頃
仲の良い年下の友達と
いつものイタリアンに行って
久しぶりにと、紅葉で有名な近くのお寺に行った。
去年の11月もコロナ禍の中、ほんの少しの緩んだ空気の中、
本当に久しぶりの再会で
彼女は、仕事も家のことも頑張っていた。
思えば、彼女は
いつも、いつも、頑張っていた。
7年前に乳がんを寛解させ、全く心配いらなくなった年に、自分の母親が闘病生活に入った。
それも、懸命に頑張った。
頑張ったけれど、母親の病気は手の施しようがなかった。
看護の甲斐もなく、彼女は、母親の面影を
年上の私に投影していた。
色んな話をした。
彼女は、娘のままだったから
母からの思い、娘からの思いの中で
宙ぶらりんで定かでなく
それが時に彼女をより悲しませた。
私は、曲がりなりにも
娘の時期が介護のため、長かった。
それに、娘を持つ親でもあったから
彼女のお母さんと答えが同じだとは言い難いが
彼女のナーバスな気持ちは、察しがついたので
一般の母親から娘への気持ちは話ができた。
私が自分の母親を老齢の身で失くすまでは
彼女の悲しみも苦しみも、本当は分かりづらかった。
だけど、自分も母親を亡くしてからは、
彼女に少しでも寄り添うことができたんじゃないかと思ってる。
音楽をし、留学もし、歌を歌えばセミプロ、
そんな時、彼女は病に倒れ、その後長い年月は
自分の体と家のことで精一杯。
気づけば、女性の適齢期はとっくに過ぎていた。
残った父親の年金、その後の自分の生活を思えば、
自分1人で食べていかなきゃいけないからと、
資格をとって介護職についた。
元々は、事務のよくできる子だったので
全国的に有名な介護センターを持つ所の事務に入った。
実は相当ブラックな会社で
何度も、辞めようとしたし、
私も提言したが、やはり、頑張り屋さんの彼女は、
引き継ぎもしてもらえず、後を任された経験から
辞めるときは、引き継ぎをしてからと
メモに引き継ぎすることをビッシリ書いて持っていたそうだ。(のちに分かったこと)
なかなか、後のことを考えてばかりだと、辞めるタイミングは、逃してしまう。
自己中でいいのよ〜なんて、何度も言ったっけ。
コロナ禍の中、
介護職がみんなワクチンを打ち始めたとき
彼女は、頑なに拒んだらしい。
事務所、そこに事務手続きでくるヘルパーさん達の
話をよく聞いて、ヘルパーさん達のやりやすいようにしてあげていたと聞いた。
それだけ近い位置にいたのだろう。
しかし、彼女自身はかなりのストレスを抱えていたのだと思う。
周りが全てワクチンを打ち終わる頃、
彼女が1人、仕事途中、体調を理由に事務所を抜け出して、、、、
数時間後、発見された。
彼女は車の中、心肺停止状態だったそうだ。
その後、病院で、かなり広範囲の脳出血によるものだったらしいことが判明。
彼女は何の言葉も残さず、天国へと召されてしまった。
その時は、ストレスが原因かと思っていた。
いやいや、色んなことがわかってきて
私の中では、周りがワクチンを終えたのち
彼女は、暴露(シュディング)を受けてしまい
挙句、ストレスと絡み合ってしまったのんじゃないかーと。
もし、ストレスがあっても、
このコロナ禍を迎えなかったら
彼女はまた、今年も、私と一緒に紅葉を見に行っていたんじゃないかー。
もしかしたら
もしかしたら、
彼女のような人がたくさん、居たのじゃないかーと。
しかし、彼女は彼女、1人。
私にとっては、可愛い妹のような存在の女性。
7月に亡くなった当時は、
無理したからだよね〜
とか、
亡くなったお母さんのところへ行きたかったんだよね〜
とか
そんな言葉で、彼女が『存在しない』と言うことを
私なりに、流していたんだと思う。
去年見た、紅葉した木や、イチョウの木を眺めていた彼女を思い出す。
すると、そこに『存在していた』彼女が脳裏に現れてくる。
彼女は、この8ヶ月後
この世から居なくなるなんて思いもしないで、空を見上げていた。
はしゃいでた。
私だって同じで、
また、来れると思っていた。
しかし、でも。
私は、この場所に行けずにいる。
人生でタラレバは、存在しない。
今あることを受け入れていかなきゃいけない。
思い出しついでに
彼女は、フィギュアスケートのかなりのフリークで。
浅田真央ちゃんの大ファンだったのだけど
この、荒川静香さんの演技と歌だけは、よく話をしていた。
実際に、私にも歌ってくれたことがあったっけ〜
来月からは、3回目のワクチンが始まろうとしてる。
やっぱり、彼女は、
生きていても、なお、生きづらい世の中になっていたかもしれないね。
世の中と政治の不条理を熱く語って怒りまくっていただろうね。
政治通な彼女だったから。
せめて今は、あの世で、大好きだったお母さんと一緒に、穏やかに居るのだと祈ろう。
【レイズ ミー アップ】
落ち込み、魂が疲れているとき困難に見舞われ心が苦しいとき
私はここで静かに待つの
あなたが来て 私のそばに座ってくれるまで